噴火と降灰が日常の鹿児島では、火山灰からどうクルマを守る?

日本でトップクラスに活発な火山といえば桜島。鹿児島のシンボル的存在です。

現在、桜島には約4,700人の住人が暮らしており、海を挟んで4キロ先には、鹿児島市街地が広がっています。筆者は鹿児島在住ですが、活火山のそばでたくさんの人々が暮らしているのは、世界的にも珍しい土地柄なのではないでしょうか? 桜島は一日に何回も噴火することも珍しくなく、鹿児島県民にとってもはや噴火は日常の一部です。

だからこそ、火山灰に悩まされることもしばしば。上の写真はクルマのルーフで、付着している黒いつぶつぶが、降り積もった火山灰です。筆者の住まいは、降灰の多いエリアから離れているのでせいぜいこの程度ですが、エリアによってはもっと積もることもあります。

火山灰を落とすのは「空気」と「水」

火山灰の主成分はガラスや鉱物。クルマに積もった灰をそのまま雑巾でこするように拭いたり、ワイパーをかけたりするのは厳禁です。灰は粒子が細かく研磨剤のようになっているため、注意しないとクルマにキズがついてしまいます。

そこで、今回は鹿児島県民行きつけの、あらゆる商品が揃う超巨大スーパー「A-Z(エーゼット)はやと」協力のもと、クルマの灰対策に使えるグッズをご紹介します。

店名のA-Zの由来は「AからZまで何でもそろえる」ところから。はやと店のほか、かわなべ店、あくね店がある
店名のA-Zの由来は「AからZまで何でもそろえる」ところから。はやと店のほか、かわなべ店、あくね店がある

クルマに積もった灰は、空気で吹き飛ばすか、水を流して落とすことが大切です。そこで使えるのが、こんなアイテムです。

エアコンプレッサー&ブロワー

ベストな方法は、灰を空気で吹き飛ばすこと。そんな時に使えるのが、エアコンプレッサーやブロワーです

エアコンプレッサーは、タイヤの空気圧調整や掃除、DIYなど幅広く使える道具で、高圧の空気を吹き付けるもの。鹿児島ではクルマの灰を吹き飛ばすのにも使われます。エアコンプレッサーは音が大きいので、家庭で使うのなら静音タイプがおすすめです。

コンプレッサーより手軽に使えるのがブロワーです。灰はもちろんのこと、車内の掃除にも使えます。洗車後に水滴を吹き飛ばすのにも便利なのだとか。一般家庭ならこちらの方が取り入れやすそうですね。

■モップ類

モップは、エアコンプレッサーやブロワーほどの威力はありませんが、手軽に灰を落とせるので便利です。優しく灰を撫で落とすように使いましょう。強くボディに押し付けると、灰のガラス成分によって、傷をつけてしまうので注意してください。羽根ハタキを使って、はたき落とすのもいいでしょう。

■高圧洗浄機

高圧洗浄機を使えば、ボディにこびりついた落ちにくい火山灰の汚れもすっきり洗い流すことができます。

エアコンプレッサーやブロワーで灰を吹き飛ばした後に、高圧洗浄機で水洗いすると完璧です。ホームセンターでは、数千円から販売されているので、ひとつ持っておくといいでしょう。

クルマだけでなく、身の回りの灰対策も必要

ここまで、クルマに使う道具をご紹介してきましたが、これだけでは灰対策としては不十分。クルマが走る道路やクルマを停める駐車場も、しっかりと対策しなければいけません。

噴火後の道路は灰だらけになり、このようにタイヤの跡がくっきりと残ります。道路の上に積もった灰は、クルマが通るたびに撒き上がって走行中の視界を妨げるだけでなく、地面に積もった灰によってタイヤが滑り、スリップ等のリスクとなることも。そこで、降灰の多いエリアでは、一定以上の灰が堆積すると除去作業を行います。

一般的によく見られる光景として、路面清掃車が走り灰を除去しています。また、散水車による放水作業も行われます。雪国で除雪車が走るように、鹿児島では“除灰車”が走っているのです。

火山灰と密に付き合っていかなければならない鹿児島ライフ。自宅の駐車場や玄関などにも積もった灰は、自分で掃除することになります。クルマだけではなく、駐車場や家の前まで整備してこそ、快適で安全なカーライフを送ることができるのです。ここからは、日常で役立つ灰対策グッズをご紹介します。

■灰かき棒

たくさん灰が降ったときに便利なのがこちらの灰かき棒。その名のとおり灰をかき出す道具です。降灰量が多いと、ホウキだけで灰を掃除するのはとても大変。こんなに灰が積もることも……。

だからこそ、灰かき棒とチリトリを使ってそのまま灰をかき集めるように掃除をするのです。側溝などの灰が溜まりやすい場所で、特に活躍します。スコップなどで、溝に溜まった泥を掻き出すのに近い感覚です。

そうして集めた灰は専用の袋に入れて降灰ステーション(宅地内降灰指定置場)へ。回収された灰は埋め立て処分されます。

■マジカルスイーパー

灰の量があまり多くないエリアであれば、掃き掃除で十分対応できます。そんなシーンでおすすめのアイテムが、マジカルスイーパー。

灰専用のホウキではありませんが、一般的なホウキ(青)と比べて毛が詰まっていて弾力があるので、灰をかき集めやすくなっています。値段は一般的なホウキより高め。それでも使い勝手の良さから地道に売れているようです。

■ロードスイーパー

降灰が多いエリアでは、ロードスイーパーも便利。こうして手押し車のように押して歩くだけで、通った道上の灰を掃除してくれます。灰が散らばりにくく、まとめやすくなっているので後処理もスムーズです。

■プレミアム桜島ファイヤー

番外編として、「プレミアム桜島ファイヤー」もご紹介しておきましょう。これは、上半身をすっぽり覆う、灰対策用の傘です。灰が降ったときにこれを広げれば、灰から自分の身を守れます。ですが、見た目のユニークさもあり、筆者はこれを使っている人を目にしたことがありません。

鹿児島での暮らしは降灰との暮らし

最後に、大半の鹿児島県民は、実はそんなに熱心に灰対策をしているわけではありません。クルマに灰が積もっても、ほとんどの人がそのまま。なぜなら洗車してもまたすぐに灰が降って汚れてしまうから……。

いつ噴火するかは予測できないので、洗車した直後に灰が降ることもあります。年中灰が降る鹿児島の人たちは、ゆるく現状と折り合って暮らしているのです。

(取材・文・写真:横田ちえ 取材協力:A-Zはやと 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
A−Z公式ホームページ
http://a-zmakio.com/

[ガズー編集部]

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