時事ネタも話題に! 熊本県警察本部による交通情報板の裏側
ツイッターで「熊本県警」と検索してみると、タイムラインにはネオンサインで表示されたユニークな交通安全標語の画像やユーザーからのツッコミも交えた感想が、いくつも上がってきます。
交通情報板(道路上の電光掲示板)を使った熊本県警察本部による取り組みは、たびたびネット上でも話題を集めていますが、なぜこうした一風変わった交通安全の啓発を行っているのでしょうか。その背景にある思いを、熊本県警察本部交通部交通企画課に伺いました。
ユニークな内容の方がドライバーの心に残る
熊本県警察本部が交通情報板でユニークな標語を使い始めたのは、2013年8月ごろからだと言います。
「本来、交通情報板はドライバーに対して渋滞時の情報などを提供するための施設で、それ以外の場面で交通安全情報を届けています。しかし、ありきたりなものより流行語を使用したり、ユニークな内容にしたりした方が、ドライバーのみなさんの心に残り、交通安全に対する意識向上を図れるのではないかと、当時の担当者が取り組み始めました」(熊本県警察本部交通部交通企画課)
記録されている限りでは、2013年8月に予備校講師の林修さんの決めゼリフを参考にした「運転中眠気 いつ休む? 今でしょ!」が最初だそう。担当者の「厳しい残暑や行楽の疲れが原因となる交通事故を防止しよう」という思いを反映したものでしたが、以降も、ユニークな標語にはたくさんの反響が届いているようです。
「交通情報板に掲示した内容は、熊本県警察本部の公式ツイッターにも掲載しています。おかげさまでたくさんの『いいね』をいただいたり、全国放送のテレビ番組でも取り上げられるなど、多くの方々に興味を持っていただいているのはうれしいです」(同)
道路を通る一瞬でメッセージを伝える苦労も
直近では、昨年開催の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)で決勝へ進出したお笑いコンビ、ぺこぱのフレーズを使った「免許を取る 初心の頃に 時を戻そう」や、今年7月期に放送されたドラマ『半沢直樹』(TBSテレビ)のセリフにならった「譲られたら 譲り返す! 恩返しです」も話題に。時事ネタを上手く取り入れた標語の数々を、どのように作っているかも聞きました。
「基本的には、5名の係員で考えていますが、市民の方から提供された標語を採用することもあります。例えば、今年の『半沢直樹』についてのネタは『秋の全国交通安全運動』期間中の取り組みとして、熊本県内の大津警察署が管内事業所に対して交通情報板の標語を募り、最優秀賞の金賞として選定されたものを採用させていただきました」(同)
一般公募作品はあるものの、交通安全という大枠があり、時事ネタもからめるというのは、なかなかの苦労もありそうです。交通情報板を通して、つぶやき続ける中での難しさも教えてくれました。
「私たちの思いとして、ドライバーが交通情報板の設置箇所を通過する一瞬で、流行語も取り入れた交通安全を印象付けられるようなフレーズを発信しようと日々取り組んでいます。そのため、表示できる限られた文字数の中でメッセージを作成する必要があるため、その部分には毎回、苦労しています」(同)
限られた文字数の中で、ドライバーに一瞬で伝わるよう練られた標語の数々は、これからも私たちを楽しませてくれるはず。そして最後に、私たちドライバーへの交通安全についてのメッセージもいただきました。
「道路はクルマのドライバーだけでなく、バイクや自転車、歩行者などさまざまな方が利用するものです。安全な交通環境を作り上げるためには、それぞれがルールを守った安全な行動をとっていただく必要があります。これからも、少しでも興味を抱いていただける内容で交通安全情報の発信に努めていきますので、みなさんのルール遵守に役立っていければと思います」(同)
<関連リンク>
熊本県警察本部(公式ツイッター)
https://twitter.com/yuppi_KK
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:熊本県警察本部 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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