沖縄に生まれて… ~平良響選手&沖縄をモータースポーツで盛り上げる人たち Vol.2~
まずは、平良響選手のインタビューの続きです!
平良選手の好きな食べ物、プライベートなことを少々
ゴウヤチャンプルが好物ですって。新鮮なゴウヤをいただいたら、苦味が全くないことを沖縄で学びました。卵と炒めたお味は、きっとお母さんの味、家庭の味なのでしょう。ノーマルな野菜炒めも美味しいしご飯がすすみます。
趣味は、サウナ!整えるのですね~流行ってますね。そして、沖縄の楽器「三線(さんしん)」を練習中とのこと。これは、沖縄出身だから出来ないと、という意識から。そして、1年前に御殿場にお引っ越し。自炊もされるそう。ガパオライスにチャーハンも極めたとのこと。遠征ばかりなので、あまり食材を買い置きできないですけどね~と、業界あるあるをおっしゃっていました。
将来の夢
将来は、平川亮選手のように“世界を目指したい、WEC(FIA世界耐久選手権)に参戦したい”そうです。そのためにも、レーサーとして最低限「英語が必要」という意識を以前からお持ちで、英語中心の大学に進み、海外でも“一人でコミュニケーションを取ってレースが出来る”ということを基準にして学んできたので、世界に出る準備はバッチリのようですよ。ここね、決まってからでは遅いし、やはり自分で話せないと道は切り開けません。大事ですね。私も業界を目指す方には、英語はやっておいてと言っちゃいます。
沖縄に生まれて
「沖縄に生まれて良かったと思いますか?」と愚問を投げかけてしまいましたが、『良かったです!』と元気に答えてくださいました。沖縄の、また他のメディアに出させてもらっている理由に、沖縄出身というのがあると思うと。
FTRS(フォーミュラトヨタレーシングスクール)で書類合格したのも関谷先生、片岡先生を沖縄というワードが射止めたらしいのです。「沖縄出身のコがいる」と。当初は、思い出作りだったのかもしれませんが、しっかりここまでステップアップして来たこと。一つのきっかけをしっかりと活かしたことは、私は素晴らしいと思います。
ますますご自身の故郷を武器に、頑張って行って欲しいですね!今後も、モータースポーツイベントが、沖縄で増えるようで準備が進められているようです。沖縄のみなさんが今以上に楽しんで、そして、平良選手がいつか後進の道を切り開くような存在になっていって欲しいですね。まずは、今季、全力全開で頑張ってください!
モータースポーツマルチフィールド沖縄
沖縄市の公共施設に、「モータースポーツマルチフィールド沖縄」という施設があります。
<施設の紹介記事はこちら>
日本、アジアの聖地となるサーキットを沖縄市が計画 | トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO
サーキットなどのモータースポーツ関連施設で働くスタッフの方は、どれだけモータースポーツに興味があるのか?ということに私は以前から興味があり、それが沖縄ではどうなんだろう?と思っていました。平良選手が使う“苦労”という言葉も気になっていたし。そんな矢先、勇気をもって取材を申し込んでみました。沖縄、平良響…から追っていったのです。そうしたら、意外な答えがじゃんじゃん出て来て、予想外の取材。取材させていただいたお二人が施設開設に伴い、声がかかった理由もわかりましたし、ほんと楽しかった!それでは、どうぞ。
同じく沖縄の地で育ったスピリット
モータースポ―ツ・マルチフィールド沖縄のスタッフのお二人をご紹介しましょう。
―仲村優佑さん(29歳)
彼は、2輪のライダーさん。ロードレースを始めたのは21歳からで、2019年まで全日本ロードレース選手権にフル参戦。2020年もアジア選手権に参戦予定でしたが、コロナで1戦のみとなり、2021年からこちらの施設で働き始めました。鈴鹿サンデーロードレース、全日本ロードレース選手権(鈴鹿2&4レース)に、いわゆる8耐のトライアウトなど、現在はスポット参戦でレースをされています。
お父様がバイク屋さんをされていたので、小さい頃からミニバイクをやっていたという恵まれた環境で育ち、そこから全日本アジア選手権などを転戦。割愛しますが、その後ご自身でチームを立ち上げ、沖縄のモータースポーツ普及の為に頑張っていらっしゃいます。走行会や指導なども行い、レースを始める方への普及活動もしています。
今後もカテゴリーにとらわれず、スポット参戦というカタチで海外でも走り続けていきたい、という野望をお持ち。その目的は、そこにパイプを作ることで、今後、沖縄から人を送り込むことも出来たらなあという想いがあるからとのこと。
プライベーターだからこそ、自由で、自分が切り開く路線を将来構築することができるかも。こちらが思い描いていた沖縄のモータースポーツ…から世界というスケールの大きさ、しかも実現できそうなイメージも沸き、インタビューも楽しくて楽しくて。
平良響選手や彼も、みなさん「ククル読谷サーキット」で知り合ったそうです。モータースポーツマルチフィールド沖縄の管理を任されている翁長達也さんが経営されているサーキットで、各々練習を頑張っていました。
「平良くん、ちっちゃくてかわいかった」とのこと。ちなみにVol.1でも触れましたが、翁長さんのお嬢さまは、小学生の時、カートの全国大会に一緒に出場し、悔しさを味わった幼なじみで、現在は、競争女子、GR86/BRZCUPで頑張っている翁長実希選手です。小さい頃から頑張っている姿をお兄さんの仲村さんも、そしてもう一人、上原さんも見ていたようですね。
続いては、その上原さんをご紹介します。
―上原政人さん(39歳)
彼もこちらの施設のスタッフさんですが、この方は4輪でご活躍されています。子どもの頃、F1を見てモータースポーツに興味を持ち、自動車の免許を取ってから、フォーミュラの世界に入っていったそうです。そうなんです、大人になってからレースを始められているんです。いろんなカタチがあって当たり前ですが。
