一緒に広島を盛り上げましょう!(広島トヨペットHIROSHIMA TOYOPET RACING)~スーパー耐久第2戦現地レポート~

みなさま、こんにちは!参加型レースが盛んな昨今、その勢いが止まりません。モータースポーツを楽しむ中で、その中に普段の生活と毛色の違う競う社会が存在し、現場の段取りが普段のデスクワークにも役立ったり、かつ部活的な団結もあったりと取材をするだけでも発見や勉強になることも多く、プラスになっていると感じるのが参加型レース。

参加型モータースポーツのカテゴリーは、現在多岐に渡り、手前みそですがレポーターをさせていただいているTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツ活動も少なからず影響を与えていると感じます。プロスポーツとは違う目線で取材に行きますが、真剣な中で仲間との一体感が素敵なんですよね。ひとりガツガツなフリーランス業からするとうらやましいです。今回はスーパー耐久に今季初参戦を遂げた「HIROSHIMA TOYOPET RACING」チームを紹介します。

このコロナ禍のタイトな現場スケジュールで、これはこれでありがたいのですがすっかりパンクしてしまった私…。代わりにいつも撮影していただいておりますフォトグラファーの折原弘之さんに取材をお願いしました。

スーパー耐久の開幕戦となる富士24時間レースで人見知りの私が(仕事だと真逆)話しかけ、せっかくチームと面識ができたにも関わらず、どうにもスケジュール的に…。どこかで必ずと前も書きましたが、いつか必ず再会を…。ではどうぞ!

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近年カーディーラーチームが、多くのレースに参戦している。今シーズンも新規チームが増えた。広島トヨペットHIROSHIMA TOYOPET RACINGだ。コロナ禍のまだまだ自粛傾向の中、あえて参戦した理由を第2戦が開催されたスポーツランド菅生にて、チーム代表である古谷英明氏に聞いてみた。

―― 参戦理由

古谷氏
「もともとレースはやっていたんです。岡山サーキットが主催するチャレンジカップですけどね。そんな折、地元のディーラーの集まりがありましてそこで先輩でもある(ディーラーとしての先輩)広島マツダの社長から、“地元広島をレースで盛り上げないか!”と誘われてスーパー耐久の参戦を決めたんです。そんな経緯から広島マツダさんとは、ライバル関係で行こうと言われマシンも同じST5クラスのVITZに決めました。参戦発表も広島マツダさんと共同で行ったんですよ」

チャレンジカップからのステップアップの参戦となったが、この参戦には3つの大きな理由が存在している。

古谷氏
「参戦を決めた理由の一つが、“レースで広島を元気づける”というものですがディーラー代表の立場で言えば、PRと人材発掘です。全国規模のレースに出ることで広報活動ができると共に、広く全国からリクルーティングできると考えています。それと人材育成です。ここにいるメカニックはほぼ社員です。彼らのスキルアップはもちろん、一個人としての人間的な成長も目的の一つです」

と、スーパー耐久というカテゴリーで戦うメリットを語ってくれた。

―― 変化

実際にレース参戦効果はもう出ているようで、サーキットでマネージャーを務める池田さんはこう語る。

池田さん
「メカニックの方は、明らかに変わりましたね。まず、接客が積極的になりました。例えば、TOYOTA 86などのスポーツカーのお客様に対して、より詳しくクルマの説明をしています。修理の説明にしても起こった現象だけではなく、なぜそうなったのか原因まで説明するようになっていますね」

これはユーザーにとっては、かなり信頼度があがる。しかもレースをやっているメカニックが…というのはメンテナンスすると言うだけで安心感があり、特にスポーツカーに乗っているオーナーには効果絶大だ。

池田さん
「実際レースを経験したメカニックは、手が速くなるしミスが減る傾向にあります。理由は簡単。レーススケジュールの中で、色々な作業が強いられるのでより速く作業しないと走行時間に間に合わなくなってしまいます。例えば午前中にクラッシュしてしまっても、午後のセッションには間に合わせなければなりません。必然的に作業スピードは上がります。しかもレーシングスピードで走るわけですから、作業ミスがあればドライバーの生死にまで関わる可能性もあるわけです。このプレッシャーは、かなりなものだと思います」

人材育成と発掘も参戦目的と言うことだが、実際にレースに参戦するチームの構成は以下の通り。代表の古谷氏を含めたスタッフは14人、12人は社員で2人が外部スタッフ。初めての耐久レースと言うことで、チーフエンジニアには経験のあるレースエンジニアを起用。そしてチーフメカニックも、レースマシン特有の部分があるので経験あるレースメカニックを起用しているそうだ。

ドライバーは檜井保孝選手とチーム代表である古谷氏のご子息である古谷悠河選手の2人。古谷選手は、昨年まで全日本カートの最高峰クラスで活動。今シーズンから参戦しているFIAF4選手権は、レーシングチームの名門トムスが今季から始めたドライバー育成プロジェクト「TOM’S YOUTH」に所属している。そしてこのスーパー耐久に新たに参戦するルーキードライバー。

一方、檜井選手は、2007年にはル・マン24時間にも出場を果たしたというツワモノ。しかも現在はフェラーリレーシングスクールなどのインストラクターに教えるTOP GUN的な存在でもある。ルーキーと組んで耐久レースに出るには、この上ない人材と言えよう。

―― 檜井選手から見たチームの現状

檜井選手
「参戦した初戦が、24時間耐久というのは少々ハードルが高かったのですが、完走することができたのは大きかったです。ドライバーもそうですがスタッフの意識も変わりました。レースに対する興味や真剣さが格段に上がりました。マシンについては、初年度ということもあり中古のレースマシンで参戦したのですが不具合が多かったですね。そこを直しながらのレースだったので、本当にきつかったと思います。でも、そのおかげでマシンも戦える状況になってきました。そういう意味でも24時間の完走は大きな意味を持ちましたね」

パートナーの古谷選手も「夜間走行は、日本では滅多に経験できないことなのですごくいい経験になりました」とコメントしているように、年に一度のチャンスを最大限に活かせたレースだった。

―― 今後の活動

檜井選手
「チャレンジカップも何年も参戦していますし、今年で終わりという事はないと思います。大きなトランスポーターも買ってしまいましたしね。人材育成も思ったより効果を挙げているので、そういう意味では代表も満足されているようです。代表ではないのではっきりした事は言えませんが、来シーズンは(ピー…)で参戦する予定もあるみたいです」

単数年でこのチャレンジは終わらないであろうこと、また、来季に期待したくなるコメントも飛び出した。車種はご想像にお任せします。

初戦の冨士24時間耐久レースは、クラス予選10番手で決勝はクラス6位。6位とは言えトップからは10ラップ程離されていた。ところが第2戦菅生ラウンドでは、予選ではクラス3番手と大躍進。レースでも3、4番手争いをするものの、終盤にピットインを余儀なくされ6番手に終わった。

しかし、レースではリザルト以上の成果を上げていたと推測できる。広島トヨペット「HIROSHIMA TOYOPET RACING」。今後の活動も目が離せない!

写真&テキスト:折原弘之、編集:大谷幸子

折原弘之

F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/

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