2021年のスーパー耐久シリーズにGRスープラが大挙押し寄せた!

一枚の画角に3台のGRスープラがおりますね!気分があがりますが、近年、オーガーナイザーさんの頑張りでさらに盛り上がりを見せているスーパー耐久シリーズ。

加えて昨年デビューしたGRスープラが、モータースポーツシーンを盛り上げています。2シーズン目に入った今年は、さらに台数カテゴリーも増え全世界でも増殖中(TOYOTA GAZOO Racingのプレスリリースご参照)。きっと今季もたくさんの活躍が見られることでしょう。

めでたく開幕を迎えたスーパー耐久シリーズは、ピレリタイヤからハンコックタイヤへとスイッチ、新たなシーズンに突入しました。みな同じスタートラインに立ったGRスープラたちをフォトグラファーの折原弘之さんに追っていただきました。どうぞ!

3月21日(日)にスーパー耐久シリーズ2021 Powerd by Hankookがツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)で開幕した。その開幕戦に、5台のGRスープラが出走したのだ。昨年のスーパー耐久シリーズでルーキーレーシングが、GRスープラをST-1クラスにデビューさせ、シリーズチャンピオンを獲得している。そのスープラが、2021年にGT-4マシンとして市販されることとなり、そのニュースに多くのチームが興味を示してパドックでは来季投入という噂をたくさん耳にし期待を抱いた。

その期待は見事に花開き、5台のGRスープラが今季エントリーした。その5台の内訳だが、ST-Zクラスに3台、ST-Qクラスに1台、ST-1クラスに1台と、3種類のGRスープラが同じレースを走るという前代未聞の人気ぶりとなった。

ST-Qクラス

エントリーされた3カテゴリーの内訳はこうだ。まずルーキーレーシングが、昨年同様のスープラで参戦。しかしこのスープラが、どのカテゴリーにも当てはまらず。開発車両ということで、新たに設けられたST-Qクラスに出走となった。

ST-1クラス

TRACY SPORTSが、自社開発したスープラでエントリー。自社開発のGRスープラとは、GT-4マシンではなく、市販のスープラを買ってきて全バラ。レースに必要ないパーツを全て取り外し、錆止めなどを剥がし軽量化。一からレース仕様のGRスープラを造った。製作者のTRACY SPORTSの代表は、「うちはチューニングショップだから、GT-4マシンを買ってきて走らせても意味がない。チューニング屋は、やっぱり市販車をチューニングしてなんぼですから」と世界に一台しか存在しないスープラを作成しエントリーしてきたのだ。

ST-Zクラス

メルセデスやBMW、アストンマーティンといったメーカーが造った市販のレース用GT−4マシンがひしめくここには、GR スープラ GT-4が3台エントリーを果たした。

  • まず昨年のスーパー耐久オートポリスラウンドで、すでに試走をさせていた林テレンプ SHADE RACING

  • 今シーズンから、新たにエントリーしたC.S.I Racing

  • 現役のスーパーGTのトップドライバー平川亮選手を迎え、2年目の参戦となったHIROSHIMA TOYOPET RACING TEAM

今回はこのGRスープラ GT-4に絞って、詳しく取材してみた。

まずパワーユニットだが、直列6気筒3000ccシングルターボ。最高出力は430hp、最大トルクは650Nmを発生する。ミッションは、7速スポーツオートマチックトランスミッションを採用し、排気系はアクラポヴィッチ製マフラーを装着している。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット、リアにはマルチリンクを採用している。ボディは軽量スティールと高剛性のロールケージで、軽量化と剛性を両立させている。レース仕様とは言え、市販車のため販売価格のバランスを考えた仕様といって良いだろう。

このマシンのキャラクターについて、平川選手に聞いてみると「パワーはありますね。ただ、リアが少し弱い印象です。乱暴な言い方をすると、オーバーステア気味のキャラクターと言えるかもしれません」との印象を語ってくれた。

この印象は、ニュルブルクリンクでシェイクダウンを担当した佐々木雅弘選手も同じ印象を持っていた。佐々木選手は「ニュルブルクリンク以来スープラに乗っていませんが、あの頃に比べると良くなっているはずです。でも、持って生まれたキャラクターは変わらないのでしょうね。リア周りを固めれば、良くなると思いますよ」とコメントしてくれた。

富士24時間耐久レースで優勝経験のある林テレンプ SHADE RACINGの平中克幸選手は「リア周りの頼りなさは、皆と同じ印象です。だからコーナリングは、ボトムスピードを上げるよりクルッと小さく回って加速する感じ。それよりブレーキが心配ですね。ブレーキに負荷のかかる茂木では、フルにブレーキをかけ続けると5時間は持ちません。富士24時間はブレーキ2回交換で行きたいけど、(24時間レースは2度8分間のピットインが義務づけられているためブレーキ交換は2度までにしておきたい)難しいかもしれません」と早くも24時間レースを見据えていた。

肝心のレースリザルトだが、ST-1クラスにエントリーしたTRACY SPORTSはクラス2位。ST—Qクラスのルーキーレーシングは、同クラスにエントリーがないため完走。ST-Zにエントリーした3チームはHIROSHIMA TOYOPETO RACINGが3位、C.S.I Racingが4位、林テレンプ SHADE RACINGはトラブルに見舞われ、12位に終わった。

成績的にはまずまずといったところかもしれないが、5台のスープラの存在感は圧倒的だった。この5台のスープラが、表彰台を席巻する日を予感させてくれた。

(写真&テキスト:折原弘之、編集:大谷幸子)

折原弘之

F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/

[ガズー編集部]

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