ラーメン業界がドライブスルーに進出! 愛知発祥の「岐阜タンメン」をドライブスルーで買ってみた

コロナ禍の影響を受け、ドライブスルーは一気に盛り上がりを見せています。さまざまな業種でドライブスルーが当たり前となりつつある中、なんとラーメン店も参入しているのだとか。出来たてを食べるのが常識であるラーメンはドライブスルーに不向きな商品のはず。どのように提供されているのか、どんなきっかけで始めたのか、東海地方で「岐阜タンメン」をチェーン展開する株式会社岐阜タンメンBBCの広報担当者にお話を伺いました。

愛知発祥なのに「岐阜」タンメン? 背景にあるのは感謝の思い

実は、この岐阜タンメン。東海地方ではかなり有名なラーメン店です。それもそのはず、国道に面したロードサイドに営業時間の大きく書かれた看板を掲げているため、運転中でもパッと目に付く店なのです。一度見掛けたら忘れられない印象的な店名ですが、実は愛知県発祥なのだとか。岐阜タンメンという名前の由来を聞きました。

「元々はラーメン店のまかないとして食べていた塩ラーメンをタンメンとして商品化し、2009年に愛知県稲沢市に出店したことが始まりです。しかし、店の経営は振るわず事業は難航。経営が厳しくなり始めた頃に岐阜で空き店舗が見つかり、2号店(現在の岐阜本店)を出店することに。その店に多くのお客さまが来てくれたおかげで今があります。つまり、私たちが存続できたのは、岐阜の店舗のおかげ。岐阜県民の皆さんへの感謝を形にするために、“岐阜の方々に感謝タンメン”を略して岐阜タンメンと名付けました」(広報担当者)

そもそもタンメンは、主に東日本を中心に食べられている麺料理。東海地方では一般的ではない中、新たなタンメン文化を生み出したといっても過言ではない存在です。その後、岐阜タンメンは行列のできる人気店となり、続々と店舗を増やし、現在は愛知県に10店舗、岐阜県に8店舗、長野県に1店舗展開しています。

  • コーンやワカメ、味玉などの定番以外にも、プロテインや青汁といった変化球のトッピングも

岐阜タンメンは、豚肉、白菜、キャベツ、ニンニクからうまみを抽出し、塩ベースのスープと合わせたオリジナル商品です。野菜たっぷりでヘルシー感があり、幅広い世代から支持されています。選べる辛さと豊富なトッピングが特徴。トッピングには定番の野菜や味玉の他、青汁やプロテインといった変わり種も。

「いつかラーメンでドライブスルーを」と、5年前の開店当初から準備

ドライブスルーを構えるのは、名神高速道路・一宮インターのほど近く、国道22号線沿いにある「岐阜タンメン 一宮インター2号店」。ドライブスルーは、2020年3月の新型コロナウイルス感染症が流行し始めてまもない頃、テイクアウト需要の拡大を見越してスタートしました。

実は、この店舗は2016年の開店当初からドライブスルーの準備をしていたのだとか。元々社長に「いつかラーメンでドライブスルーできたら面白いよね」というアイデアがあり、ドライブスルーのレーンと受け渡し用の小窓を作っていたというから驚きです。コロナ禍をきっかけにドライブスルー構想が実現し、週末はドライブスルーだけで1日50杯ほど売り上げているそうです。

しかし、ドライブスルーでラーメンを出すのは簡単ではなく、何より麺がのびてしまうことが懸念され、最初はうまくいかなかったと話します。

  • 現在のテイクアウト専用容器。二層になっており、麺が伸びるリスクが軽減

「最初の2カ月は、スープに麺を入れて提供していたので、どうしても麺がのびてしまいました。その頃は車内で食べる人や、麺がのびることを気にしないお客さまがご利用してくださっていたと思います。その後、中敷きのある二層構造の容器に出合い、スープとゆでた麺を分けて提供できるように。それが品質向上の一番のきっかけでしたね。当初はお客さまから改善のご意見をいただくことがありましたが、今ではだいぶ店の味に近付けることができ、SNSで話題になるなど認知が広まりつつあります」(広報担当者)

クルマで15分走らせてから、タンメンを食べてみた!

注文方法は一般的なドライブスルーと同じ。レーンを進み、注文口にクルマを横付けしてインターフォンを押すと、スタッフが注文を聞いてくれます。持ち帰りメニューには、定番の岐阜タンメンの他、ギョーザやチャーハンなどのサイドメニューや、タンメンの具がご飯の上に乗った限定商品・ギフタン丼も。

注文後、5分ほどで専用容器に入った熱々の岐阜タンメンが手渡されます。気になるのは、やはり麺がのびていないかどうか。実際にクルマを15分ほど走らせてから食べてみました。

二層になった容器から麺を取り出し、スープへ投入。豚肉や野菜などの具材も店舗と同様しっかり入っていました。食べてみると、平打ちの細麺はのびるどころか歯ごたえが十分残っていて驚き。特別にテイクアウト用の麺のゆで方をしているわけではないのだとか。ニンニクの効いたスープも健在。自宅でも十分お店の味が楽しめました!

「ドライブスルーとラーメンのイメージはなかなか結び付かないので、まずは知ってもらうことが一番大事だと考えています。コロナ禍が落ち着いたとしてもテイクアウトの需要はあるはずなので、これからもずっとドライブスルーを続ける予定です。ハンバーガー店でドライブスルーを利用する感覚で使ってもらえたらうれしいです」(広報担当者)

決してドライブスルーと相性が良いわけではないラーメンを提供し、選択肢の幅を広げてくれる岐阜タンメン。感染症対策だけでなく、一人でラーメン店に入りにくい人や自宅でゆっくり店の味を楽しみたい人にもおすすめ。今後「ドライブスルーでラーメン」が当たり前の時代になるかもしれませんね。

 

<岐阜タンメン 一宮インター2号店>
所在地:愛知県一宮市伝法寺9丁目12-11

(取材・文・写真:笹田理恵/編集:奥村みよ+ノオト)

 [ガズー編集部]

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