高速、一般道、信号待ちでの適切な車間距離
私は長いこと運転してきて、基本的なことを大事にしています。
たとえば
- ゆずり合いや謙虚な精神をもつ
- ライトやウインカーなどの点灯類を正しく使用する
- 少しでも危ないと感じたら、すぐに減速あるいは停止をする
- 前車との車間距離
車間距離については、いつでも安全に気もちよく走行するためにとても大事な要素です。
教習所では車間距離について、基本知識や運転する時に周囲の状況や場所、環境などに合わせて臨機応変に対応する必要があると習います。実際に、私は普段さまざまな種類の車を運転し、車によりブレーキの効き具合も違うので、クルマによって臨機応変に車間距離をかえています。
車間距離については、道路交通法第26条第1項では
「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」
と定められており、いつ前車が停まっても追突しない距離を保つ必要があります。
とはいえ、まずは車間距離の基本的な知識がないと技術や経験も活かせませんので、知識を深めていくことが重要です。適切な車間距離は、一般道と高速道路でも違いますし、当然走行時と停止時でも変わります。
全ての状況・場所において適切な車間距離を維持できるように、車間距離の知識について深めていきましょう。
一般道での車間距離
広い幹線道路やバイパス、昔ながらの道幅の狭い住宅地の路地など、一般道といっても道路によって設定されている制限速度もそれぞれ異なります。
一般道では設定されている制限速度に加えて、前車の様子や歩行者・自転車などの有無によって、柔軟に車間距離を変化させることが求められます。基本的には、前の車がいつ停まっても追突しない速度と車間距離での走行が望ましいです。
一般道では、速度に対して-15mの車間距離をあけるとよいでしょう。たとえば速度が時速30kmなら15m、時速40kmなら25mとなります。そもそも適切な車間距離は、停止しようと意識してから実際にブレーキを作動させるまでの空走距離とブレーキを作動させてから完全に車が停止するまでの制動距離を合わせた停止距離以上あけることが望ましいとされています。
停止距離に照らし合わせると、一般道では先ほどの「速度-15m」車間距離をあける必要があるのです。ただし、この方式が当てはまるのは「時速60km以下」で走行している場合に限ります
高速道路での車間距離
高速道路では、重大事故に直結するため車間距離を特に意識する必要があります。高速道路も一般道と同じ方式で車間距離をあければいいかというと、そうではありません。
停止距離は、時速60km以上の場合はほぼ「速度=m」の方式となります。通常、高速道路では時速50km以上での走行が道路交通法で定められているため、高速道路での走行はこちらの方式に則って走行するのが望ましいです。
たとえば
時速80km=80m
時速100km=100m
といった具合です。
また、高速道路を走行の際は不定期に車間距離確認のための表示板が設置されています。こちらもやはり、時速80kmの区間は「0m」「40m」「80m」、時速100kmの区間では「0m」「50 m」「100m」と表示されています。
高速道路での走行は文字どおり高速になるため、万が一、追突した際の衝撃も大きくなります。そのため、方式あるいは方式以上に車間距離をあけて余裕とゆとりをもって運転することが大事です。
【参考資料】
高速道路では、80mや100mなどの「車間距離」が必要といわれるのはなぜですか? | 交通 | よくあるご質問 | お問い合わせ | 企業情報 | 高速道路・高速情報はNEXCO 中日本 (c-nexco.co.jp)
高速道路を利用する皆様へ 警視庁 (tokyo.lg.jp)
信号待ちや渋滞時の車間距離
走行時だけでなく、信号待ちや渋滞の際などの停止時・低速走行時の車間距離も重要な要素です。
まず、停止時・低速走行時は通常走行時よりは車間距離が狭くてもかまいません。だからといって、近すぎるのは前車に圧迫感を与えてしまいますし、衝撃の危険性を高めてしまいますので、ほどよい距離を保つようにしましょう。
信号待ち時などの停止時は、私の以前勤めている会社では、車1台分はあけるように、という習わしがありました。しかし交差点内となると、私がとった車間距離のため、後続車が詰められなくなります。また、これは一概には悪いとは言いきれませんが、他の車が自車の前に割り込んできたり、バイクがすり抜けることは何度もありました。
私の現在勤めているハイヤー・タクシーの企業では、前車の後輪タイヤが見えるくらいの距離を保つようにアドバイスいただきました。後輪タイヤが見えるくらいの距離感ですと、仮に自車のブレーキが緩んで少し前に進んでしまっても追突する心配はほとんどありません。
渋滞時の停止時も同様で、やはり前車の後輪タイヤが見えるくらいは車間距離をあけるのが望ましいといえます。渋滞の中を走行の際は、速度に合わせながら前の車が急にその場で停止しても、追突しないくらいは車間距離をあけるのがベストです。
天候や路面状態により適切な車間距離は変わる
ここまでお話しした車間距離については、晴天で路面が乾いた状態でのことです。悪天の中を走行するときは車間距離のあけ方も変わってきます。
一般的には雨の日は通常より視界が悪くなることや、路面が濡れてタイヤが滑りやすく制動距離が伸びることから、1.5〜2倍の車間距離をあけるのが望ましいとされています。高速道路を管理するNEXCOでは通常より2倍以上車間距離をあけることを推奨しています。
雪の場合は、雨よりも路面状態が滑りやすくなるため、さらに車間距離をあける必要があります。路面が積雪している場合は、制動距離が通常の3倍は伸びるといわれているので、3倍以上は車間距離をあける必要があります。さらに凍結路の場合は、よりタイヤが滑りやすくなるため、その分車間距離をあけなくてはなりません。
雨や雪のなかを運転する際は、車間距離をいつも以上にあけることと、普段よりも速度を落として走行するようにしましょう。速度を落とせば、停止距離も短くなりますので、より安全性が増します。
臨機応変に安全な車間距離を保つことが重要
車間距離に対する知識について説明しましたが、最終的には、運転していると、実にさまざまなシチュエーションに出会います。強風や濃霧のなかを運転することもありますし、動物の横断の可能性のあるところや、落下物が落ちている近くを走行することもあります。
その時その時で適切な車間距離をとれるかどうかは、ドライバーの力量にかかっています。
また、ブレーキ性能やタイヤのグリップ力の性能、自分のコンディションによっても適切な車間距離は変化しますし、前の車の速度や走行の様子によっても車間距離を変化させることが必要です。
今回、ご紹介した車間距離の知識を改めて確認いただき、みなさんの運転がよりよいものになれば幸いです。
(写真:のっぴー、AC、テキスト:のっぴー、編集:GAZOO編集部)
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