4月22日は道の駅の日! ドライブには欠かせない道の駅の新たな取り組み

本日4月22日は「道の駅の日」です。道の駅といえば、いまやドライブには欠かせない存在でしょう。「道の駅の日」が制定されたいきさつから、ドライブの休憩や情報収集のみにとどまらない道の駅の役割について、一般社団法人全国道の駅連絡会に聞きました。

鉄道の駅のように道路にも駅を……103カ所からスタートした道の駅

――本日4月22日は「道の駅の日」ですが、なぜこの日に制定されたのですか?

全国103カ所の道の駅の最初の登録が行われたのが1993年4月22日だったことから、この日を「道の駅の日」とし、2019年11月23日に香川県宇多津町で開催された全国道の駅連絡会総会において制定されました。当時、道の駅はすでに全国的にも幅広く認知されており、「記念日をつくってはどうか」という声も多かったのです。4月のこの時期は比較的気候が安定してくることから、観光などの交流活動が活発になってくるという理由もありました。また、利用者・道の駅の両者にとってさらなる賑わいの一助となるよう、「道の駅の日」である4月22日から28日までは「道の駅週間」としています。通常、この期間には全国の道の駅で各種イベントが開催される予定となっています。

――そもそも道の駅はどのようないきさつで設置されたのでしょうか?

諸説ありますが、1990年1月に行われた「中国地域づくり交流会シンポジウム」において山口県船方総合農場代表の坂本多旦さんから「道路にも鉄道の駅のようにトイレがある駅があってもよいのではないか」と提案されたことがきっかけとなったそうです。

そうして、翌1991年10月から1992年4月の間に、山口県、岐阜県、栃木県でまずは社会実験として初めて道の駅が設置されました。「道の駅の日」とされた1993年4月22日には103カ所が道の駅として正式に登録。その後は順調に登録件数が増えており、2021年3月31日現在、1187駅が登録されています。

地域振興施設や防災施設としての道の駅

――道の駅というと、ドライブの際に立ち寄って休憩したり道路や観光などの情報収集を行ったりというイメージが強いのですが、「地域連携機能」も備えられているそうですね。これはどのような機能ですか?

「地域連携機能」とは、文化教養施設、観光レクリエーション施設などの地域振興施設や防災施設など、道の駅をきっかけに活力ある地域づくりを地域とともに行っていく機能のことです。

道の駅の基本的な構成要件は24時間無料で利用できる駐車場やトイレなどの「休憩機能」、道路や地域の観光、緊急医療情報などの「情報提供機能」、そして、この「地域連携機能」の3つとなっています。実は全国どの道の駅にも備わっているものなのです。

――具体的にはどのような施設が挙げられますか?

各地の道の駅でさまざまな機能を備えていますが、中でも地域活性化の拠点として特に優れた機能を継続的に発揮していると国土交通省で認定された「モデル道の駅」が6駅あります。

地域の外から活力を呼ぶゲートウエイ型として観光に力を入れているのが

  • 群馬県川場村道の駅「川場田園プラザ」
  • 「農業プラス観光」の組み合わせで村民と利用者の交流の機会をつくり出す

  • 栃木県茂木町道の駅「もてぎ」
  • 地域ならではの特産品の加工から販売、真岡鉄道のSLやサーキットなどへのアクセスの拠点としてにぎわいの核となっている

  • 千葉県南房総市道の駅「とみうら」
  • 地域の特産であるビワを中心にオリジナル商品の開発、ビワ狩り体験企画などのパッケージ化などで観光バスの大型誘致などに成功している

地域の元気を創る地域センター型では、産業振興に力を入れているのが

  • 山口県萩市道の駅「萩しーまーと」
  • 隣接する漁港の海産物を店頭に並べることによる地産地消や、それまで値のつかなかった魚を商品化する「萩の地魚もったいないプロジェクト」で地域活性化に貢献

  • 愛媛県内子町道の駅「内子フレッシュパークからり」
  • 地元生産者が自ら、商品開発・品質管理・イベント企画運営などを行い、地元の雇用も広げてきた

また同様に地域センター型で広域防災拠点となっている

  • 岩手県遠野市道の駅「遠野風の丘」
  • 東日本大震災時には、自衛隊や救急隊の支援拠点として機能していた

これら6カ所は、「地域連携機能」を備える施設としては特徴的なものといえます。

道の駅がこの先、描く未来

――道の駅は今後どのような展開を目指していますか?

