子どもたちの命を守るために。どう選ぶ?チャイルドシート

2000年の道路交通法改正により、6歳未満の乳幼児のチャイルドシート使用が義務化されてから今年で20年が経ちました。ところが、警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の合同で2019年に行われた調査では、チャイルドシートの使用はいまだ70.5%にとどまっているそうです。そもそもチャイルドシートにはどのような種類があるのか、どう選んだらよいのかなどを独立行政法人自動車事故対策機構(以下NASVA)の札幌主管支所 札幌主管支所長・亀井憲さん、マネージャー・山角雄一さんに聞きました。

チャイルドシートは子どもにとってのシートベルト

――NASVAでは、チャイルドシートアセスメントというチャイルドシートの安全性を評価する試験を2001年から行っているそうですね。チャイルドシートは子どもの安全のためと理解していますが具体的にどのような役目をしているのでしょうか。

大人がクルマに乗る時にはシートベルトを装着するのが基本ですよね。チャイルドシートは子どもにとってのシートベルトと一緒です。もし、子どもがそのまま座席で大人用シートベルトをすると身体が小さいためシートベルトが首に引っかかってしまうなどの危険性があります。体格に合ったチャイルドシートを選ぶことで子どもをクルマに安全に乗せることができるのです。ですから、チャイルドシートは成長に伴い次のような3段階に分けられます。

<乳児用> 0~1歳頃 体重10kg未満又は13kg未満 身長70cm以下

<幼児用> 1~4歳頃 体重9kg~18kg以下 身長65~100cm以下

<学童用> 4~10歳頃 体重15kg~36kg以下 身長135cm以下

各メーカーではこの3つの区分だけではなく乳児・幼児兼用タイプ、幼児・学童兼用タイプなど多様に展開していますので、お子さんの年齢・体格に合わせて選んでいくことになります。

 

取り付け方にも2つの方法が

――年齢・体格別以外にもチャイルドシートに種類はありますか?

取り付け方が2つに分かれます。

1つはベルト固定方式です。クルマのシートベルトで本体を固定するタイプですが、取扱説明書をきちんと理解した上で取り付ける必要があります。チャイルドシート自体に体重をかけたり、ベルトでしっかり固定したりするなど正しく取り付けるのが比較的難しいものが多いです。

  • シートベルト固定方式ではしっかり体重をかけて取り付けなければならない

もう1つはISO-FIX(アイソフィックス)固定方式になります。ISO-FIX共通取り付け金具によって取り付けをするものです。まずはチャイルドシート側のコネクターをクルマの座席に装備されているバーにカチンと確実にはめます。

  • ISO-FIX固定方式の場合、まずはクルマ側のバーに金具を確実にはめ込む。金具は全種共通。

そして、トップテザーまたはサポートレッグの調整をして取り付け完了となります。

  • トップテザーまたはサポートレッグの調整ができたら取り付け完了

取り外し/取り付けが簡単にできますので、例えば、おじいちゃんおばあちゃんのクルマに乗せ換えるといった場合にも手軽に安全に使用することが可能です。
ちなみに、2012年7月以降に発売されているクルマにはISO-FIX固定方式のチャイルドシート用の共通取り付け金具が全て装備されています。

子どもの命を守るためにチャイルドシートを選ぶ

――子どもの体格、取り付け方法によってチャイルドシートにはたくさんの種類があることがわかりました。では、どのような基準で選ぶとよいのでしょうか。

まずは、国土交通省の安全基準に適合したものを選びましょう。適合したチャイルドシートには型式認定マークがついていますのでそれがついているかを確認してください。

  • このマークがついているチャイルドシートを

その上で、お子さんの体格や年齢に合わせ、いつからいつまで使用したいと考えているかというところから適合するものを選んでいきます。取り付け方法については、簡単・確実に安全な取り付けができるという点からISO-FIX固定方式のタイプを特におすすめしています。もちろん、シートベルト固定式タイプのものも正しく取り付けられていれば安全性は確保されます。しかし、実のところ、確実な取り付けにはかなりの力が必要とされ、案外難しいのが現状です。ISO-FIX固定方式の方が誰でも簡単に取り扱うことができますので安心です。ご両親のクルマ、おじいちゃんおばあちゃんのクルマと何台かのクルマでチャイルドシートを共有して取り付け、取り外しを頻繁に行う予定であれば、なおのことISO-FIX固定方式の方がよいでしょう。

  • ISO-FIX固定方式のチャイルドシートは力がなくても確実に取り付けできる

また、ある程度使用したチャイルドシートをおさがりとして譲り受けるということもあるかもしれません。モノを大切にするという意味で心情的にはわかるのですが、これもできれば避けてほしいところです。目に見えないところが劣化していて、思わぬ事故につながることが考えられるからです。チャイルドシートは、大事なお子さんの命を守るためのものです。ぜひ、安全性の高い新しいものを購入していただきたいですね。

正しい装着方法で子どもも大人も安全なドライブを

――その他に気をつけなければならないことはありますか?

せっかくお子さんの体格に合った新品のチャイルドシートを選んだとしても、取り付け方が間違っていては安全性を発揮できません。2019年のチャイルドシート使用状況全国調査(警察庁・JAF合同調べ)では、残念ながら半数以上の52.4%がミスユースをしているという結果が出ています。取扱説明書をよく読んでしっかりと取り付けを行ってください。お子さんをチャイルドシートに座らせる時には肩ベルトが身体にきちんとフィットするように調整することも大切です。ベルトが緩んでいると、大人用のシートベルトをするのと同様にお子さんがベルトから抜け出しベルトが首にかかってしまう危険があります。また、これは夏に気をつけてほしいのですが、炎天下に駐車しておくと、チャイルドシート本体、バックル、ベルトなど、特に金属部分が熱くなり、やけどをしてしまうことが考えられます。お子さんを座らせる前にはこれらの部分が熱くなっていないか確かめてから使用するようにしてください。

NASVAの皆さんは「チャイルドシートも愛情のひとつ」と、おっしゃいます。子どもの命を守るため、安全運転を心がけるのは当然のこととして、それでも万が一ということはあるもの。義務だからということだけではなく、愛情として安全性の高いチャイルドシートの正しい装着が100%となることを切に願います。

<取材協力>
独立行政法人自動車事故対策機構
https://www.nasva.go.jp/

(取材・文:わたなべひろみ 写真:独立行政法人自動車事故対策機構 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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