かわいいコンパクトEV「ジオコムス」で観光を活性化。山陰海岸ジオパークのモビリティ活用事例

鳥取砂丘から浦富海岸エリアにかけての山陰海岸ジオパーク内の風光明媚な海岸線を、超小型のEVで巡ることができます。その名も「ジオコムス」。

1人乗りで小回りが利き、しかもカワイイ海の生き物のラッピングが施された「ジオコムス」について、運営元の智頭石油株式会社営業企画部谷口俊介さんに伺いました。

走り出してからまだ1年半。もっと山陰海岸ジオパークを楽しんでもらうために

――ジオコムスはどのような経緯で導入されたのでしょうか?

ジオコムスを展開している山陰海岸ジオパークエリアは、「世界ジオパークネットワーク」にも加盟認定され、非常に風光明媚な景観を楽しめる地域です。しかし道幅が狭いところが多く、観光客のマイカー移動での渋滞が問題となっていました。

そこで、環境にもやさしい超小型EVを活用したサービスを展開することで、観光で訪れる方たちにも楽しんでいただき、かつ、地元の皆さんと共存する形で地域貢献を目指すという目的で2018年4月より、本格的な稼働を始めました。

現在、岩美ステーションで6台、鳥取砂丘ステーションで4台の計10台が稼働中で、特にコースが決まっていない1時間2,000円のコース(追加1時間ごとに1,000円プラス)とモデルコース3時間3,000円の2パターンのプランがあります(いずれも要予約)。普通免許が必要な1人乗りの車体のため、お子様の同乗は不可となっている点だけ、ご了承ください。

また、通年営業となっていますので冬場もドライブを楽しんでいただけます。冬場は、シートヒーターを完備しておりますが、エアコン等はついておりませんので、暖かい服装でいらしてください。

――EVは航続距離が気になります。ジオコムスは1度の充電でどのくらいの距離を走ることができるのでしょう?

1度の充電で60㎞まで走行することが可能なので、モデルコース3時間を走っていただいても、電気切れになることはありません。ゴーカートのように小回りが利く点こそジオコムスの特徴なので、降車して散策しながら景観も楽しめるモデルコースを一番におすすめしています。

季節ごとにもおすすめモデルコースを用意している
季節ごとにもおすすめモデルコースを用意している

――通信ができる車体もあるのですね。

これは、ステーションによって異なります。

岩美ステーションから乗る車体には、ルート案内や観光案内が流れるように設定されているため、ジオコムス同士の通信というのはできません。しかし鳥取砂丘ステーションでは、インカムマイクを搭載したデバイスによりジオコムス同士の通信が可能です。

ただこれまで、グループやカップルでのご利用の際も、ジオコムス同士の通信の有無に関わらずストレスなく楽しんでいただけているようです。

――とてもカワイイ海の生き物のラッピングが特徴的ですが、こちらのデザインはどのように決められたのですか?

地元のデザイナーの方にお願いし、6社から成る鳥取県観光モビリティ研究会で決定しました。
サメ、イカ、エビ、ばばちゃん、ヒラメ、のどぐろ、タコ、サバ、カニの全部で9種類のデザインとなっています。

「ばばちゃん」は岩美の辺りでしか獲れない幻の深海魚で、学名ではタナカゲンゲと言います。鍋や甘酢あんかけにするとおいしいんですよ。

地元ならではの生き物「ばばちゃん」
地元ならではの生き物「ばばちゃん」

豊かな景色の中、海を身近に感じながらのドライブ

――利用された方の反応はいかがですか?

小回りの良さと見た目のかわいらしさからか、ご利用者は男女問わず20代から50代までの幅広い年代に広がっていますし、中には、リピーターの方もいらっしゃいます。また、香港を中心とした海外からの旅行客の方々にもご利用いただいています。

アンケートでは「ジオコムスの両サイドを開けて走行すると本当に海を近くに感じられて、普通乗用車とは違った魅力があった」「操作も簡単で、1人旅にはぴったりな交通手段」「通り過ぎる町の方や駐車場で一緒になる観光客がジオコムスに対してフレンドリーなのが印象的だった」といった声をお寄せいただき、ジオスコムの特性をうまく活かして楽しんでいただけていると感じています。

――ジオコムスを稼働して1年半が過ぎましたが、今後はどのように展開していきたいですか?

さらに多くの方に知ってもらい、乗車していただきたいですね。そして、超小型EVを利用した観光モデルを鳥取県で確立し、全国へと広げ、発展させていきたいと思っています。

――ありがとうございました。

 

非常に小回りが利き、環境への負荷も少なく、しかもとびきりカワイイ、ジオコムス。山陰海岸ジオパークの海を、風を、感じに行きたいものです。

全国の観光地に同様のモビリティが広がることで、観光の可能性もぐんと広がっていくのではないでしょうか。

(取材・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

<取材協力>
ジオコムス
https://www.chizu-sekiyu.com/geocoms/

[ガズー編集部]

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