代官山 蔦屋書店に聞く「クルマの本」のベストセラー10とおすすめ3選 ~2020年春版~
クルマというのは不思議なモノで、そのバックストーリーや詳しい解説など、内容を知れば知るほど、より好きになってしまうもの。そこで、クルマ関連のイベントも数多く実施している代官山 蔦屋書店(東京渋谷区)でクルマコンシェルジュを務める清野龍太さんに、ここ1年ほどの「クルマの本」のベストセラーを教えていただきました。まずは10冊、発売日順に紹介します。
F1の“現場監督”が解説するレースのリアル
『エンジニアが明かすF1の世界』
- 『エンジニアが明かすF1の世界』 小松礼雄(著)/東邦出版 2019年4月発売 価格:1870円(1700円+税)
日本人として初めてF1チームの“現場監督”を任された著者が、レースの現場を紹介。BARホンダをはじめ、ルノーF1、ハースF1チームで働いてきたプロ中のプロだからこそ見えてくるものがあります。レース観戦が楽しくなる1冊です。
クルマを見る目が変わる至言続々!
『続 自動車問答』
- 『続 自動車問答』 沢村慎太朗(著)/文踊社 2019年7月発売 価格:1540円(1400円+税)
モータ―ジャーナリストの沢村慎太朗氏が、クルマに関する難問珍問に誠心誠意をもって答える1冊。「ステアフィール。女のコで言えば、それは肌なんです」など、クルマの見方さえも変わってしまうかもしれない至言が続出する、人気作の続編です。
21世紀に甦ったイタリアの奇跡を振り返る
『フィアット500&アバルトストーリー』
- 『フィアット500&アバルトストーリー』 相原俊樹(著)/三樹書房 2019年8月発売 価格:5280円(4800円+税)
フィアット社創業期から初代500(トッポリーノ)の時代を皮切りに現代にまで続く、フィアット「500」の歴史とその魅力をアバルトとあわせて紹介する1冊です。フィアットファン、アバルトファンであれば、資料としても価値があり、ぜひとも手元に置いておきたい本でしょう。
「いいクルマ、読まずに買えるか!」と福野節炸裂
『福野礼一郎のクルマ論評 4』
- 『福野礼一郎のクルマ論評 4』 福野礼一郎(著)/三栄 2019年10月発売 価格:1980円(1800円+税)
率直すぎる自動車評論でカリスマ的人気を誇る福野礼一郎が、『モーターファン・イラストレーテッド』などでの連載を加筆修正した人気シリーズの最新作。トヨタ「クラウン」、「センチュリー」、スズキ「ジムニー」、メルセデス・ベンツ「Aクラス」など今作も話題モデルばかり。
ミニと設計者の人生を丹念にたどる価値ある1冊
『ミニの誕生から終焉 名設計者アレック・イシゴニスを中心として』
- 『ミニの誕生から終焉 名設計者アレック・イシゴニスを中心として』 ジリアン・バーズリー(著)、小島薫(編著・訳)/三樹書房 2019年11月発売 価格:3080円(2800円+税)
英国の自動車考証家が、ミニの設計者であるアレック・イシゴニスとミニの人生を綴る1冊で、日本の読者がより理解できるよう、構成・追記された翻訳作品です。遺された資料やスケッチ、関係者などへの取材をもとに、新たな事実まで解き明かされています。
1960年からのイタリア車の歴史を図鑑で辿る
『イタリア車大図鑑』
- 『イタリア車大図鑑』 カーグラフィック編集部/カーグラフィック 2019年12月発売 価格:24200円(22000円+税)
1960年から2017年末までイタリアで製造・販売された乗用車、361モデルを収録した天地300ミリ×左右225ミリという迫力の大図鑑です。『カーグラフィック』とイタリアの老舗エディトリアーレ・ドムス社による貴重な写真を満載。
有料メールマガジンの発信を再編集した痛快自動車評論
『午前零時の自動車評論16』
- 『午前零時の自動車評論16』 沢村慎太朗(著)/文踊社 2019年12月発売 価格:1650円(1500円+税)
先に紹介した『続 自動車問答』の著者である沢村慎太朗氏が有料週刊メールマガジンなどに発表した自動車評論を編集・加筆。こちらも、人気シリーズの最新作です。「いやもうイタリア人は最高だ。ダウンサイズ過給と言いながら、その実エコはポーズだけで、単に馬力を出したくてターボをつけたのがミエミエである」など、痛快そのもの。
歴史的シリーズの最新作登場!
