さわやかな涙と切なすぎる幕切れ 〜SUPER GT 2025 第2戦富士スピードウェイ〜

  • SUPER GT 2025 第2戦富士スピードウェイ

パーフェクトな勝利と最後の悲鳴が耳に焼き付いておりますが、ドラマチックな富士ラウンドでしたね。反響がとても大きく、直視できない結末の方が印象が強く残っています。

完璧なポールトゥウイン!38号車KeePer CERUMO GR Supra!

  • SUPER GT 2025 第2戦 GT500表彰台

  • 優勝を喜ぶ石浦宏明選手、大湯都史樹選手、立川祐路監督

  • 見事ポールトゥウイン!38号車KeePer CERUMO GR Supra

富士マイスターと言えば、セルモ立川祐路選手いや監督ですね今や。誰にも見えないラインが見えているのではとよく表現するほど富士スピードウェイが得意で、ポールポジションも何回取ったでしょう。イメージとして、やっぱり真っ赤なスーツと立川選手(あえて選手)が浮かびますが6年も勝ってなかったとはね。ポールポジションは、5年ぶりとのことです。

  • 38号車KeePer CERUMO GR Supra

立川監督が引退してから、2シーズン目。チームの体制も昨年、大湯都史樹選手が移籍し加入。岡島トラックエンジニアも一緒に移籍して来ました。2人の若さがもたらす「変化」にも期待と思っていました。

彼らは、メーカーもクルマも変わって1年。昨年しっかり勉強し2年目で早速結果が出たということですよね!しかも、ポールトゥウィン!勝ち方がかっこ良すぎ。

一年かけていろいろ準備をしてきたと、立川監督の優勝コメント。石浦宏明選手とコンビを組んで2019年以来の優勝で歓喜に湧きました。大湯都史樹選手があれだけ泣くと思わなかったけれど、若いながら彼なりの重圧があったのでしょうね。重圧を吹き飛ばす感じかと思ったらね。

石浦宏明選手ドライブの開幕戦のオープニングラップでクラッシュ。あれだけ壊れてしまうと(ごめん責めてない)、この第2戦に間に合わせるのは大変だったと思います。そのほかに16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16、12号車TRS IMPUL with SDG Zと2台巻き込んでいますから、2台も短い期間で修復に勤しんだと思います。お疲れ様です。他の2台もこの富士との間にスーパーフォーミュラもてぎ大会がありましたので、メカニックはだいたい兼務していますから、そちらに人を取られてしまう。となると、だいたいチーフメカが孤軍奮闘というパターンです。よく間に合わせました。まずは、わたしはそっちが気になりましたね。

その辺いろいろ聞きたかったけど、搬入日が雨でしかも結構降ってて、各ガレージ内で準備もしていたので、遠慮して取材ができませんでした。この日が一番大事な私としてはなんとも残念でした。晴れていたらお手間を取らせずサクッと聞けるんだけどね。

レースを支える裏方さんたちの仕事っぷりはすごいですよホントに。大変なのは「仕事」と言ってしまえばそれまでかもしれないけれど、情熱の上に成り立っていることを常に感じます。ほんと熱い!

  • 19号車 WedsSport ADVAN GR Supra

19号車WedsSport ADVAN GR Supraが予選速かったねえ。戦える感じがするのは、とてもうれしいです。決勝が14位。同じヨコハマタイヤの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zは15位。うーむ、ガンバだ!

  • 2位表彰台 1号車 au TOM'S GR Supra

GT500は、開幕戦の岡山国際サーキット、富士スピードウェイとTGR勢の得意なサーキットが続きましたので、ランキングも上位がTGR勢。チャンピオンの1号車au TOM'S GR Supraが開幕戦優勝、今回2位と頭抜けてますね。古豪の38号車…この表現ふさわしいかな?ふさわしくないかな?ちょっとだけ勝っていなかったので、あえて使うとこのチームも復活してもらって、いや復活したか!シーズンがますます盛り上がってくれたらと思いますね。

  • 3位表彰台 100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT

Honda勢は、どのクルマも可能性あるなあと思っていましたが、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが予選13番手からなんと3位表彰台獲得! これ予選がもう少し上位だったら、きっともっと上位に行けていたはずと、誰が優勝していたか読めないレースになっていたかも?しれませんね。牧野任祐選手の走りに磨きがかかっていました。いつも山本尚貴選手が後半のスティントを走りますが、今回は牧野選手が担当。見せ場を作りましたね。このチームは常にタイトル候補。強いチームが窮地に立たされ底力を発揮したレースでした。拍手しかないです。素晴らしかったです!

