2台の「スープラ」がデビュー！サーキットで働くクルマたち＜オートポリス編＞

出走する車両の隊列を整え、アクシデントが発生した際は走行車両を守りながら、動けなくなった車両の救助に向かう、コースカーたち。オフィシャルと共にレースやイベントを支える、縁の下の力持ち的な存在です。

FIA（国際自動車連盟）の国際公認コースを有するサーキットとして、日本で最も南に位置するオートポリスのコースカー事情を、株式会社オートポリス営業部の内田一大（うちだかずひろ）さんにうかがいました。

大分県にあるオートポリスは、F1レースの誘致を目指して作られたサーキットで、1990年にオープン。メインのコース「インターナショナルレーシングコース」は1周が4,674メートルあり、FIAの国際公認を得ています。しかし、バブル崩壊以降、サーキットの運営母体が二転三転。結果としてF1レースは開催されなかったのですが、整った設備によりスーパーGTやスーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本ロードレースなど、多くのビッグレースが開催されています。

※サーキットにより呼称は異なりますが、ここでは「コースカー」と総称します。今回、記載するセーフティーカーやマーシャルカーの役割や運用方法は、オートポリスでのものになります。

レースやイベントのスタート時や、レース中のアクシデントにより、セーフティーカー導入の指示が出された際、走行車両の先導を務めるセーフティーカー。現在、オートポリスではレクサス「LC500h」とホンダ「シビック タイプR」の2台が担っています。

LC500hとシビック タイプRは、共に2019年2月に導入されました。当初はLC500hの回転灯（ルーフ灯）も電球式でしたが、後にLED式に換装。両車ともグリーンとイエローの回転灯と、車両の前面と後面に施される標識灯以外、市販車との違いはないそうです。

それぞれが単独で運用される場合、両車は同じ役割を担いますが、レース開催時シビック タイプRはLC500hのバックアップを担います。

2019年2月以前は、レクサス「IS-F」、2011年5月以前は、ホンダ「アコード ユーロR」が運用されていました。

レースやイベントでのコースの安全確認など、さまざまな用途に使われるマーシャルカー。2014年4月以降は、トヨタ「86」が担っています。

市販車との違いはブルーの回転灯に標識灯、そして高速走行を行う必要性からロールケージが施されている点です。2014年4月以前は、ホンダ「NSXタイプR」が運用されていました。

レースやイベントでアクシデントが発生した際、ドクターを乗せて負傷者の元へと急行するのが、メディカルカーです。スタート時のほか、ドクターを乗せての（走行車両の）後追いも行います。2019年2月以降、オートポリスで運用されているのはレクサス「IS-F」です。

市販車との違いはブルーの回転灯のみ。2019年2月以前はレクサス「IS250」で運用されていたそう。サーキットを走るために、IS-Fへとパワーアップが図られたわけですね。

マーシャルカーと同様に、走行車両の後追いや運営スタッフを乗せての移動、セーフティーカーのバックアップなど、多用途の運用を目的としたオフィシャルカー。近年では日産「GT-R」やレクサス「IS250」が担っていましたが、現在は不在となっています。

現在、オートポリスではコースカーの入れ替えが行われており、新たに2台のスープラを準備中。12月12～13日に開催される「TKUスーパー耐久レースinオートポリス」でのお披露目を予定し、用途に沿った回転灯や標識灯、ラッピングが施されています。スープラに限らずコースカーのラッピングは、コースを走行するドライバーが視認しやすいようデザインされているそうです。

スープラを含め、これまでに導入され、活躍してきたコースカーは、いずれも各メーカーより貸与されているもの。その役目を終えると、メーカーへ返却に。新たにコースカーとして採用される車種は、サーキットの運営とメーカーとで打ち合わせを行い、目的に合致する車両が選ばれるのだそうです。

通常、コースカーはパドック内コントロールタワー前にて待機しています。レースやイベントでピットウォーク等が催されている時間は、ピットウォークエリアやパドックへと移動して展示を行います。コースカーを間近で見たい、あるいは撮影したい場合は、これらの場所を回ってみましょう。

＜関連リンク＞
オートポリス
https://autopolis.jp/ap/

（文：糸井賢一／写真：オートポリス／編集：木谷宗義＋ノオト）

[ガズー編集部]