意外と知らない中央自動車道の豆知識4選
中央自動車道(以下:中央道)は東京都杉並区の「高井戸IC」〜愛知県小牧市の「小牧JCT」を結ぶ、高速道路です。
地元が山梨県で、東京都在住の私にとっては、子どもの頃から慣れ親しんだ路線です。山梨県から東京方面・名古屋方面へ行く際や東京都から地元の山梨県へ帰る際などは、必ず中央道を利用しています。
そんな中央道は、全国的にも珍しい特徴がいくつかあります。普通に中央道を走行している分には、それほど重要ではないかもしれませんが、知っていると中央道のドライブをもっと楽しむことができます。
中央道を愛してやまない私が、中央道ならではの豆知識を起点の高井戸ICから順番にいくつかご紹介していきます。中央道をより身近に、より楽しんでいただければ幸いです。
高井戸IC〜八王子ICは全国的にも珍しい料金均一区間
中央道起点の「高井戸IC」〜「小仏トンネル」までは、東京都内を走行する区間です。NEXCO管轄の高速道路で東京都を通る路線には、東名高速道路(以下:東名)や関越自動車道もありますが、起点のインターチェンジから数㎞進むとすぐに他県に入ります。
そのため、東京都内をガッツリと通っているのは、首都高速道路を除くと中央道だけなのです。
「高井戸IC」~、都内最後のインターチェンジとなる「八王子IC」は、都市部を走行する“大都市近郊区間”となっています。大都市近郊区間では、高速道路の通行料金が通常の1.2倍となり、ETC休日割引などの割引も対象外となります。
さらに、「高井戸IC〜八王子IC」はNEXCO管轄の高速道路では全国的にも珍しい料金均一区間となっています。厳密には2016年4月の料金改正により料金均一区間ではなくなりましたが、2023年3月現在で通常料金が1000円均一でETC車の場合は利用区間によって料金が異なります。かつては、ETC車も利用区間に関係なく料金は均一でした。
私が子どもの頃は、よく山梨県から中央道を利用して、東京都立川市まで移動していたのですが、本来なら最寄の「国立府中IC」を利用するところを、母親が料金均一区間の料金を支払うのがもったいないという考えから、1つ手前の八王子ICで乗り降りをしておりました。
料金均一区間では、高速料金が先払いとなるため、通常、高速道路の出口に設置される料金所が存在しないのも特徴です。
均一区間の終点である「八王子IC」の下り線の入口料金所は、中央道本線に設置されている八王子料金所と兼用となっており、出口の料金所設置は山梨県方面からくる上り線側のみとなっています。
中央道最高標高地点「小淵沢〜諏訪南」
中央道というと標高が高いところを通っているイメージが強いかと思います。起点の高井戸ICから八王子ICまでは、都市部の景観が続きますが、それより先は終点の小牧JCTまで山岳地帯となります。
経由地の山梨県や長野県には、富士山や八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳などの日本有数の山々が連なっており、サービスエリアやパーキングエリアでも、山の名前が使用されているところがあります。
そんな中央道のなかで、最も高い標高地点となるのが、山梨県北杜市の「小淵沢IC」と長野県富士見町の「諏訪南IC」の間で、なんと標高1,015mもあります。中央道の上下線には、「中央道最高標高地点」という看板が設置されています。
かつては日本の高速道路で最も標高が高い地点でしたが、現在は、2000年10月に開通した東海北陸自動車道の「荘川IC」〜「飛騨清見IC」の途中地点1,085mが最高標高地点となっています。
余談ですが、中央道の最高標高地点の北東部にはJRの最高標高地点があります。JR小海線の「清里駅」〜「野辺山駅」で、こちらは1,375mとなっています。高速道路・鉄道ともに、山梨県と長野県の県境は日本有数の高い標高地点がある場所なのです。
同じ路線なのに岡谷JCTを境にナンバリングが変わる
中央道は、長野県の「岡谷JCT」でほぼ中間地点を迎えます。山梨県甲府市周辺から北上していた道路は、岡谷JCTを境に一気に方向を変えて南下し、名古屋方面を目指します。
そして岡谷JCTを境に、高速道路のナンバリングも「E20」から「E19」へと変わります。ナンバリングとは、高速道路に路線番号を付すことにより、訪日外国人をはじめとする全ての利用者にとってわかりやすい道案内の実現を目指すもので、2017年より各高速道路路線に付与されています。
ナンバリングの数字は、基本的に高速道路と並走する国道の番号が割り当てられることになっています。中央道の場合、高井戸IC〜岡谷JCTは国道20号線、岡谷JCT〜小牧JCTは国道19号線とほぼ並走しているため、それぞれ「E20」と「E19」が割り当てられているのです。
高速道路の途中地点でナンバリングが変わるのは、主要高速道路ではかなり珍しいです。たとえば、東名や名神高速道路は「E1」、山陽自動車道は「E2」、東北自動車道は「E4」が起点から終点まで変わることなく割り当てられています。
中央道と接続している長野自動車道側(以下:長野道)から走行すると、岡谷JCT手前の案内看板で東京方面は「E20」、名古屋方面は「E19」で表示されているので、中央道と合わせてぜひ長野道も走行してチェックしてみてください。
長野県-岐阜県の県境にまたがる恵那山トンネル
中央道の象徴の1つといえば、長野県と岐阜県の県境にまたがる「恵那山トンネル」です。上り線が8,649m、下り線が8,489mと中央道でもっとも長いトンネルで、2023年3月現在で、全国でも6番目に長いトンネルとなっています。
1975年のトンネル開通当時、日本最長かつ世界でも2番目に長いトンネルだったこともあり、開通までには度重なる困難や苦労があったとされています。しかも、1975年の開通時は現在の下り線側のみの開通だったため、上下線が片側1車線の対面通行となっていました。
1985年に、現在の上り線側のトンネルが開通し、上下線別々のトンネルを通行する片側2車線通行となりました。ただし、事故防止の観点から現在でも恵那山トンネル前後は、制限速度を時速70㎞に設定し、車線変更が禁止となっています。
そんな恵那山トンネルは、維持・管理にかなりの費用と労力を費やす必要があり、恵那山トンネルの区間となる長野県の「園原IC〜中津川IC」は、「恵那山特別区間」として高速料金が普通区間に比べ、1.6倍の39.36円(1㎞当たり)に設定されています。
ただし、ETC車に限っては2024年3月まで普通区間と同額の料金で恵那山トンネルを通行することができます。中央道は、料金均一区間があったり、恵那山特別料金があったりと、区間によってさまざまな料金形態がある路線でもあるのです。
中央道は意外にも特別感満載な路線
中央道はどこにでもある普通の高速道路だと思いきや、他路線にはなかなかない特徴を兼ね備えている路線です。私も、大人になってさまざまな路線を利用するようになってから、中央道の特別感をあらためて感じるようになりました。
今回お伝えした豆知識は、活用できる場面が限られるかもしれませんが、いざというときに知っているかどうかで運転への高揚感や、ある時は安心感にも繋がります。
中央道は、東京都から愛知県までに加えて、山梨県内に支線があり壮大な長さがありますが、ぜひ一度、全線通して走行してみるのもおすすめです。中央道は総距離が368㎞で、およそ5〜6時間で全線走破が可能です。
その際は、今回お話しした豆知識を思い出して、実際のご自身の走行で確かめてみていただければと思います。
(写真:AC、テキスト/写真:のっぴー、編集:GAZOO編集部)
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