国本雄資、スーパーフォーミュラからの引退を発表!
11月29日、その発表は、30分前と表示されたInstagramで目にすることとなりました。
ん?もしや? クルマの写真を見た瞬間、そうなのかもとも思ったんですよね、引退…。
そして、事前に言わないところも彼らしいと感じました。ある意味何かを割り切ったりしているところがね。国本雄資選手がスーパーフォーミュラからの引退を発表しました。
先月の鈴鹿サーキットのスーパーフォーミュラ最終戦で、シーズンエンドセレモニーのときに、引退を発表していた山本尚貴選手やチャンピオンを獲得した坪井翔選手がシャンパンの祝福を受けているときに、端っこでシャンパンをすこしかけられていた国本選手。
あれを見て確信したんです。仲の良い方にだけ、もしかすると打ち明けているのかなと。間違いなかったですね。
ルーキーテストで会見を行ったのですが、私はオフの現場は仕事ではないので欠席でした。とても身近に感じる(私が)ドライバーさんなので、とても残念です。今季は、彼の去就にずっと注目をしていました。
ちょっと振り返ると、全日本F3選手権を向かうところ敵なしの状態で、2010年にタイトルを獲得し、満を持して、フォーミュラ・ニッポン(現・スーパーフォーミュラ)とSUPER GT GT500クラスにステップアップしました。
同じく育成ドライバー(当時は、TDP)だったお兄ちゃんは、フォーミュラ・ニッポンにはステップアップをしたのですが、SUPER GTではGT300でキャリアを終えていますので、国本京佑さんを越え。でもお兄ちゃんは、マカオグランプリを制覇したから、越えたとか簡単に言ったらダメなのか。とにかく兄弟で素晴らしいキャリアをトヨタ育成ドライバーとして持っています。
スーパーフォーミュラでチャンピオンを獲得したのが2016年。前年と翌年に、チームメイトの石浦宏明選手がタイトルを獲得しています。現在のセルモインギングが、3連覇だったんですよね。強豪チームに成長したその時期に所属していました。
その後、2019年にコンドーレーシング、2020年KCMGに移籍。KCMGでのチームメイトは、小林可夢偉選手。4年間在籍し、今年は、チームインパルからの参戦となりました。開幕当初、星野一義総監督に感謝とおっしゃっていたので、チームからのオファーでジョインしたと理解しておりました。チームインパルは戦績が低迷していることもあり、それと移籍で苦労も二重になったのではと少し厳しい感想を私は持っております。
メーカー育成ドライバーの若手がなかなかステップアップできない状況もありますが、そんな中でベテランとしてシートを獲得して走り続けることは大変自分を追い込んだのではないでしょうか。結果的に退く決断をされましたが、最後はもっと笑顔を見たかったですね。
ドライバー育成プログラムをとりまく環境もコロナ禍を経て、今や海外カテゴリーにも手を広げ、環境がいきなり揃った感じ。その地固めで忙しい最中に思います。F1のチームとも提携をし、今月行われたスーパーフォーミュラのルーキーテストでは、逆輸入でF1ドライバーを走らせました。
トヨタガズーレーシングの全体を見渡すと、ここ数年でグローバルカテゴリーとしてたくさんのドライバーが所属する大所帯。そのドライバーたちを同じクルマに乗せて実力を見る。ドライバーのレベルを見たい意味でいけば、このルーキーテストはとても良いんじゃないかと思います。そのような主旨があるかどうかは確認をしておりませんが、ルーキーテストのメンバーを見るとそのように推測できますね。
平川亮選手がハースのF1マシンに乗せてもらったので、逆にF1ドライバーさんがどんだけ速いのか見てみたいとか。違うかな、まあ、いろんな指標になりますよね、同じクルマに乗ることはなかなかできませんからね。
TGR勢のクルマは、FIAの表彰式に小林可夢偉選手が行っていて、空いていたのもありましたし、国本選手の後任も決めないといけないしね。実践で判断できるのも良いことです。
国本選手のことに話を戻すと、スーパーフォーミュラのタイトルを獲得したときに、「世界のカテゴリーを走ってみたい」と発言していました。
過去には、F1に参戦していたトヨタ自動車ですので、国内カテゴリーでチャンピオンを獲得すると、イベント内ではありましたが、F1に乗ることができ、ある意味それがご褒美となっていました。その当時は、自分たちが参戦するカテゴリーだったので、叶いました。
国本選手の時は、最高峰がWECでしたので、そのシートが用意され、ル・マン24時間に参戦しました。彼は英語が堪能なので、ここまで実現できたのだと思います。この時は、WECが最高峰カテゴリーでした。
昨年SUPER GTとスーパーフォーミュラのダブルタイトルを獲得した宮田莉朋選手は、海外志向でF1に乗りたいという夢がありますから、今年は、海外カテゴリーに行ってしまいました。語学の準備も出来ていたのは大きいですね。
中嶋一貴TGR-E副会長が、海外で育成を担当しているので、彼の元F1ドライバー、そしてWECのレジェンドドライバーというキャリアも大きく活かせて、一気に実現となったのではないでしょうか。いろんなことが「機が熟した」ようにも感じます。
国本選手の「世界のカテゴリーを走ってみたい」という一言は、きっと今も活かされているのではないでしょうか。頂点のカテゴリーのドライバーを輩出する育成プログラムですからね。
以前は、TDP、今は、TGR-DC( TGR DRIVERS CHALLENGE PROGRAM)と名前を変えましたが、そこで頑張って来たのも彼です。今後もSUPER GTで頑張ってくれると思いますのでさみしくはないのですが、あまりに苦労したタイトル獲得後が、せつなかったなと振り返りました。今年はいつも悔しい表情を浮かべていましたね。実はとっても明るいのにね。
来季は、SUPER GTでたくさん笑顔が見られるといいなと思います。まずは、お疲れさまでした。来季もまた元気な姿でお会いしましょう!
以前、制作されたトヨタガズーレーシング公式YouTubeもご参照ください。
【INSIDE GR】国本雄資、元王者の孤独な闘い
では、また来年!
(写真:日本レースプロモーション、テキスト:大谷幸子)
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
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