リーマンショックの逆境に負けずにデビュー! 2019年に10周年を迎える国産車たち
今から10年前の2009年は、村上春樹氏の小説『1Q84』が大ベストセラーとなった年。その一方でアメリカの大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破綻したことによって世界規模の金融危機が発生。自動車業界ではアメリカの大手自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)が経営破綻し、トヨタがF1からの撤退を発表するなど、不況の影響を強く受けた年となったのも記憶に新しいところです。
今回はそんな逆風にも負けずにデビューし、今年で登場10周年を迎える国産車をご紹介します。
三菱 i-MiEV
大容量のリチウムイオン電池を用いた世界初の量産電気自動車となった三菱i-MiEV(アイミーブ)。ベースとなったのは2006年に登場した軽自動車のi(アイ)ですが、デビュー当初から電気自動車としての研究開発も並行して進められており、2009年にようやく市販化に至ったという経緯の車両でした。
コンパクトな電気自動車はシティコミューターとしても注目度が高く、プジョーとシトロエンがそれぞれi-MiEVをベースとしたOEM車両を発売。北米市場でも2011年から販売が開始されています。
2018年には道路運送車両の保安基準の改正に伴い強化された、歩行者頭部および脚部保護基準への適合のためにフロントバンパーの形状を変更。その結果、全長が軽自動車枠を超えてしまったため、普通車への変更を余儀なくされてしまいましたが、現在でも貴重な小型電気自動車として現役のモデルです。
トヨタ SAI
トヨタブランドのハイブリッド専用車というとプリウスが知られるところですが、プリウスに続く2車種目のハイブリッド専用車として誕生したのが、2009年12月に登場したSAIでした。
5ドアハッチバック形状となった2代目プリウスとは異なり、4ドアセダンスタイルのSAI。過去にトヨタが「小さな高級車」として販売していたプログレの後継車種という役割も担っており、落ち着いた雰囲気と高級感も兼ね備えたモデルに仕上がっています。その実力は、レクサスブランドから販売されていたレクサスHSのベースとなったことからもうかがい知ることができます。
2013年に実施されたマイナーチェンジでは、それまでの落ち着いたイメージから前後ともアグレッシブなデザインに変更され、内装カラーにも赤色を散りばめた「アカネ」を設定するなどイメージを一新。2017年まで販売が続けられ、同じくハイブリッド専用車のセダンであるカムリにバトンタッチする形で販売を終了しました。
日産 スカイラインクロスオーバー
日産を代表するスポーツセダンであるスカイライン。しかし、過去にはセダンだけでなく、クーペや5ドアハッチバック、ステーションワゴンなどさまざまなボディ形状もラインナップしてきたモデルでもあります。そんなスカイラインの歴史の中でもやや異色の存在と言えるのが、2009年7月に販売が開始されたスカイラインクロスオーバーでしょう。
その名の通り、クーペとハッチバック、そしてSUVを融合させたようなスタイルの同車は、セダンなどと同様に330PSを発生するV6 3.7リッターエンジンと7速ATを搭載。スポーティーな走りを実現しながらも、ハッチバックの使い勝手と165mm(4WD車は150mm)の最低地上高と標準装着のオールシーズンタイヤで走破性を兼ね備えたモデルだったのです。
しかし、当時は現在のようにクロスオーバーSUVブーム前だったこともあり、残念ながら大ヒット車種となることはできず2016年に販売を終了。直接的な後継車種も登場しませんでした。
ということで今から10年前の2009年に登場した車種を振り返ってみましたが、今でも現行車種として存在しているものもあれば、別のクルマにバトンタッチしたもの、そのままフェードアウトしてしまったものと三者(車)三様。10年前というとそこまで昔という感覚はありませんでしたが、改めて振り返ってみると時代の流れを感じてしまいますね。
(文:小鮒康一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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