『2020年版 間違いだらけのクルマ選び』
- 『2020年版 間違いだらけのクルマ選び』 島下泰久(著)/草思社 2019年12月発売 価格:1650円(1500円+税)
1970年代から1990年代にかけて大ヒットした徳大寺有恒氏の『間違いだらけのクルマ選び』シリーズが、2011年にモータージャーナリスト島下氏との共著によって復活。2016年より、島下氏単独による著書として続いています。
まるごと1冊、オースチン・ヒーレー・スプライトマークⅠ
『「カニさん」ブック』
- 『「カニさん」ブック』 いのうえ・こーいち(著)/こー企画 2020年1月発売 価格:2420円(2200円+税)
「カニさん」や「カニ目」の愛称で親しまれているイギリスのスポーツカー、オースチン「ヒーレー・スプライトマークⅠ」を徹底解説。60年も前のクルマですが、いまだに熱心なファンが存在する「カニさん」の魅力が、この本で理解できます。
トヨタ「1600GT」の詳細に迫る “構造解説書”登場
『CLASSIC CAR COMPLETE FILE Vol.01 TOYOTA 1600GT』
- 『CLASSIC CAR COMPLETE FILE Vol.01 TOYOTA 1600GT』 ネコパブリッシング 2020年3月発売 価格:4400円(4000円+税)
名車トヨタ「2000GT」の弟分である「1600GT」。知名度は低いもののレースで大活躍した影の名車です。3年におよぶオーバーホールの記録から各部位の構造を解き明かす、市販版“構造解説書”。1600GTのメカと歴史を知る大型本です。
大量のクルマ本を読んできたクルマのコンシェルジュさんのおすすめ3冊
ベストセラー本の次は、クルマコンシェルジュである清野さんが近年、発売された本で「これは!」という良質な本を3冊おすすめしていただきました。
30年以上にわたって取材した筆者渾身のバイブル本
『トヨタ ランドクルーザー70系 世界のワークホース』
- 『トヨタ ランドクルーザー70系 世界のワークホース』 難波 毅(著)/ジオスコープ 2017年12月発売 価格:11000円(10000円+税)
「30年以上ランドクルーザーを取材している難波毅氏による70系のバイブルです。70系について、活動している雄姿、生産工場の取材、詳細スペック一覧など収められているデータ量に圧倒されます。まさに“バイブル”の言葉に間違いのない1冊です」(清野氏)
入門者におすすめの数少ないランドローバーの専門誌
『LAND ROVER STYLE CHANNEL VOL.2』
- 『LAND ROVER STYLE CHANNEL VOL.2』 チアーズライブ 2019年4月発売 価格:1650円(1500円+税)
「人気の車種でありながら専門誌が数少ないランドローバー。これはそのうちの1冊です。クラシックから現行まで各モデルの解説、イベント紹介や専門店のインタビューと専門誌ならではの視点で作られた本誌は、これからランドローバーを知る方に手助けとなる1冊です」(清野氏)
ボクスターのオーナーならぜひとも欲しいメンテナンスブック
『101プロジェクト ポルシェボクスター 986/987』
- 『101プロジェクト ポルシェボクスター 986/987』 ウェイン・デンプシー (著)、 夏目 紘平(訳・著)/シースケープ・パブリッシング 2019年8月発売 価格:8778円(7980円+税)
「ポルシェボクスター(986/987シリーズ)のメンテナンスブックの日本語版です。トラブルに対する対応方法やボクスターのエンジンを911のエンジンにスワップするための詳細な組み合わせ方法などオーナー必携の1冊です」(清野氏)
ひとくちに「クルマの本」といっても、図鑑から評論、マニュアル、ムック本まで、その内容はさまざまです。たまにはハンドルではなく、書籍を手にしてクルマを楽しむのも、いい時間の過ごし方なのではないでしょうか。
- 取材協力:代官山 蔦屋書店
(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:代官山 蔦屋書店 編集:木谷宗義+ノオト)
<関連リンク>
代官山 蔦屋書店
https://store.tsite.jp/daikanyama/access/
[ガズー編集部]
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