21歳で、ENDLESSのオーディションに書類を出し、関西のチームからオファーがあり、今でいうSuper FJに参戦したそう。名古屋までの飛行機通いを半年ほどと、その都度鈴鹿サーキットへ通われたそうなんです。その後、カートの世界へ行き、ご自身が海外でレースをやりたいと思うようになり、頑張って英語を勉強。フィンランド語も話せるそうですよ。たった2行で表現してしまいましたが、とっても凝縮したモタスポライフですよね。
タイ、フィリピンでレースをしたり、カナダに行きレーシングスクールで学んだりと、めちゃくちゃアグレッシブな生活をしていたそう。他にも、シルバーストーン(イギリス)、スパ(ベルギー)でもBMWのワンメイクレースに参戦したり、フランスでは、ストックカーのレースに出たり。クロアチアにも?めちゃくちゃ楽しんでいますよね。
これは大人になってからモータースポーツを始めた、という利点もあるのかもしれません。自分で自分の年表を描きながら実践していく。こういうスタイルは、私も初めて出会いました。もしかすると他にもいらっしゃるのかもしれませんが、ここで出会った!感。個人で楽しむレベルの話なのか?と訳がわからなくなり、頭がぐるぐるしました。
そして、レーシングチームを立ち上げました。2輪の仲村さん同様に沖縄の人を集め、走行会を実施。指導を行い、今後は国内のレースに参戦して行こうと考えているそうです。この施設でたくさんの方と知り合ったことが、彼の背中を押すきっかけとなり、益々ご自身の想いが強くなったそう。せっかく良い施設が出来たので、これを使わない手はないと思い、仲村さん共々、積極的に活動されています。
平良選手について
「小学生の時から、礼儀正しいコでした。とてもちっちゃくてね」とおふたり。そして現在の平良選手は、「沖縄のモータースポーツの“顔“、”スター“ですね」と。私がF4で目撃したテレビ局のお話の他に、平良選手が成人式を迎えたときもテレビ局がやって来たそうです。スター間違いなし!
そして、沖縄でカートをやっている子どもたちは、今や平良選手が目標とのこと。そして平良選手には、「国内のトップカテゴリーに行き、長年に渡り走って欲しい、ビッグになって沖縄の為に何かして欲しい」とも語ってくれました。
今季はまず1つ、トップカテゴリーのSUPER GTのGT300クラスに辿り着きました。次は、GT500クラスが目標となりますが、着実に前へ進む平良選手を見守る沖縄の皆さんのお話がとにかくうれしくなりましたね。
沖縄モータースポーツ事情
沖縄では、ドリフトが大人気だそうです。米軍基地の外国人さんに非常に人気があって…。なんとこの施設では、ドリフト走行が可能とのこと。珍しいですよね。タイヤ痕がいっぱいでした。
また、小学生も参加されているそうです。軽トラで練習しているそうで、公道ではないので、親御さんの許可があれば走行可能です。これ、WRC世界チャンピオンのTGRのカッレ・ロバンペラ選手が8歳でラリーしていたことを思い出しました。誰だったかなあ、元F1ドライバーも子どもの頃、農園でトラクターを操っていたとかなんとか、世界にはそんな話がいっぱい。だから世界は強いのか!と思っておりましたが、この沖縄からもそんな選手が生まれるかも?と期待してしまいますよね。
若い人たちが走れる場所がなかったところ、この施設がオープンし、アクセスがとても良いことで、客層も変わってきているそうですよ。
施設のコンテンツ
初心者に特化した走行会、ジムカーナなど、この施設では幅広いコンテンツを用意していました。なかでもハローワークさん主催、求職者にタクシーの運転講習会を設けているのが興味深く。運転経験をしてもらって、「タクシー運転手」という職業に興味を持っていただくという。
また、企業の利用としては、車の販売店の社員さん向け試乗、タイヤの評価試乗会などの社内研修、安全運転講習、白バイ、消防訓練など、地域の安全にも貢献する活動があり、マルチフィールドとはまさにこのこと。
なんと、ここで白バイの訓練をされた方が全国で2位になられたとか。これは施設としてもうれしい限りですよね。地域と共に成長しているサーキットであると、お話を伺って強く感じました。
コースはバイクショップさんの手作り
2輪のイベントも、もちろんあります。私が訪れた日は、バイクショップの貸し切り走行の日で、コースはそのショップさんが作り、全日本のバイクジムカーナに参戦している方が講師に来られていました。すごい!
最後に
お二人によると、「沖縄県には、モータースポーツが好きな人が多いのではないかと思っています」と。ミニバイクが80台ほど普及していて、関西エリア全体では100台くらいだそうで、アバウトですが、これはこれで興味深い数字ですよね。また、鉄道がない分(モノレールはあります)、クルマ社会。自分で移動しないといけないので、一家ではなく、ひとり1台ないと生活ができないというこの土地柄の事情もあり、密接に生活そのものにクルマ、バイクが存在します。
今後、コロナ禍明けの「沖縄」のモータースポーツの展開から目が離せません。良い意味でざわざわしてきそうですので。遠い沖縄の地が、今回とても近く感じられ、また来よう!という気持ちで帰って参りました。
「沖縄」モータースポーツでちょっと気にしてみてください!そして、平良響選手の今シーズンもご期待くださいね! 取材に際し、お話をしてくださったモータースポーツマルチフィールド沖縄のみなさま、ありがとうございました!
(写真・テキスト:大谷幸子)
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
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