亡き父との思い出が詰まった“ワーゲンバスっぽい”移動カフェ「café flat ♭」<キッチンカー探訪>
ワーゲンバスのようなかわいらしさだが、とてもコンパクト。さいたま市を拠点とする「café flat ♭」は、軽自動車の機動性にフォルクスワーゲンのかわいらしさをプラスした“ワーゲンバス仕様”の車体を使用。内装は店主の金光治美さんと彼女の亡きお父様との共作。唯一無二のキッチンカーを作り上げました。
予算面からワーゲンバス“仕様”を選択
- 「café flat ♭」の様子
「ふらっと立ち寄れて、丁寧に淹れたコーヒーで気持ちを落ち着かせリラックスしてほしい」との思いから、音楽記号の「♭(フラット)」を店名にした金光さん。いざ移動カフェを実現するにあたり、当初はフォルクスワーゲンを念頭に置いていたそう。
「元々はワーゲンバスでやりたかったのですが、車体価格が300万円〜というものばかり。維持費もバカにならないのでなくなく諦めました。クルマはあまり詳しくないため、エンジントラブルや部品の修理など不安要素もあり、“ワーゲン仕様”にしました」(金光さん)
- フラット号のベースとなったダイハツ「ハイゼット」2005年製
- 「ハイゼット」をワーゲン仕様にカスタム
埼玉県にある車体カスタムやキッチンカーを取り扱う会社で2015年6月、ダイハツ「ハイゼット」を購入。その後3ヶ月かけてワーゲン仕様にカスタムしたそうです。
「もう一台、軽自動車があったのですが、ハイゼットの方が車内も広く、キッチンカーに適していると思い選びました。また天井部分に窪みがあり、荷物を掛けたりできそうな構造だった点もポイントですね。軽自動車はコンパクトなので狭い場所でも出店でき、コスト的にも助かっています」(金光さん)
DIY好きの父が内装を担当
当初、内装は金光さん一人で作ろうと考えていたそう。そこに待ったをかけたのがお父様でした。なんでもお父様はDIYが趣味で、自宅の家具のほとんどをご自身で作られたそうです。
「父と一緒にさまざまなキッチンカーを見て回り、構想から練りました。資材を切ったり、組み立てたり、釘を打つのは父に任せ、私は塗装やサンディングを担当。曲線に沿って木材を切るのがとても難しく、私一人では無理だったと思います。父は何回も削ってぴったりにはめてくれました」(金光さん)
- お父様力作の収納式カウンター
結果、作業の8割方はお父様が担当。製作途中、さまざまアイディアを出し合いながら進めていったそうです。
特に工夫したというポイントは収納式のカウンター。木材一つで固定でき、剥き出しの金具もなく、簡単に収納することができる優れものです。また車内のテーブルは、取り外しも高さも調節可能。水道設備はお客様からも見えるという点と、金光さん自身の好きなものということで、アンティーク調の蛇口にしたそうです。
- アンティーク調の蛇口が車内のアクセントになっている
身の回りのものを工夫して、使いやすいように作ることが好きだったというお父様。その技術と娘への愛がフラット号には溢れています。
「このクルマは父が遺してくれた宝物」
2016年1月、「café flat ♭」がオープンしました。
- 店主の金光治美さん(左)
コーヒーの味とともに、ワーゲン風のかわいらしい車体も「こんなクルマほしい」「おしゃれ!」と声をかけてくれるお客さんも多く好評だとか。きっとお父様も誇らしかったことでしょう。そんなお父様は病に倒れ、2018年の晩秋に亡くなられたそうです。
「製作当時のことを思い出すと、既にエスプレッソマシンは購入していたので、私が淹れたカフェラテを一緒に飲みながら、『今日の夕飯は何がいい?』といった他愛もない会話をして休憩したことを覚えています。また、母の帰りが遅い夜は父と一緒に外でキャンプのように晩酌をして、母には内緒でビールやら日本酒やらを飲みました。
フラット号は父が遺してくれた世界でただ一つの大切な宝物です。この先、もし移動販売を辞めても一生手離しません」(金光さん)
- トランクの扉を開けて開店
憧れのワーゲンバスに近づけた外装。父娘のかけがえのない時間と愛で作られた内装。単なるキッチンカーを超えた、いろいろな思いを詰め込んだフラット号。このクルマを相棒に金光さんは気持ちがふっと解けるコーヒーを淹れていくことでしょう。
(取材・文:別役ちひろ 写真:café flat ♭ 編集:奥村みよ+ノオト)
<取材協力>
café flat ♭
https://www.instagram.com/cafe_flat/
[ガズー編集部]
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