緊急車両(緊急自動車)が近づいてきたときの道の譲り方や進行妨害した場合の罰則

緊急車両はパトカーや救急車、消防車をはじめとする緊急時に出動する車です。運転中に緊急車両が近づいてきたら、車を端に寄せなければいけないことは知っているけれど、交差点や二車線道路などではどう対処したら良いのか分からない方も多いはず。そこで、緊急車両への道の譲り方や法律で定められた義務などについて解説します。

1.緊急車両とは?

緊急車両(緊急自動車)とは、人命救助や火災対応、事故対応など急を要する事態に利用される自動車のことです。緊急車両は道路交通法によって特例が付与されており、ほかの車両の追い越しや右側車線へのはみ出しが許可され、赤信号や横断歩道などでの徐行・停止義務が免除されています。

緊急車両の要件
道路交通法の規定により、緊急車両はサイレンを鳴らし、赤色の警光灯をつける義務があります。また、実は緊急車両になるのはパトカーや救急車など公的なものだけでなく民間の場合もあるのです。次章で紹介します。

2.緊急車両の種類

公共の緊急車両
  • 警察車両(パトカー)
  • 救急車両(救急車)
  • 消防車両(消防車)
  • 自衛隊用車両 など
民間の緊急車両
  • 電力会社・ガス会社・水防機関・道路管理会社・電気通信事業者などの応急作業車両
  • JAFなどのレッカー車両
  • 病院からの医師派遣用のドクターカー
  • 日本赤十字社や製薬会社の輸血用血液製剤・臓器の運搬車両 など

緊急車用には公共のものと民間のものがあります。いずれも前述した要件をクリアしていなければ緊急車両として認められません。上記の他には、「緊急自動車である警察用自動車に誘導されている自動車」、または「緊急自動車である自衛隊用自動車に誘導されている自衛隊用自動車」も緊急車両に該当します。

一方、ややこしいものにほかの色の警光灯をつけた車両がありますが、緊急車両とは異なります。それぞれ役割が決まっており、たとえば、黄色の警光灯は道路維持作業用自動車、青色は自主防犯パトロール車、緑色は輸送車両車です。

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3.緊急車両に対する道路交通法での義務

(緊急自動車の優先)
第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、~一部省略~ 車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。

2 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)

緊急車両(緊急自動車)が近づいてきたときの周囲の車両等の対処法は、道路交通法で決まっており義務付けられています。基本的には、緊急車両が近づいてきたら車は交差点を避けて、道路の左側へ寄らなければいけません。一方通行などで左側によるとかえって邪魔になってしまう場合は右側へ寄りましょう。

4.緊急車両へ道を譲る際のポイント

緊急車両が接近してきたときに意識したいポイントについて解説します。安全のためにぜひ覚えておきましょう。

 

急ブレーキをかけない
緊急車両に道を譲るために車を左に寄せる際は、突然ブレーキをかけると、後続車に追突される危険がありますので、必ずルームミラーで後方の様子を確認し、停車しましょう。緊急車両を優先するあまり、二次災害を引き起こしては本末転倒です。慎重な姿勢を忘れないよう心掛けましょう。

 

渋滞時は二車線道路の中央を空ける
後方から緊急車両が走ってきたら、スムーズに先に行かせることが大切です。市街地で後方から走ってくる緊急車両を発見したら左に寄せるのが基本ですが、渋滞時は走行車線も追越し車線も車がたくさん走っています。左車線を走っているならば左へ、右車線を走っている場合は右へ寄せ、緊急車両が車線と車線の中央を走れるように工夫しましょう。

 

高速道路では左側車線へ移動する
高速道路であれば、車が流れていれば右側車線を譲り、左側車線へ移動しましょう。渋滞している場合は、やむを得ず緊急車両が路肩を走行する場合もあります。緊急車両の妨げにならないよう周りの状況を見て協力しましょう。

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交差点に入る直前なら渡って一時停止する
青信号で交差点に進入しようとしているときに緊急車両が接近してきた場合、まだスピードが出ていれば、渡り切ってから一時停止しましょう。交差点進入前にあまりスピードを出していなかったなら左に寄せ一時停止します。もし、緊急車両から「少し前へ進んでください」という指示があったら、しっかり安全を確認しながら協力しましょう。

 

歩行中も走行を妨げないようにしよう
実は、道路交通法では緊急車両に対して歩行者が道を譲る義務は定められていません。ただし消防車については、消防法第26条にて「消防車が火災の現場に赴くときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない」と、歩行者よりも優先されることが定められています。
とはいうものの、緊急車両は一刻を争う状況で走行しているため、横断歩道を渡ろうとしている際は「みんなが立ち止まらないから」ではなく、自分から率先して止まりましょう。

5.緊急車両の進行を妨害した場合の罰則

緊急車両に道を譲るのは義務とされているため、進行を妨害した場合は罰則を受けなければいけません。車の区分ごとの反則金や違反点数について解説します。

緊急車妨害等違反

区分 反則金 違反点数
大型車 7,000円 1点
普通車 6,000円
二輪車 6,000円
小型特殊車 5,000円
原付 5,000円

「緊急車妨害等違反」は、一般道路で起こった違反に適用される罰則です。緊急車両を妨害した場合は、大きい車ほど反則金が高額になります。違反点数は1点ですが、点数が累積すると免許の効力停止や取消につながるため、気をつけましょう。

本線車道緊急車妨害違反

区分 反則金 違反点数
大型車 7,000円 1点
普通車 6,000円
二輪車 6,000円
小型特殊車 5,000円
原付 -

「本線車道緊急車妨害違反」は、高速道路で起こった違反に適用される罰則です。反則金も違反点数も一般道路の場合と変わりません。ちなみに原付は高速道路を走行してはいけないため適用外です。

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6.緊急車両の接近中は慌てず速やかな対応を

パトカーや救急車、消防車などの緊急車両は日常的に遭遇する身近な存在です。もし、運転中に緊急車両が近づいてきたら、落ち着いて速やかに車を道の端に寄せて通過するのを待ちましょう。ただし、交差点の中で止まってはいけません。

また、意図していなかったとしても緊急車両の進行を妨害した場合は罰則が与えられてしまいます。安全のためにも、思わぬ出費を防ぐためにも緊急車両が近づいてきた際の対処法は頭に入れておきましょう。

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[GAZOO編集部]

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