あのクルマの2代目も! SJ20やSW20……型式名に「20」の付くクルマを特集

クルマが好きな人は特定のクルマを指すとき、より細かく指定すべく車名ではなく型式で呼ぶことがあります。前回は、1月1日にちなんで「11」の付くクルマをご紹介しましたが、今回は2020年を記念して「20」の付くクルマをピックアップしました。

高い走破性の軽自動車、スズキ「ジムニー(LJ20/LJ20V/SJ20)」

かつて存在した自動車メーカー「ホープ自動車」は、四輪駆動の軽自動車「ホープスターON型」を1968年に発売します。このホープスターON型の製造権を譲り受けたスズキは、自社で生産できるよう仕様変更を施し、1970年に初代ジムニー(LJ10)を発表しました。

型式名に「20」のつく「LJ20」は、1972年に発売された2代目です。「LJ20V」はジムニーバンのことで、「LJ10」では空冷だったエンジンを水冷に変更しています。

1976年、軽自動車の規格が変更されると、スズキはジムニーに新しいエンジンを搭載し、型式も名は「SJ10」に。1977年には、ふたたび「20」のつくモデル「SJ20(通称:ジムニーエイト)」が登場します。「SJ20」は、水冷4サイクル4気筒0.8リットルエンジンを搭載したモデルで、小型自動車登録された最初のジムニーとなりました。

「AW11」がフルモデルチェンジ!トヨタ「MR2(SW20)」

1984年、日本で最初の量販コンパクトミッドシップカー、トヨタ「MR2(AW10/AW11)」が登場します。「SW20」は2代目MR2として、1989年に発売されました。エンジンの排気量は、2.0リットルに拡大。

発売当初、自然吸気エンジンモデルは165PS、ターボモデルは225PSでしたが、マイナーチェンジを行うたびにエンジン性能や運動性能、ボディ性能の向上策が施され、最終モデルでは最上位自然吸気モデルで200PS、ターボモデルは245PSに達していました。

「天才タマゴ」ことトヨタ「エスティマ(TCR20W)」

「スポーティカーの走る楽しさと1BOXカーの使う楽しさを融合させたニューコンセプトサルーン」というコンセプトの元に開発され、1990年に登場したエスティマ。「天才タマゴ」というキャッチコピーが示すよう、タマゴのような独特のフォルム(ワンモーションフォルム)は高い注目を集め、深く印象に残るものでした。

「型式名は10じゃないの?」と思った方は鋭い。後輪駆動モデルの型式はたしかに「TCR10W」ですが、フルタイム4WDモデルは「TCR20W」だったのです。

また、エスティマを5ナンバー枠に収まるサイズに改修したモデル「エスティマルシーダ(TCR20G)」と「エスティマエミーナ(CXR20G)」の型式にも、「20」が使用されています。

妥協なきエントリーモデル、BMW「1シリーズ(F20/F20LCI)」

BMWのエントリーを受け持つ、プレミアムコンパクトの1シリーズ。「F20」は2011年から2019年8月にかけて登録された第2世代1シリーズの中で、5ドアハッチバックモデルを指します(3ドアは日本未導入)。また、2015年に施されたフェイスリフト以降のモデルは「F20LCI」(3ドアはF21)と呼ばれました。

1シリーズの特徴は、FRを採用すること。F20はエンジンに1.6リットル直列4気筒ターボを搭載する116iと、120iが発表され、のちにMシリーズとの中間に位置する、M135iが登場します。このM135iはエンジンに3.0リットル直列6気筒ターボを搭載し、ボディや足回りに専用のチューニングが施されたグレードです。

欧州のプレミアムブランドに挑戦したレクサス「IS250(型式GSE20)/IS F(USE20)」

1989年に北米でスタートし、欧州やアジアに展開した「レクサス」。ISは「感動と快感の走り」をテーマに、ドライビングを愉しむための走りを追求したインテリジェントスポーツセダンとしてデビューしました。型式名に「20」のつく「GSE20」は、2.5リットルV型6気筒エンジンを搭載するIS250の型式で、3.5リットルV型6気筒エンジンを搭載するIS350の型式は「GSE25」になります。

レクサスのプレミアムスポーツカーを意味する「F」。この「F」が「富士(FUJI)スピードウェイ」を意味していることは、あまりにも有名です。型式名称「USE20」となるIS Fは、とりわけハイパフォーマンスなモデルで、5.0リットルV型8気筒エンジンや、2ペダルスポーツトランスミッション「8-Speed SPDS(8速スポーツダイレクトシフト)」を搭載していました。

ル・マン「GT1」クラスを制覇するために生まれた、トヨタ「GT-One(TS020)」

(写真:糸井賢一)
(写真:糸井賢一)

過酷な耐久レースとして有名な「ル・マン24時間レース」。1998年、トヨタはル・マンのGT1クラスに参戦するため「GT-One(TS020)」を開発しました。その型式名が示すよう、前身には1991年に開発されたグループCカーの「TS010」があり、後継に2012年に開発されたプロトタイプレーシングカーの「TS030ハイブリッド」が存在します。

1998年のル・マンでは圧倒的な速さを見せたTS020ですが、トラブルに泣かされ、出走した3台中2台がリタイヤ。片山右京選手、鈴木利男選手、土屋圭市選手がステアリングを握る27号車が完走を果たし、総合9位を獲得しました。

1999年、トヨタは再びル・マンへの挑戦を発表。3台のGT-Oneが、新設されたLM GTPクラスに出走します。昨年、戦績から優勝も期待されましたが、完走の壁は厚く、3台中2台がリタイヤに。残った1台、片山右京選手、鈴木利男選手、土屋圭市選手がステアリングを握る3号車が、総合2位、LMGTPクラス優勝を果たしました。

まだまだある、「20」の付くクルマたち

ここまでに取り上げたクルマはごく一部です。ほかにも、「20」のつくクルマはたくさんあります。

●トヨタ
bB
(QNC20)、RAV4(ACA20W)、アルファード(ANH20W/GGH20W)、ウィッシュ(ZGE20G/ZGE20W)、ヴェルファイア(ANH20W/GGH20W)、タウンエース(R20)、プリウス(NHW20)、プロナード(MCX20)

●日産
NV200
バネット(M20/BM20)、NV200バネットバン(VM20)、ミストラル(R20/KR20)など

●BMW
第6世代5シリーズ(FW20/MX20/XG20ほか)、第7世代5シリーズ(JR20/JA20/JM20ほか)など

●ウィリアムズ
ウィリアムズFW20

2020年は「20」の付くクルマにとって記念の年。オーナーならば、きっと特別な1年になることでしょう。
 

(文:糸井賢一 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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