SUVよりもトラックが売れている? アメリカ驚きの新車事情

突然ですが、昨年(2019年)に日本で販売台数の多かった「乗用車(普通乗用車+小型車)」のトップ3をご存知でしょうか。
1位はトヨタ「プリウス」で12万5587台。2位は日産「ノート」で11万8472台。そして3位はトヨタ「シエンタ」で11万880台。それが乗用車の販売上位3車種です。

しかし、実はそれらは日本のクルマの販売トップ3ではありません。さらに上がいるのです。ナンバーワンはホンダ「N-BOX」で25万3500台、以下ダイハツ「タント」が17万5292台、スズキ「スペーシア」が16万6389台、そして日産「デイズ」が15万7439台と“軽自動車”が続きます。軽自動車まで含めた日本のランキングでは、なんと新車販売のトップから4位までを軽自動車が独占。意外に思う人もいるかもしれませんが、たしかに街では軽自動車を見かけることが多くなりました。

アメリカでのランキング上位はSUV

それでは、海外の新車販売ランキング上位はどうでしょうか?
世界第2位の自動車市場であるアメリカ(米国)の人気車種を調べてみたら、まるで日本の軽自動車人気のようになんとも驚くべき、意外な事実がありました。

アメリカはSUVの人気がきわめて高い国と聞いたことがある人も多いことでしょう。2019年の新車販売(商用車を除く)におけるSUV(クロスオーバーSUVやスポーツワゴンを含む)の比率はなんと48.2%。新車が2台売れたとすれば、うち1台がSUVということになるのですから驚きです。

トヨタ「RAV4」はアメリカの「乗用車」として2019年にもっとも売れた。(写真:トヨタ自動車)
トヨタ「RAV4」はアメリカの「乗用車」として2019年にもっとも売れた。(写真:トヨタ自動車)

そんなアメリカの乗用車ランキングトップはトヨタ「RAV4」で44万8068台。2位はホンダ「CR-V」で38万4168台、そして3位はシボレー「エクイノックス」で34万7319台。トップ3をSUVが占めているのはさすがです。そして、日本の新車ランキングと比べてみると台数自体が多いことにもビックリですね。

しかし、アメリカにはSUVよりも売れているジャンルが!

しかし、本当に驚くのはここから。アメリカにはなんと、SUVの人気上位モデルよりも売れているクルマがあるのです。それも3台も。

トップはフォード「Fシリーズ」で台数は驚異的としか言いようのない89万6526台。次いでラム「ピックアップ」の62万5275台、そしてシボレー「シルバラード」の57万2991台と続きます。なんという販売台数の多さでしょうか。日本の最量販車種Nボックスの約4倍となるFシリーズは、アメリカの乗用車販売トップに立つ「RAV4」と比べても約2倍。売れに売れています。

2019年にアメリカでもっとも売れたクルマはフォード「Fシリーズ」。(写真:フォードモーター)
2019年にアメリカでもっとも売れたクルマはフォード「Fシリーズ」。(写真:フォードモーター)

ところでFシリーズやラム・ピックアップ、そしてシルバラードとはどんなクルマかイメージできますか。それら3台は、ピックアップトラックなのです。まさに、所変われば品変わる。アメリカでは、乗用車の人気モデルよりもピックアップトラックのほうが売れているなんて意外ですよね。

ラムのピックアップも根強い人気を誇る。(写真:FCA)
ラムのピックアップも根強い人気を誇る。(写真:FCA)

トラックが人気となっているわけは?

では、なぜアメリカではピックアップトラックの人気がここまで高いのでしょうか?
保険料が安いとか便利に使える(アメリカの人は日常的にホームセンターで大型の商品を買う)といったメリットもあるのですが、現地の人に尋ねてみると、最大の理由は“力強さ”や“男らしさ”といったイメージ的な部分とのこと。文化面において開拓者精神が今なお根強く残るアメリカにおいて、カッコよさやワイルドさを象徴するクルマがピックアップトラックというわけです。

シボレーのピックアップトラック「シルバラード」。力強いフロントデザインは人気車に共通する特徴。(写真:GM)
シボレーのピックアップトラック「シルバラード」。力強いフロントデザインは人気車に共通する特徴。(写真:GM)

世界的に見ても極めて小さなクルマである「軽自動車」が売れる日本。対して全長6mちかい巨大なトラック(日本で販売しているトヨタ「ハイラックス」よりふた回りも大きい!)が信じられないほどたくさん売れるアメリカ。どちらも世界的に見れば珍しい現象ですが、いかにもその国の特徴が現れているエピソードですね。

(文・写真:工藤貴宏 写真:トヨタ自動車、フォードモーター、FCA、GM 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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