なぜ? 猫がエンジンルームに入り込む理由。ボンネットを叩く「猫バンバン」の正しいやり方も解説

寒い冬、「お布団は正義」と言われることもありますが、寒さゆえに布団から出たくなくなる気持ちは誰しもが共感できるでしょう。

実はこれ、猫も同じ。例年、冬になると「クルマのエンジンルームに猫が……」という話題があがります。

実は冬よりも梅雨のほうが、猫はエンジンルームに入り込みがち

そもそもなぜ、猫はエンジンルームに入るのでしょう。暖を取っているのかしら? そのあたりについて、JAFにお話を聞いてみました。猫がエンジンルームに入り込んだ際、JAFに連絡をすると出動して救援してくれるそう。

「猫の習性は、JAFではわからないのでお答えしかねますが、1年を通して猫がクルマに入り込むトラブルの救援要請はあります」(JAF広報課)

冬だけでなく、一年を通して救援要請があるのですね。ここで意外な事実があります。2022年の猫の救援要請数のデータを見ると、1月は21件だったのに対し、6月は284件にまでのぼったそうです。単純計算で、6月の要請件数は1月の13.5倍!

どうやら、猫がエンジンルームに入り込む理由は「寒いから」だけじゃなさそう。

この点について、JAFは雑誌『ねこのきもち』(ベネッセコーポレーション)が提供している「ねこのきもち獣医師相談室」に確認しています。同相談室からは、以下のような回答が。

  • 車の下に入り込む猫

「1番の理由はやはり天気だと思われます。2022年のデータをもとに、全国的な6月の天気を調べて照らし合わせてみました。すると、要請件数が多い日は全国的に雨、もしくは大雨でした。

梅雨時期の雨は猫にとって、非常に居心地の悪い状態ということです。猫は水に濡れた場所を好まない生き物、というのはよく知られていることではありますが、顕著にみられていると思います」(ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)

しかも、猫は暗くて狭い場所へ好んで行きがちです。つまり、エンジンルームは猫にとって“落ち着ける隠れ場所”でもあるのです。

「特に都会では、外猫たちの隠れられるような場所がなくなったこともあると思います。本来、野生の猫は、眠るときは敵から身を隠していましたので、隠れる場所は必須です」(ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)

ボンネット周辺を叩く「猫バンバン」のコツとは?

猫にとって、現代は生きづらい世の中なのでしょう。猫好きとしては、同情を禁じえない……。でも、いざクルマを動かそうとするときに、猫をそのままにしておくわけにはいきません。

「エアコンやパワーステアリングなど、補機ベルト周辺に猫がいる場合、そのままエンジンを始動すると猫が回転部分に巻き込まれてしまう可能性があります」(JAF広報課)

そんなときの対処法として有名なのが、「猫バンバン」。クルマに乗る前にボンネット周辺をバンバン叩き、エンジンルーム内やタイヤの周辺に猫がいないかを確かめる行為のことです。

JAFの公式Twitterアカウント(@jaf_jp)は、2017年10月30日のツイートで「猫バンバン」のコツを教えてくれていました。

対処法として有名とはいえ、「猫バンバン」は決して万能ではないそうです。

「ボンネットを叩くだけでは出ていかない猫ちゃんもいるので、優しくノックしたあと、気配がしないか耳を澄ませていただき、場合によってはエンジンを切ってボンネットを開け、中のご確認をお願いいたします」(JAF広報課)

ボンネットを叩くだけじゃ出ていかない猫もいるのか……。結局のところ、猫がエンジンルームに入り込んでしまった場合、我々はどうすればいいのでしょうか?

「基本的には、JAFをはじめとした対応可能なロードサービスにご連絡ください。ご自身で対応された場合、猫にさらにけがを負わせてしまったり、ご自身やクルマが傷ついてしまったりする可能性があります」(JAF広報課)

クルマに傷がつくかもしれないし、人が傷を負うかもしれないし、なによりも猫にけがを負わせてしまうかもしれない。無理に自分で対処しないほうがよさそうです。

ハトがエンジンルームに入り込んでいたケースも

実は、猫以外の動物がエンジンルームに入り込むケースもあるそう。例えば、ハトなどの鳥だったり、ヘビだったり、ねずみ(もしくはリス)だったりが……。

なぜ、エンジンルームに鳥が入り込むのか、皆目見当がつきません。暖かくて狭い場所は、ハトにとっても居心地がいい場所なのかしら? というか、ボンネットを開け、そこにヘビがいたらびっくりです! 必ずしも、可愛らしい動物が入り込んでいるわけじゃないのだな……。そういう意味でも、用心が必要です。

最後に、最悪のケースについて1つ質問を。エンジンルームに動物がいると気付かずに発車し、そのままエンジンベルトに巻き込まれてしまった場合、私たちはどう対処すればいいのでしょうか?

「エンジンを止め、JAFや対応可能な企業にご連絡ください」(JAF広報課)

当然ですよね……。というか、そんな事態は想像したくもない! 人や社会、そして動物にも優しいカーライフを、できる限り心がけたいものです。

(文:寺西ジャジューカ/編集:木谷宗義type-e+ノオト)

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