GAZOO写真教室 15限目 基本に立ち返り、写真力の地力を上げよう ~クルマをかっこ良く撮りたい!こそっとスキルアップ!~

今回は、基本をおさらいする事で写真力の地盤を強化しようと思います。そこで今回は、一眼レフではなくコンシューマデジタルカメラで作例を作ってみました。コンシューマデジタルカメラとは、一般的にコンデジと呼ばれているもので要するにコンパクトカメラのことです。コンデジを使う事で、皆さんと同じ条件での撮影に近付けました。今回使用したカメラは僕の愛機、キヤノンのG7X Mark2です。

基本1 レンズの長さによる違い

写真01
写真01
写真02
写真02
写真03
写真03

まずは、レンズの長さによって何がどう変わって来るのかを説明しようと思います。写真01、02、03ですが、クルマは一切動かさず高さもアングルも変えていません。変えたのは、レンズの長さだけです。写真01は、このカメラの最短焦点距離である24mm相当で撮影しています。そのためクルマと撮影者の距離が近くなり、かなり上から撮っているように見えます。写真02は、80mm相当で撮影しています。このアングルは、一番クルマがきれいに見えるアングルでもあります。と言うのは、欧州車の場合ですが、デザイナーがこのアングルからクルマのクレーモデル(粘土で作るクルマの原形)を見ながらデザインすると言われているからです。そして写真03は、約200mm相当で撮影したものです。皆さんが雑誌等で見る写真は、このアングルが基本になっているはず。レンズの長さが違うだけで、高さもクルマの形も背景も大きく変わって来ることがお解りいただけたでしょうか。

基本2 撮影するアングルの違い

写真03
写真03
写真04
写真04
写真05
写真05

続いてアングルの話をしてみようと思います。アングルと言っても難しい事ではなく立って撮った場合と、座った時、地面に置いて撮った時の違いです。先ほどの雑誌撮影の基本写真である写真03は、立って撮影したものです。写真04は座って、写真05は地面において撮ったものです。写真03は、デザイナー目線の延長ですので、一般的に良いと思われ易いアングルです。写真04は、少しローアングルになった分、迫力が増します。ただし、クルマフロアの向こう側が見えてしまうため、車高が高く見えてしまうと言われています。写真05は、地面に置いたため、路面が前ボケとなり雰囲気が増しています。一般的には、クルマの厚みも見える03が好まれているようですが、04,05の写真の方が雰囲気や迫力があって、僕は好きです。

基本3 背景の重要度について

写真06
写真06
写真07
写真07

写真06、07は長いレンズと短いレンズで、空を背景にした写真です。写真06は100mm相当で撮影しているので、車の形も歪まずにキレイに撮れています。しかし、その分広がりはありません。一方、写真07は、24mm相当で撮影しているので、クルマは若干歪みますが空の広がりが開放感をあたえてくれます。このようにレンズの特長によって、長所短所があります。それぞれのレンズの特長を知った上で、レンズを選んで使う事が肝心です。とは言え、それほど難しく考える事はありません。レンズが短くなると写る角度が広くなり、レンズが長くなれば映る角度が狭くなる…、撮影時に体感していることと同じです。

写真08
写真08
写真09
写真09

写真08は背景を単純化し、主役であるクルマにより目が行くようにした写真です。背景を単純化すればするほど、主役が際立ちます。その為にはなるべく長いレンズで背景をボカすことが重要です。クルマと背景の距離が遠ければ遠いほど背景はボケます。写真09は逆に背景をイカした写真です。逆光にする事で、川の水面を反射させて冬景色を強調して見ました。シチュエーションを表現する為には、背景は重要な役割を担っています。時には背景を生かした写真も面白いと思います。

写真10
写真10

今回はクルマの写真を撮る上で、押さえておきたい基本の話でした。これを参考にしていただき、応用して愛車の撮影を楽しんで下さい。

(写真、テキスト 折原弘之)

折原弘之

F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/

[ガズー編集部]

GAZOO写真教室

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