地球の環境のため、ガソリン代節約のため。燃費の良い運転を学ぶ「エコトレーニング」

エンジンの高効率化にくわえ、ハイブリッドシステムやアイドリングストップ機能、転がり抵抗の少ないエコタイヤの登場により、クルマの燃費は飛躍的に向上しました。しかし、ドライバーが適切な運転操作を行うことで、燃費はさらに伸びるかも知れません。

今回はJAF(一般社団法人 日本自動車連盟) 東京支部と九都県市首脳会議 環境問題対策委員会 大気保全専門部会との共催により「東久留米自動車教習所」で開催された、燃費向上の知識や技術を学べる実技型講習「エコトレーニング」を取材しました。

燃費の改善は地球環境への優しさにつながる

JAFの提案するエコトレーニングは2005年より始まりました。多くの人が燃費を意識し、環境に優しい運転「エコドライブ」を心がけることで、地球温暖化の要因の一つである二酸化炭素の削減につながります。そのための知識と技術を広めることが講習の目的です。

この日は、募集人数21名に対して48名もの応募があり、エコトレーニングへの関心の高さをうかがえます。講習は座学と、実際にクルマに乗って行う実技を繰り返して進行していきます。

最初にエコトレーニングを共催する「九都県市首脳会議 環境問題対策委員会 大気保全専門部会」の職員より、地球温暖化と温室効果ガスについての実情と、エコドライブの重要性が解説されます。

続いてJAFのインストラクターより、この日のスケジュールが説明され、その後、敷地内の道路を運転し、エコトレーニング前の燃費を計測します。

教習車にはセンサーがついていて、燃費やアクセル開度といった各種データが参加者別に記録されます。同乗するインストラクターの端末にも表示される仕組みになっています。

全員の燃費を計ったところで休憩をはさみ、エコドライブの座学が行われます。

エコドライブを続ける秘訣は無理をしないこと

インストラクターの谷宗一郎さんによれば、エコトレーニングで学ぶエコドライブは「周りの状況にあわせて、できることをできる範囲で」を基本としているそうです。そして何度も「無理(な燃費の追及)はしないこと」と呼びかけていました。
例えば、極端にゆっくりと走行するといったエコドライブをすることで、一時的に燃費は伸びます。しかし次第に運転が苦痛となり、エコドライブを止めてしまうそうです。この日学んだエコドライブを無理せず長く続けることが、インストラクターをはじめとするJAFの願いとのことです。

座学の具体的な内容は「正しい運転姿勢を取る」、「車間距離を取り、おだやかなアクセルワークを心がける」、「交通状況を把握し、先を読みながら一定の速度で走行する」など、特別な操作を要求するものではありません。運転時以外にできることとして「タイヤの空気圧を適正に保つ」、「余計な荷物をおろし、軽い状態を維持する」、「暖気をしない」などが挙げられました。

エコドライブを心がけることは燃費を伸ばすだけではなく、安全運転や車両のトラブルを防止することにもつながります。最後に谷さんは「エコドライブと安全運転は両立します」と、まとめていました。

座学の内容を踏まえて再び運転を行い、エコドライブによる燃費の計測をしました。

計測終了後、次世代車の説明と同乗走行が行われます。クルマは九都県市首脳会議 環境問題対策委員会 大気保全専門部会が持ち込んだホンダの燃料電池車「クラリティ フューエル セル」と、JAF東京支部が持ち込んだトヨタのプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」です。

クラリティは、日頃目にしないクルマとあって、参加者から高い注目を集めていました。

具体的な数値でエコトレーニングの効果を実感できる

走行データの統計終了後、「結果診断書」が参加者に配られ、個別にインストラクターからの解説と、今後のエコドライブに向けたアドバイスがもらえます。

これまで開催してきたエコトレーニングで得られたデータによると、講習の前と後では平均で17%もの燃費の改善がみられるそうです。

この後、各参加者は交付された参加修了証を受け取り、エコトレーニングは終了となります。

エコトレーニング自体は、全国で定期的に開催しています。地球環境の改善に取り組みたいドライバー、あるいは燃費の向上により経済的な負担を軽くしたいドライバーには、うってつけの講習会です。

(取材・文・写真:糸井賢一 編集:奥村みよ+ノオト)

<関連リンク>
実技講習会「エコトレーニング」
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/practical-training/eco-training

[ガズー編集部]

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