道路交通法でロービーム、ハイビームの使い方は定められている

車の運転は「認知・判断・操作」の3つの繰り返しです。
認知しなければ、判断も操作もできませんので、最も重要なのは「認知」だと思います。また、「認知する」だけでなく、周囲に自の存在を「認知させる」ことも重要です。静かなクルマの場合、聴かせて認知させることが難しくなっていますので、ライトの役割は重要です。昨今、灯火類が全てオートのクルマも増えています。そこで、免許取得時に勉強したであろうことをあらためておさらいをしましょう。

道路ヘッドライトの向き、基本はロウ?ハイ?

道路交通法には、ヘッドライトを含む灯火類について以下のように定められています。
基本的に上向き(ハイビーム)で走行し、行き違いや車のすぐ後ろなどを走る場合には、減光したり、下向き(ロービーム)に切り替えたりしなければならない。加えて、トンネルや濃い霧の中など、前方50m先(高速道路では200m)が見えないような場所では、灯火類を点灯しなければならない。

道路交通法 第52条第1項(車両等の灯火)

1項
車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

2項
車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

道路交通法第19条(夜間以外の時間で灯火をつけなければならない場合)

トンネルの中、濃霧がかかつている場所その他の場所で、視界が高速自動車国道及び自動車専用道路においては二百メートル、その他の道路においては五十メートル以下であるような暗い場所を通行する場合及び当該場所に停車し、又は駐車している場合とする。

しかし、街中では対向車や前方に車がいる場所を走行することが多いため、ロービームの状態で走行し続けることになります。そのため、対向車や前方車両がいない場所へ行っても、ロービームのままで走行しがちです。なぜダメなのでしょうか。

ヘッドライトのロービームの照射範囲は、一般的に40mと言われています。視界が悪い時にロービームで走行していた場合、法律で定められた前方50m先が見えないことになります。

また、夜間、時速60km/hで走行していたとしましょう。
道路状況、ブレーキの強度によってもかわりますが、時速60km/hのときの停止距離は一般的に約44mと言われています。そうなると、ロービームの照射範囲内に人や障害物が入ったときに、急ブレーキをかけたとしても、衝突の回避ができない可能性が高いでしょう。

しかし、ハイビームは、照射範囲が約100mのため、衝突を回避できる可能性が高まります。見通しの悪い場所や周囲が暗い場所をロービームのまま走行を続けると、歩行者や自転車、障害物の発見が遅れてしまい事故を起こす可能性が高まるのです。

しかし、街中では、ロービームの時間が長くなりますので、周囲環境によりハイビームに切り替えていると思います。でも、法律上は逆であり、基本的にハイビームで走行し、周囲環境によりロービームに切り替えることになっていると理解してください。そのため、ハイビームで周囲に迷惑をかけないように、常に周囲の交通の状況を予測しながら運転することが基本操作であると理解しましょう。

ヘッドライトがハイビームになっているかどうかは、メーター内の青色の表示灯で確認できます。ヘッドライトに関連するレバーやスイッチを操作した際には、ハイビームとロービームのどちらになっているのか確認する癖をつけておきましょう。

  • (出展:写真AC)

安全のために

警察庁が発表している「薄暮時間帯における死亡事故に関わる分析(平成28年~令和2年までの統計データ)」によると、1日の中での死亡事故は、薄暮時(夕暮れ時)にあたる17時~19時に最も多く発生しているそうです。

早めにライトを点灯することにより「認知」されやすくなるためでしょう。昨今、オートライトの義務化やデイライトの認可により、薄暮時になるライトが自動で点灯したり、昼夜問わずポジショニングライトが点灯している車が増えています。オートに慣れると、何が正しいのかわからなくなりがちですので、基本操作はしっかり理解しておくようにしておきましょう。

  • (出展:トヨタ自動車)

(文:齊藤優太 編集:ガズー編集部)

コラムトップ

出張取材会in山梨長野
参加者募集! 1月12日 10:00まで