ゆるキャラからアニメキャラクターまで…こんなにあった！　キャラクターコラボ仕様車

アメリカの漫画家チャールズ M.シュルツ氏が手掛けた漫画『ピーナッツ』に登場するビーグル犬スヌーピーは、世界中で親しまれています。そんなスヌーピーと2000年にコラボしたのが三菱自動車の軽クロカン「パジェロミニ」です。特別仕様車 「スヌーピーエディション」は、スヌーピーのステッカーが施されているのはもちろん、メーターやシートといった内装の一部にもスヌーピーのイラストが描かれています。

ピーナッツ50周年記念キャンペーンの一環として行われたこのコラボレーションですが、日本における『ピーナッツ』の版権元であるユナイテッド・メディア（株）がキャラクターに合致した車両として選んだのがパジェロミニでした。

二足歩行をしたりクルマや飛行機の運転をしたりと、作中で活発な様子を見せるスヌーピー。そんなスヌーピーと、軽自動車ながらパジェロ譲りの本格クロカン性能を誇るキュートでアクティブなパジェロミニは、ピッタリの組み合わせといえます。

2001年にはコラボ企画第ニ弾として「パジェロミニ スヌーピーエディション II」が登場。「シック＆キュート」をコンセプトとしていた第一弾とは異なり、「クール」をコンセプトとした第二弾はブラック/ダークグレーの2トーンカラーが専用ボディカラーとして用意されました。

サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」と、コンパクトハッチバック「ミラージュ」とのコラボレーション仕様車「ハローキティ 40th アニバーサリー パッケージ」は、2013年にハローキティ40周年記念の企画として誕生しました。過去にはダイハツの「ムーヴ」ともコラボレーションしていた「ハローキティ」ですが、実は2006 年より三菱自動車のハッピードライブアンバサダーを務めています。

「ハローキティ 40th アニバーサリー パッケージ」は、400セット限定のオプションという取り扱いでした。外装面では、ハローキティのシンボルであるリボンをあしらったホイールカバーやオリジナルデザインステッカーが用意され、インテリアでは、専用シートカバーやオープントレイアクセントマットにクッションや専用車検証入れなどのアイテムもセットとなっていました。

「大人かわいい」世界観を表現したこのミラージュは、決してキャラクターを大々的にアピールしている訳ではなく、さりげなくワンポイントとしてあしらわれているのが特徴です。

世界的な人気を誇るボーカロイドの代表的なキャラクター「初音ミク」。そんな初音ミクとのコラボレーションを実現したのはダイハツでした。2014年の「ミラ ココア」を皮切りに、2016年には「キャスト アクティバ」、2018年には「ムーヴ キャンバス」でコラボレーションを実施。ファンが見れば初音ミクだと分かるデザインが施されています。

そのデザインは初音ミクが身に付けている衣装がモチーフとなっていて、「見る人が見れば分かる」というさりげない仕様になっています。このクルマに乗ることで、新たなファン同士の交流が広がる、ということもあるかもしれません。

こちらはメーカーオプションや特別仕様車という形ではなく、ダイハツビジネスサポートセンターという会社が、初音ミク仕様の専用アクセサリーを販売しています。第三弾の「ムーヴ キャンバス」のアクセサリーは、amazon・楽天のECサイトや、全国の販売店（一部店舗を除く）にてディーラーオプションとして、現在も購入可能です。その他にも初音ミクとコラボしたさまざまなカー用品・グッズが販売されています。

日本を代表するロボットアニメ「ガンダム」シリーズ。その第一作目となる『機動戦士ガンダム』に登場する「シャアアズナブル」とトヨタのコラボレーションで誕生したのが「シャア専用オーリス」です。劇中のシャアの搭乗機であるシャア専用ザクをモチーフにした専用パーツは、トヨタ車のアクセサリーを手掛けるモデリスタが製作したもので、ディーラーオプションとして販売されていました。

