黒船襲来 ~スーパーフォーミュラ第3戦現地レポート~
東北、スポーツランド菅生はスーパー耐久が前の週に開催されたばかりですが、わたしは一年ぶり。自分が東北の出身ということもあり、季節感をしっかり感じ朝晩冷え込むことすら、懐かしく感じます。紅葉の始まった道沿いの木々は、クルマを停めて写真を撮りたくなるくらい、撮影意欲をかきたてます(素人ですが)。日本の素晴らしい四季に五感を刺激されつつ、その刺激で連続の出張も新鮮でした。
さて、以前もう10年、いやもっと最近かな~、記者会見の常連さんが外国人という時期が少しありました。もちろんドライバーのみなさん素晴らしいですし、チームも勝つための努力ゆえの結果として当たり前の光景でして、外国人がとか日本人がとかいう話でもないですが、思い出したエピソードを。
同じ菅生ラウンドでしたね。日本人ドライバーがタイトル争いでがんばるという発言をしたところ、ほかの外国人ドライバーがタイトルは別のドライバーが獲ると思うよと、横にいるタイトル候補である自分の友人外国人ドライバーを応援するコメントをしました。
海外では、たぶんそんなライバルを威嚇するような光景、公にはどうかわかりませんが、メンタルが強くないとやっていけない光景は沢山あると聞きます。素直な気持ちだったと思いますが、平和主義的思考の多い日本人(ざっくり感覚で)にはない感覚で少し驚きました。
過去に、海外から日本にやって来たドライバーは、虚勢を張っていると感じたことがありました。単にバカにされないためと周囲は言っていました。どんなレベルかわからないドライバーだけど、すごい人なんだろうなあと最初思うのですよ。他意なしで。
でも、近年来日される方々は、本当にスゴイ(過去がダメという訳ではなく)。もちろん過去に日本から世界に羽ばたいたドライバーも沢山いるのですがね。
すこしだけさかのぼると、ピエール・ガスリー選手。フォーミュラ好きのファンなら記憶に新しいと思います。でも彼はレベル違いだけど、とても気さくなドライバーで驚愕しました。来てすぐタイトル争いに絡んで、ほんと大物。ホンダさん、こんな良いドライバーさんを参戦させてくれてありがとう!でしたね。
その後F1の世界へ…、当然の流れでした。あのシーズンは、本当によいもの見せていただきましたし、日本人ドライバーも刺激になったのではないでしょうか。
今年は、コロナ禍で海外からのドライバーの参戦が制限のある中、ようやくレースに参戦したのが、セルジオ・セッテ・カマラ選手。名前だけはリストで見ていてググってみたりしていました。彼は菅生は当然初めて…、というのに予選いきなりポール。これは沸きましたね。こういうインパクト、絶賛だし常に欲しい一コマ。F1のリザーブドライバーにフォーミュラE参戦と、別格すぎる…。そんな世界レベルを知らしめた予選でした。刺激刺激、いいじゃない。気持ちがほかほかのまま、決勝を迎えました。
誰?という人ももちろんいらして、別格さんですよとお答えしましたが、まずはご尊顔を拝さないことにはと思いましてね。グリッドで待ちました。
ポールポジションが初めてと、とてもうれしそうなチームマネージャーのYさんと記念写真を撮りつつ、ま、こういうのも一瞬だけど楽しい訳でして。うれしいのもわかりますからね。
そんなことをしながら、イケメンぶりもしっかり確認しました。残念ながらレースは、途中アウトラップでスピン。コールドタイヤの使い方も、きっと次のレースでは修得しちゃっていることでしょう。とにかく大きい黒船が東京湾沖なのかどこだろ?現れたので大注目ですよ。
初めましてのセルジオさんのお顔もそうですが、グリッドに行かないと、ドライバーさんのお顔を中々拝見できないので、毎レースその表情を見てまわっています。今回は晴れていたので、装着するタイヤに注視する必要はないですが、路面コンディションが大きく変わる時は、こんな私(どんな私?)でもどのタイヤを履いているのか気になり、スリックなのかウェットなのか見て回ることもありますね。
上位グリッド、セカンドローまでの4台のうち、日本人は20号車の平川亮選手のみ。日本人が…といちいち分けるのは好きではないけれどまたその話題。F1テストドライバー、昨年のチャンピオン、大物外国人ルーキーと戦う平川選手は尊敬しちゃいますね。
平川選手、予選の時、アタック中に赤旗が出てしまい中断。何台か今回はチャンスを失ってしまったかなという雰囲気だったのです。残り3分セッション再開で一度のアタックチャンス。タイヤのピークが過ぎてしまっていたのに2番手を獲得しました。星野一義監督とお話したら、「あいつスゲーよ」って。まさにその通り。
彼はレース巧者で、決勝はいつも心配しません。何かダメな時もその状況の中で最善のリザルトを残して来ます。スーパーGTのコンビ、ニック・キャシディ選手も、二人とも速さに加えミスがない。スキがないですよね。これが強み。今回、キャシディ選手が優勝で2位が平川選手。この二人は止められないのかな。
3位に入ったホンダ山本尚貴選手も、走りを見ているだけでもとってもキレッキレで勢いありました。菅生は、得意なサーキットなはずですね。いつも記者会見でお目にかかっていた気がします。今回は走りに、“山本選手らしさ”が出て、力強く感じました。
ル・マン24時間帰りの3人衆。中嶋一貴選手は、今季久しぶりにのってる感じがしました。昨年はミディアムタイヤに苦しみましたからね。
今回は、スタート直後の1コーナーでバランス崩してしまい、4号車を押し出してしまいました。ペナルティをいただき気づけば勝負権を失っていました。もったいなかったなあ…。
もっともったいなかったのは、その中嶋選手に押し出されてリタイアしてしまったサッシャ・フェネストラズ選手。スタートで失敗し少し出遅れましたが、何とも残念。前戦もレース出来ていないので、2戦連続の残念。スーパーGTを見ていると、今季活躍が楽しみなドライバーだけに、開幕戦から表彰台ですので続きが見たいですね。
そして、未だに私よくわからないのがセーフティーカーの入る位置。セーフティーカーは、ラップリーダーの前に入る…と思っていたのですが。今回だったら、20号車の平川亮選手の前に入ると思っていました。セーフティーカーが入るタイミングで20号車は、ピットに入りましたが、菅生のコントロールラインの位置関係でそこを通過してピットに向かっているので、ピットに入ろうとも彼がラップリーダー。でも、19号車の関口雄飛選手の前に入りましたね。
後で順位を調整するため、平川選手より前のクルマは押し出されて隊列の後ろにつき、確かに順位は戻りました。スーパーGTではよく見受けられるシーン。リスタートのタイミングがその時点ではもちろんわかりませんが、場合によってはこのSCの位置関係で展開が違うなんてこともあったかも?勉強し直そう。もちろん素晴らしい速さで勝利を勝ち取ったドライバーたちは否定しませんけどね。
次戦第4戦は、11月15日(日)九州オートポリスです。今年行けると思っていませんでしたので、がんばって取材をして来ます。コロナ禍で制約もありますが、お時間ある方、ぜひいらしてください。では、また!
写真:折原弘之、テキスト:大谷幸子
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
[ガズー編集部]
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