今季初のウエットレース、悪天候により不完全燃焼に終わる 〜スーパーフォーミュラ第3戦スポーツランドSUGO〜
雨でしたねえ。
6月のこのラウンドは、これまでも雨にたたられることがよくありました。東北の初夏は暑かったり寒かったり。悪天候ということに正直、驚きはありません。
もちろん、屋根の少ないサーキットですのでお客様は大変で心配ですけどね…。
決勝前に雨脚が弱くなったり雨が上がったりして、さてウェットかスリックか?
予選下位からスタートのチームはスリックで博打に出るのか?
というのはレースあるある。
天候が好転しコースがドライアップすることに期待し、タイヤを賭けて惨敗したこともありましたよ。チームスタッフをしていた大昔にね。
今回も時期的に梅雨ですから、雨天でも自分は通常営業。
予選やレースは、モニターやSFgoアプリで展開を追いかけていました。
しかし、レースが終わってからが少しセンシティブ、今でも切ない思いです。
無線をレース中には聞いている余裕がないので、気づくのが遅かったです…。ドライバーたちとチームのやりとりに気づいていませんでした。
では、振り返ります。
搬入日は、ル・マン24時間レースから帰国した小林可夢偉選手兼チーム代表の記者会見からスタート。これは毎年のルーティンとなっておりますね。
ただ、今年は小林可夢偉選手お一人だけで会見に臨みました。
中嶋一貴さんや平川亮選手は、もうスーパーフォーミュラにはおりませんので、そうなりますね(内容は、TGRコラムで触れます)。
これが終わるとすぐチームに戻り、レースウィークに集中した可夢偉選手。
他のチームも準備に時間をかけるいつもの搬入日でした。
スーパーフォーミュラ・ライツの咆哮が時折響きますが、静けさに包まれた森の中のサーキット…でしたね。
予選日は真夏の暑さ、気温32度まで上がりました。
Honda勢を追いかけるTGR勢では、福住仁嶺選手がフリー走行で2番手と好材料。
それでも予選は心配だったと福住選手。
なかなか上手く行きません、いざ予選となったらまさかの後退。残念…。
そして、はい、来た無限さん家が。ほんと強い。
昨年は野尻智紀選手の欠場もあり万全に戦えない事もありましたが、今季は完全復活。
うーむ、昨年も別に何かダメって訳ではないと思ってるんだよね。欠場してもタイトル争いにしっかりからんでいましたよね。
野尻選手がフル参戦していたら、もしや?
今季は、いつもの強い野尻選手が君臨。2番手に岩佐歩夢選手と無限ワンツーです。
鉄壁無限チームのエンジニアさんたちのお顔が脳裏に浮かびました。すごすぎ。
この牙城を崩すのは誰になるんだろうといつも思います。
TGR勢も頑張って、予選10位までが1秒内という相変わらず激戦の中、フロントローこそチーム無限でしたが、6人をトップ10に送り込みました。
無限のお二人が頭ひとつどころか上半身くらい飛び抜けているけれども、TGR勢が彼らの尻尾を掴んだか?ちょっとそんな雰囲気が今回はありましたね。
尻尾がどこにあるかわからないけど、戦える感じがしてきました。
坪井翔選手が3番手。良い感じです。
TGR勢ランキングトップの山下健太選手は安定。
チームメイトの小高一斗選手が前戦で振るわず全く元気がなかったのですが、今回は大丈夫。
オートポリスで最後に見たシーンが、レースが終わってから関係者に囲まれていたシーン(ミーティング)でしたので、心配しかなかった。
立て直してきましたのでとにかく安堵です。
大湯都史樹選手がかなり良い感触。予選5番手。
Honda陣営にいた時は上位争いに加わっていたシーンの記憶が多いです。優勝経験もある彼ですので、実力は十分。
それを移籍してから出し切れていないのが気がかりでしたが、いいですねほんと。期待です。
TGR勢の予選最上位は、坪井翔選手の3番手。Honda陣営に立ち向かう筆頭。
チャンピオンカーを引き継いだだけあって、大きな期待をこちらも寄せますが、もちろんそれに相応しいドライバーですね。
Honda勢のJuju選手。
ずっとたくさんのメディアが追いかけておりましたが、オフテストや開幕戦は、あまりにメディアの数が多すぎて、まだ若い彼女は大丈夫なのかなあと思って見ておりました。
しかし、地方戦だったからかな、前戦に比べると今回のメディアは馴染みのメンバーが多かったので、落ち着いてレースに取り組めたのではないのかなと思います。
ファンの数は当然ダントツで多かったですね、人気があるのは良いことです。
このカテゴリーの認知度を上げることに一役勝っているドライバーさんですよね。
レースに専念して頑張ってほしいですね。勉強も大変だろうし。
シートが空いている19号車は、今回はTGR-DC 平良響選手がシートにおさまりました。
「怖い、まだ慣れていない、クビは持つかな」と正直な気持ちを会見やインタビューで話しておりましたが、さて今後はどんな走りを見せてくれるのか。
スーパーフォーミュラ・ライツのタイトルを昨年取れなかったことで、不安がよぎったことでしょう。
でも、巡ってきたこのチャンスを自分で切り開くしかないですね。とにかくなんでも頑張って!