これまで道の駅は第1ステージとして「道路利用者へのサービス提供の場」を、第2ステージでは「道の駅自体を目的地として訪れてもらえる施設」へと進化してきました。これからは第3ステージとして、先ほどお話した「地域連携機能」の重点的な強化を図り、「地方創生・観光を加速する拠点」かつ「ネットワーク化を進めて地域デザインに貢献できる施設」を目指していきます。

具体的には「道の駅の世界ブランド化」、「新・防災道の駅として防災機能の強化」、「幅広い世代が活躍する地域センターへ」の3つを中心に取り組んでいこうと考えています。

「道の駅の世界ブランド化」のためには多言語対応やキャッシュレス対応などインバウンド観光への対応強化、周遊交通機能の強化などを。全国の安心拠点として「新・防災道の駅」とするためには、地域防災のBCP(事業継続計画)の策定支援や広域的な防災拠点となる道の駅の指定などを行います。また、地域子育てを応援する施設の併設や、民間タイアップ事業「地域活性化プロジェクト」、学生たちの力を活用した商品開発などにより幅広い世代が道の駅に関わっていけるよう取り組む考えです。

  • 廃校となった小学校が道の駅として地域活性化の交流拠点となっているケースもある

また、今後の「withコロナ」・「afterコロナ」においても地方創生、地域社会・経済の拠点として貢献し続けられるように、道の駅も「ニューノーマル」に対応した進化を遂げるべきであると考えています。2020年5月22日に「全国道の駅の『ニューノーマル』を見据えた進化について」として次の3点を国土交通大臣に緊急提言しました。

  • 新しい生活様式に適合するための「キャッシュレス決済」・「通販・EC化」の早期実現と、それを柱とした経営改革(刷新)支援
  • 感染症にも対応しうる、サスティナブルな「防災道の駅」の早期整備
  • 「重点道の駅」に加えて、意欲と実力がある「道の駅」が進化を先導する体制(「第3ステージ先導チーム(仮称)」)の緊急立ち上げと、官・民・学連携の強化、公的・民間支援の集中。成功事例の惜しみない横展開

――未来を見据えて、より的確な取り組みを考えてらっしゃるのですね。利用者の楽しみのために始めたこともあるそうですが?

2021年から公式YouTubeチャンネルを開設しています。動画を活用し道の駅の魅力や取り組みの情報を発信することで、もっと「道の駅ファン」を増やすことを目的としています。

現在、「道の駅YouTuber編」として動画配信を行っておりますが、出演しているYouTuber「だんぺいとスーザン」は以前から「道の駅ファン」として道の駅の動画を配信していたのです。今回、道の駅公認YouTuber(見習い)として起用、がんばってもらっています。

  • 道の駅公認YouTuber(見習い)だんぺいとスーザンの2 人

今後は、「道の駅スタッフ編」「道の駅ファン編」と内容を充実させていくことで「道の駅ファン」の増加を目指していく予定です。

道の駅が地域の活性化や防災に多大な貢献をしていることに驚きました。今後、立ち寄る際は、今回教えていただいた視点からも注目してみたいと思います。また、お出かけできないときは、公式YouTubeチャンネルでドライブ気分を味わってみてもいいかもしれませんね。

<取材協力>
一般社団法人全国道の駅連絡会
https://www.michi-no-eki.jp/

(取材・文:わたなべひろみ/写真・資料提供:一般社団法人全国道の駅連絡会/編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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