教習所で習った「ハイドロプレーニング現象」と「スタンディングウェーブ現象」をおさらい

クルマを運転する上で気をつけたいことは、自動車の教習所で教わります。そこで学んだはずのタイヤのトラブルが「ハイドロプレーニング現象」と「スタンディングウェーブ現象」。それぞれ、いったいどういうものなのか? そして、それを予防するには、どうしたらいいのかをおさらいしてみましょう。

タイヤが水に浮いてしまうのが「ハイドロプレーニング現象」

「ハイドロプレーニング現象」とは、タイヤが路面の水たまりに浮いてしまうことを意味します。「アクアプレーニング現象」とも呼ばれています。車種によっては1トン以上もあるクルマが水に浮くという状況は想像しづらいことでしょう。

実際はプカプカ浮くのではなく、タイヤと路面の間にミクロの水の膜ができて、そこに微妙に浮いてしまっている状況を指します。それだけでも、浮いたタイヤはグリップ力を発揮できなくなって滑ってしまうのです。これは、氷の上を走ると滑ってしまうのと同じ原理。氷が滑るのも表面に水の膜ができて、タイヤ表面が氷の表面から浮いてしまっていることが理由です。

とはいえ、普通のタイヤには対策が施されています。それがタイヤの接地面に刻まれた溝。その溝がタイヤと路面の間の水を排水します。そのため通常では雨が降ってもタイヤは十分なグリップ力を発揮して走ることができるのです。

ところが、タイヤがすり減って溝が浅くなったり、路面の水たまりの水深が深かったり、走行スピードを上げすぎると、どんなタイヤであっても「ハイドロプレーニング現象」が発生する可能性が高まります。延々とハンドルやブレーキが効かなくなることはほとんどありませんが、タイミングが悪ければ一瞬の滑りでも大きな事故につながってしまいます。

そのため、「ハイドロプレーニング現象」を防ぐには、“タイヤが減ってきたら新品に交換する”、“ワダチなどの深そうな水たまりは避ける”、“雨が降ってきたら走行スピードを落とす”といったことが有効となります。

空気圧不足でタイヤが波打つ「スタンディングウェーブ現象」

一方、「スタンディングウェーブ現象」は、タイヤを横から見たときにタイヤ接地面より後ろが波うつように変形してしまうこと。放っておくと、タイヤが破裂(バースト)してしまいます。激しい動きでタイヤが発熱し、中の空気圧が高まって破裂してしまうのです。高速走行時になりやすく、そんなときにタイヤが破裂すると、ハンドルが急にとられてしまいますので、交通事故につながる可能性もあります。

原因は、主にタイヤの空気圧不足と言われており、空気圧が指定値よりも低いままに高速走行を続けると発生しやすくなります。問題は、「スタンディングウェーブ現象」が発生しても、運転中のドライバーには気づきにくいこと。そのため、突然のバースト、という危険な状況になりがちです。

これを防ぐためには、タイヤの空気圧をしっかりと管理することが大事です。特に高速道路を走る前は要チェック。クルマのタイヤは、何もしなくても徐々に空気が抜けてしまうもの。1カ月も放置しておくと、10kPa(0.1kg/cm2)ほど抜けてしまうことも珍しくありません。ガソリンを給油するときなど、マメに確認して指定空気圧まで補充しておきましょう。

(取材・文:鈴木ケンイチ 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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