迎えた決勝日。
朝から雨。霧雨だったりもしましたが、止みませんでした。
これくらいの雨脚ならできるんじゃないかと、過去にもっと強い雨でも走っていたような気がしていたんですよね。
データで示せと言われると、記憶だけですのでなんともごめんなさいですが。
新しいウエットタイヤで初レースを迎えることになり、朝のフリー走行に注目でした。
しかし、ここからアクシデントが続きました。
ハイドロに乗った岩佐選手には、びっくりしましたがリプレイを見るとわかりますが、まず大丈夫そう。
マシンとご本人に大きなダメージはないと無限の田中監督がインタビューで答えていましたのでOK。
決勝目前のウォームアップ走行の山本尚貴選手のクラッシュは非常にショックでした。
昨年のSUPER GTでも彼は、ここスポーツランドSUGOで負傷しています。
残りのレースには参戦できませんでした。まだカラダは完璧ではないのかも?わからないけど、心配で心配で。
そんな中でのスピン、クラッシュでした。今もショック。
タイムスケジュールがここから大幅にディレイ。
ガードレール修復などの時間を経てようやく決勝になりました。
12周の決勝ではほとんどがSCでしたから、レースができなくて残念しか出てこないのが今回の決勝。
決勝の前に走行がほとんどできていないので、タイヤもマシンもろくに確認ができないままの決勝、ドライバー的にももちろん不完全燃焼なのが残念。
お客様もそうですよね。
初のウエットタイヤの感想も満足な回答は得られないのは致し方なく。
簡単なひとことくらいはありましたけどね。
レース中止の判断は、雨の中、ずっとお待ちになっていたファンを朝から見ていたので、それはかわいそうでした。
しかし、ドライバーの安全が担保できないとの理由には納得ですので当然の判断でしょう。
天候が相手ですのでどうにもできないのが正直なところです。
そして、切ないと冒頭で表現したことは何かと言いますと、レースが終わってからですね。
もろもろの憶測が飛び交っていて、ドライバー批判が結構ありましたね。
レースの続行に対してドライバーさんたちがチームと無線で話していたようですね。全く気づいておりませんでした。
あとね、危険と言ったことに「イマドキの若いドライバーは…」という意見があったのも残念で。
SNSであれこれ、若いドライバーは言い過ぎみたいな意見も見ました。
彼らは、今回の件について直接SNSで意見を書いたりはしてないように思います。
メディア向けのミックスゾーンで取材を受け、それをメディアが記事にして発信。
その記事のタイトルなど一部のキーワードだけを拾って、批判をしているように思います。
これはSNSではよくありますね。事実と異なる発言も目にしたりします。
優勝ドライバーの野尻選手は記者会見で、レースの運営についてもコメントしました。
人柱になったことで、彼は自分に意見が来ることは覚悟していました。
後からいろんな話を耳にしましたが、彼も情報を完全に把握していた訳ではありません。
しかし毅然とした態度で、ご自身がその目で見たことを話し、批判を覚悟で公の場所で意見をしたことは、映像で配信されているので覚悟があってのことだと思います。
まさにプロですね。これは私は運営側ではないので、一意見として捉えました。
立場が違えば違う言葉が出て来ます。
レースを終えていろんなお立場の方がたくさんの意見を吟味して、今後の運営に活かしてくださると思いますので、外野のわたくしは静観です。頑張ってください!
このスーパーフォーミュラという国内最高峰に参戦する素晴らしいドライバーたち。
キャリアの違いはあれど、シートを得てここで走っていること自体、私は尊敬しています。
雨で怖いと話すこと、あのコンディションの中でレースをやめた方が良いんじゃないか?と無線などで話したこと。
これだけでプロなんかやめちまえは、あまりに心無い言葉だと思うのです。
マシンも進化しここ数年、大クラッシュが身近で起きている中、実際レースに出ている本人たちが安全面に対する発言をすることは不思議じゃないように思います。
ドライバーさんに媚び売ってるわけではないです。
彼らが安全な環境で、素晴らしいバトルをするレースを見たいんですよ。
アクシデントに見舞われたドライバーさんたちが無事で良かったとつくづく思います。
彼らをリスペクトし、次のレースを楽しみに待ちたいと思います。
(テキスト 大谷幸子、 写真 日本レースプロモーション)
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
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