シャアのファンが社員という設定のバーチャルカンパニー「ジオニックトヨタ」には、実に26,000人が社員登録をしました。その社員たちからの意見を基に製作されたこの専用モデルは、中隊長機の証であるブレードアンテナや、シャアの所属部隊である「A12」のステッカーなどが装備されており、ファンたちも納得の仕上がりとなっています。他のコラボレーション仕様車と一線を画すのが専用カーナビ。ルート案内や走行条件は、シャアを演じる声優の池田秀一さんによるオリジナルボイスでドライバーに伝えられます。

2015年には更に進化した「シャア専用オーリスⅡ」が発売。こちらは300台限定のコンプリートモデルでした。

キャラクターとコラボレーションしてきたのは日本車だけではありません。2018年に登場したのは、マイクロコンパクトカーを中心にラインアップしているドイツのブランド「スマート」と、ディズニーのキャラクターで世界中の人気者である「ミッキーマウス」とのコラボレーション仕様車｢smart for two edition / MICKEY THE TRUE ORIGINAL｣。こちらは日本市場のみの限定モデルでした。

ミッキーマウスのアイコンが散りばめられた2トーンカラーが特徴のエクステリアですが、この中には1つ特別なミッキーが隠れているという「隠れミッキー」の要素もあります。また、インテリアはフルレザーで、ステッチでロゴやアイコンを施すという高級でオシャレな仕様になっています。

スマートもミッキーマウスも世界的人気を誇るにも関わらず、このようなキャラクターコラボレーションモデルが日本市場限定であるのは、日本におけるミッキーマウスの人気の高さがうかがえます。

SF映画の金字塔ともいえる作品「スターウォーズ」シリーズ。このスターウォーズと2017年にコラボレーションしたのがメルセデス・ベンツです。4ドアクーペ「CLA」をベースにした特別仕様車「CLA 180 STAR WARS Edition」。劇中に登場する機動歩兵「ストームトルーパー」をモチーフにし、カルサイトホワイトのボディカラーを身にまとったモデルが60台、シリーズの悪役である「ダースベーダ―」をモチーフにナイトブラックのボディカラーを身にまとったモデルが60台、それぞれ限定で販売されました。

専用のフロアマットやシリーズのロゴをかたどったウェルカムライトの他、劇中に登場するロボット「R2-D2」の音声がイグニッションオン/オフ時に流れるドライブレコーダーなどを装備。一見するとコラボレーション仕様車に見えないモデルですが、実際に所有することで特別なポイントが分かるという、オーナーの満足度が高いモデルとなっています。

近年はモータースポーツの世界でも見る機会が多くなってきた、アニメキャラクターのイラストなどが施された通称「痛車（いたしゃ）」。そしてイタリア車も略称でイタ車と呼ばれます。そんなイタ車×痛車という組み合わせは、誰もが思い付きそうな駄洒落ではありますが、実際にメーカーから販売された事例もあります。

2014年、イタリアの自動車メーカーフィアットを代表するモデル「フィアット500」と、よさこいに青春を捧げる女子5人の成長を描いたアニメ「ハナヤマタ」とのコラボレーション仕様車が、なんと1台限定で販売されました。購入権は抽選によって決められるという超レア車。

キャラクターのモチーフが施されたエクステリアが特徴となっていますが、購入権を獲得したオーナーが主要キャラクター5人の中からモチーフにするキャラクター1人を選ぶというシステムであったため、写真はイメージとなっています。

純正でもオーナーの好みに合わせてカスタマイズが可能となりましたが、キャラクターコラボもそんなカスタマイズの流れの一つといえます。今後もキャラクターとコラボレーションしたモデルは登場することでしょう。いったいどんな風にファンを納得させるこだわりを見せるのか……これからも注目のジャンルですね。

（取材・文：西川昇吾／写真：三菱自動車、ダイハツビジネスサポートセンター、モデリスタ、メルセデス・ベンツ日本、FCAジャパン株式会社／編集：奥村みよ＋ノオト）

[ガズー編集部]