首都高の電光掲示板に示される「▲」の意味を知ってる? 見やすく進化している渋滞表示

東京都心部の道路交通の要であり、都心部の移動だけでなく郊外へ通じて各高速道路を繋ぐ役割をはたしているのが首都高速道路。通称「首都高」です。

そんな首都高ですが、日常的に交通集中などによる渋滞が発生しています。刻々と変わるその状況をドライバーへ伝える役割を果たしているのが首都高の入り口や道路上に設置されている「情報板」。日常的に首都高を利用するドライバーなら、情報板の案内を参考にルートを選んでいるという人も多いことでしょう。今回は、情報板の種類やその見かたについて調べてみました。

情報板の種類は?

情報板には大きくわけて2種類あります。ひとつは渋滞や混雑、そして事故・故障車と通行止めを図で表示する「図形情報板」と呼ばれるタイプ。もうひとつは文字で通過時間や渋滞情報を示す「文字情報板」。いずれも要所要所に設置されていて、広範囲の情報は図形情報板から、よりピンポイントで詳細な情報は文字情報板から得ることができます。

どこで渋滞や混雑が発生しているかわかりやすい図形情報板。見やすいようにとても大きなサイズです。(写真:工藤貴宏)
どこで渋滞や混雑が発生しているかわかりやすい図形情報板。見やすいようにとても大きなサイズです。(写真:工藤貴宏)
渋滞の長さまで表示される文字情報板は詳細な情報を確認できる。(写真:工藤貴宏)
渋滞の長さまで表示される文字情報板は詳細な情報を確認できる。(写真:工藤貴宏)

文字情報板の「▲」ってなに?

ところで、文字情報板にはときどき三角形のマークが表示されることがあるのをご存知でしょうか? この三角形は渋滞の情報とともに示されますが、実はドライバーへ渋滞の変化を知るヒントを与えてくれるものなのです。

左側が尖った赤い三角形が示すのは渋滞の増加。渋滞が増加傾向(渋滞の長さが伸びている)ときに表示されます。ドライバーはこれを見て「通過所要時間がさらに伸びる」と判断できます。

文字情報板のもっとも右側に「▲」が示される。写真は合成したイメージです。
文字情報板のもっとも右側に「▲」が示される。写真は合成したイメージです。

一方で、左側が尖った緑色の三角形は渋滞の減少傾向。通過所要時間が短くなりつつあることをドライバーに伝えているのです。文字情報板の三角形は、「渋滞が伸びているのか、それとも縮んでいるのか」をドライバーに分かりやすく伝えるための工夫というわけですね。

首都高の文字情報板は1分毎に情報を更新していて、「渋滞を抜けるまでの所要時間」を1分前と現時点で比較。大きく増加していれば赤色の三角形(増加傾向)、大きく減少していれば緑色の三角形(減少傾向)を表示する仕掛けになっています。

かつては、渋滞が増えているのか減っているのかわからなかった

渋滞の増減を示すこの三角形が表示されるようになったのは、2006年のはじめから。それまでは、案内板を通して渋滞通過の所要時間を把握することができても、その渋滞が伸びているのが減っているのかを知ることはできませんでした。しかし、この三角形の表示によって渋滞の増減傾向を把握できるようになり、ドライバーとしては「渋滞が伸びていれば首都高を降りて一般道を走行した方がいい」とか、「渋滞が減っているからこのまま首都高で進んだ方がいい」という判断ができるようになったというわけです。

ちなみに、文字情報板の渋滞情報の表示は基本的に自動化されています。仕組みは、道路上に設置している車両感知器からの交通データを自動で収集・処理し、情報板に表示するというもの。ただし、事故・故障車などの渋滞発生原因、交通安全啓発、工事予告情報などは、交通管制室から手動で入力しているそうです。

2020年の3月から、文字情報板はさらに進化

そして2020年3月22日からは、文字情報板がさらに進化しました。従来の表示は画面を上段と下段に分けて行き先ごとの情報を分けていましたが、一部のジャンクション(分岐)の手前では分岐の方向に合わせて画面を左右に分割。慣れない人でも、「左に分岐した先の情報」と「右に分岐した先の情報」を感覚的に瞬時に見分けることができることを狙った工夫です。

左右を分割した新しいタイプの表示。ジャンクション手前で採用されている。情報の種類によっては上下段に表示する場合もある
左右を分割した新しいタイプの表示。ジャンクション手前で採用されている。情報の種類によっては上下段に表示する場合もある

さらに、これまで先行して採用していた中央環状線山手トンネルに加えて、4号新宿線の下りなど一部の文字情報版では「簡易図形(オビ)」と呼ばれる方法で自車位置と渋滞/混雑発生区間や所要時間を表示。図形と文字を組み合わせることで、内容を瞬時にわかりやすくドライバーへ伝えることができます。

進行方向の状況が瞬時に把握できる「簡易図形(オビ)」。
進行方向の状況が瞬時に把握できる「簡易図形(オビ)」。

情報板を活用するコツを首都高の広報室に伺うと、
「首都高の文字情報板は、入口、出口手前、ジャンクション手前に設置しておりますので、経路選択などの参考にしてください。慣れていない場合は、首都高の文字情報板の見方を事前にウェブサイトで確認しておくと、実際に道路上で表示を見たときに理解しやすくなるでしょう。また、首都高をご利用前に現在の交通状況をウェブサイトなどで確認しておくと、文字情報板の表示内容も理解しやすくなると思います。」
と教えてくれました。

渋滞をできるだけ回避してスムーズに走るのはもちろん、安全のためにも、情報板の見かたやその意味をしっかり覚えておきたいですね。

※イメージ図は首都高ドライバーズサイト(https://www.shutoko.jp/)より引用。

(文:工藤貴宏 写真:首都高ドライバーズサイト 編集:奥村みよ+ノオト)

<関連リンク>
首都高ドライバーズサイト
https://www.shutoko.jp/
首都高ドライバーズサイト 文字情報板の見方
https://www.shutoko.jp/use/convenience/infoboard/chara/

[ガズー編集部]

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