高速道路のSAにロボットが登場。どんなロボットなの?

“働くロボット”といえば、どのような姿を想像しますか? マンガやアニメに登場するような何でもできるロボットは、残念ながらまだ登場していません。しかし、アームだけの産業用ロボットや床を掃除するロボットは、すでに普及期に入っているといえるでしょう。

そんなロボットが、東北自動車道・蓮田サービスエリア(以下SA)の上り線に7月から採用されました。それが「グリーンパト」と名付けられた自動芝刈り機です。いったい、どのようなロボットなのか。NEXCO東日本 加須管理事務所 竹内文彦さんに伺いました。

広い敷地の維持管理の効率化、作業員不足への対応が目的

まずどういう理由から自動芝刈りロボットを導入したのかをお聞きしました。

「蓮田SA(上り)は東日本最大級のSAとなっていますが、その広大な施設や敷地の維持管理効率化のため、令和2年1月にトイレに業務用ロボット床面洗浄機を導入するなど、ロボット化を進めています」(竹内さん)

蓮田SA(上り)は2019年の夏に場所を移すという大掛かりなリニューアルを実施。そこでエリア全体が大きくなり、東日本エリアで最大級のSAとなりました。その広い施設の維持管理のためにすでにトイレの床掃除用ロボットが導入されていたのです。そして、今回、第2弾のロボットとして、自動芝刈り機「グリーンパト」が導入されることになったそうです。

蓮田SA(上り)では、芝刈り機の前にトイレの床掃除用のロボットを導入済みでした。(写真:NEXCO東日本)
蓮田SA(上り)では、芝刈り機の前にトイレの床掃除用のロボットを導入済みでした。(写真:NEXCO東日本)

ちなみに、この自動芝刈り機「グリーンパト」は、毎日、その場に放置しても問題ないくらいちょっとずつ芝をカットするため、芝を集めて捨てるコストがかかりません。また、無人で可動するため作業員不足にも対応しますし、作業員の熱中症やケガ、振動による病気などのリスクもなくなります。もちろん、芝刈り用のブレードはボディの内側にあり、障害物と衝突すると自動で停止して向きが変わるなど、安全性も確保されているそうです。コストの削減や人手不足にも対応し、さらに安全性も確保されているというのが特長です。

ロボットは北欧メーカーの最新モデルを採用

ロボットといっても、自動芝刈り機「グリーンパト」は新たに開発されたわけではありません。

「ロボットは量産品です。Husqvarna(ハスクバーナ)社の『AUTOMOWER (TM)435X AWD』に装飾を施したものになります」(竹内さん)

Husqvarna(ハスクバーナ)社は、スウェーデンの農林・造園機器や建設機械のメーカーです。なんとその歴史は300年以上。現在はチェーンソーが有名ですが、ロボット芝刈り機も複数のモデルを発売しています。そして、「AUTOMOWER (TM)435X AWD」は、1日の作業エリア能力が3500m²にもなる高性能モデル。AWD(全輪駆動)なので起伏のある場所にも強いという特長もあります。

芝刈りを行う場所は、地中約5㎝に埋めた境界ワイヤーによって決められています。境界ワイヤーには微弱な電流が流れており、芝刈り機が、その電流を感知して芝を刈るエリアを認識するのです。

「内蔵されたGPSのアシスト機能により、どこから見ても高さが均一になるよう、ムラなく芝を刈ることができます。なお、充電が必要となると、自動で充電ステーションに格納されます。リチウムイオンバッテリー(18V/5.0Ah)を搭載しており、充電1回あたりの標準運転時間は100分です」(竹内さん)

蓮田SA(上り)の散策エリアの芝生を刈っている自動芝刈り機「グリーンパト」。(写真:鈴木ケンイチ)
蓮田SA(上り)の散策エリアの芝生を刈っている自動芝刈り機「グリーンパト」。(写真:鈴木ケンイチ)

“チリチリ”と芝を刈りつつ、行ったり来たり

実物の自動芝刈り機「グリーンパト」を見たいという人は、蓮田SA(上り)の駐車場横にある芝生の散策エリアを覗いてみましょう。作業中であれば、芝生をゆっくりと小刻みに行ったり来たりしている自動芝刈り機「グリーンパト」を見ることができるはずです。全長が93㎝、幅が55㎝もあって、意外と大柄です。その車体を器用にクネクネと曲げながら走行しています。電動車なので、“チリチリ”とブレードが芝を刈る音がかすかに聞こえるだけ。静かなものです。

自動芝刈り機「グリーンパト」の作業エリアは、小型車駐車場の隣・散策エリアの芝生。(写真:鈴木ケンイチ)
自動芝刈り機「グリーンパト」の作業エリアは、小型車駐車場の隣・散策エリアの芝生。(写真:鈴木ケンイチ)

充電中であれば、芝生エリアの端にある専用の充電ステーション小屋の中に佇んでいることでしょう。ちなみに小屋は、NEXCO東日本のOB有志が作成したものだそうです。

充電ステーションはNEXCO東日本OBによる手作りの小屋。(写真:NEXCO東日本)
充電ステーションはNEXCO東日本OBによる手作りの小屋。(写真:NEXCO東日本)

自動芝刈り機「グリーンパト」のカラーリングはNEXCO東日本のパトロールカーのデザインを基本としたものです。鳥のようなキャラクターは、蓮田市のマスコットキャラクター「はすぴぃ」。ナンバーが「9374(クサナシ)」となっているなど、けっこう凝った作りになっています。蓮田SA(上り)に立ち寄ったら、ぜひとも働く姿を見てみることをおすすめします。健気でかわいらしいものですよ。

2020年7月6日に開催された自動芝刈り機「グリーンパト」の発進式には、蓮田市長・中野和信氏や蓮田市のマスコットキャラクター「はすぴぃ」が駆け付けた。(写真:NEXCO東日本)
2020年7月6日に開催された自動芝刈り機「グリーンパト」の発進式には、蓮田市長・中野和信氏や蓮田市のマスコットキャラクター「はすぴぃ」が駆け付けた。(写真:NEXCO東日本)

<関連リンク>
パサール蓮田SA(上り)
https://www.driveplaza.com/sapa/1040/1040021/1/
ハスクバーナ・ゼノア株式会社
https://www.husqvarna.com/jp/

(取材・文・写真:鈴木ケンイチ 写真:NEXCO東日本 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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