  • 12号車 TRS IMPUL with SDG Z

そして、元気がないなあと感じた日産勢。昨年は、3号車Niterra MOTUL Zが優勝をしていますが、今般12号車が4位に入りました。インパルも富士が強いイメージがあります、私は。記憶の彼方でいつ?と言われたら、GT-R時代としか答えられないけど。もちろん体制は変わっていますが富士が得意なクルマが来るとうれしいものです。

  • 23号車 MOTUL AUTECH Z

赤い2台、エースカーがなかなか上位に来ないのはどうしたんだろうね。23号車MOTUL AUTECH Zは、今回予選最下位。これは見たことなかったリザルトかもね。決勝では8位フィニッシュでしたが、彼らはチャンピオンしか求められていないと思います。ただ立て直すは早そうなので、真っ赤に染まったグランドスタンドの応援団たちを喜ばせてくださいな。三つ巴が私は理想です!

悲劇再び

  • 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT

ファイナルラップで、開幕戦も今回の第2戦も場内からの悲鳴が轟きました。今回も全く様子がわからず。何気に振り返ると、大型ビジョンに映し出された61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが停まっている姿と、頭を抱える井口卓人選手が映し出されていました。一瞬チラ見しただけなのですが、とても衝撃過ぎて慌てました。パルクフェルメにも走らないといけなかったので、あとで録画で見ましたけど、ショックなシーンでしたよね。

開幕戦は、8位走行のチェッカー目前で後続のマシンにヒットされスピンする姿が。ほんと目前だったんです。この時は13位チェッカーでした。まさか2戦連続で悲劇が待ち受けているとは。マシントラブルということで何が起きたかは不明です。

過去にも悲劇は結構あってと言うのは申し訳ないけど、気の毒というかそんなレベルを越えて、心配になってしまいます。次戦のセパンへ向けてのクルマの搬出までに頑張っていただいて、次こそは気持ち良くレースを終えて欲しいですね。ドライバー二人の泣く姿はもう見たくない、ほんと。応援してます!

まさかの予選27位からの優勝!

  • (左から)片山義章選手、ロベルト・メリ・ムンタン選手、小倉啓悟監督

  • 6号車 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI

  • GT300優勝!6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI

スバルさんの悲劇もありましたが、こんな怒涛の追い上げもありました。なんと予選27位からの優勝というね。これも衝撃的。片山義章選手、ロベルト・メリ・ムンタン選手のコンビの6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが優勝です! 予選27位ってGT300は28台参戦ですので最後列のグリッドからです。クラス違いかと思うような力強い追い上げを見ました。

ロベルトくんは、元F1ドライバーでもあるスペイン人。彼は2022年にSUPER GTにやって来ました。彼のことは、かなり昔ですが、2008年のマカオグランプリで私は拝見しています。当時は、国本雄資選手のお兄さんの国本京佑選手がマカオに出て優勝したことがあるのですが、その時に名前を覚えました。スペイン語読みで「メルヒ」というのをよく覚えていました。父方の姓とのことです。

日本のレースに参戦した経緯は存じてないのですが(今度聞いておこう)、どうしてだろう?なんとなくしかわからないので、いつか取材しておこう。メーカーのファクトリードライバーがGT3車両で参戦するパターンはあります。アストンマーチン、ポルシェやランボルギーニ、撤退しましたがBMWがそうでした。今年、テストまで居たリル・ワドゥ選手もフェラーリのワークスドライバーでしたね。近年増えましたが彼、ロベルトくんは違いますね。F1は短い時期でしたがペイドライバーではなかったという珍しいパターン。実力でということなんだと思います。

昨年、SUPER GTにフェラーリが2台登場し、そのうちの1台がこのチーム。Audi R8 LMSからFERRARI 296 GT3へ変えて参戦しました。昨年、2台のフェラーリは優勝こそまだでしたが、表彰台を2台それぞれが獲得し期待を膨らませていました。ロベルトくんは参戦4年目で優勝!となったわけです。今後ももっと日本で走ってくれるかなとココにも期待します。また、チームのみなさんはかつてはGT500クラス、TGR陣営で戦っていた仲間なんです。引き続き頑張ってくださいよ!応援してますからね。おめでとうございました。

次戦第3戦は、久しぶりの海外ラウンド、マレーシア大会です。久しぶりにセパンサーキットへ行って参ります。もう12年も前のことで様変わりしてそうですが、セパン戦復帰が今シーズンの目玉でもあります。ここはもちろんサクセスウェイトがあるので、前半に戦績が良いTGR勢にとってはあまり良い思い出のないサーキット。きっと戦いにも変化があるかもしれませんね。とにかく異国での戦いを楽しみにしたいと思います!ではまた!

(写真:GTアソシエイション、折原弘之 / テキスト:大谷幸子)