ランクルとともに人を鍛えるTLC。 ダカールラリー2017同行取材で観た!(その3) 2/2
- 的確なナビゲーションだけでなくドライバーのサポートもできるローラン選手とのコンビネーションは抜群だ
- 市販車部門のマシンは、どうしてもバンパーをぶつけないと越えられない場所も多い
- TLCの活動を応援してくれているトヨタ車体 網岡会長は、こうして社員がドライバーとしてチームに貢献してくれることを何より喜んでいるだろう
ディーラーメカニックがサポート
チーム発足当初より、ディーラーメカニックがチームメカニックとして参加し、ともに世界に挑んでいる。スバルも約25年前にWRCのグループNに参戦し始めたときにディーラーメカニックを採用し、世界のモータースポーツの場でメーカーとディーラーの人づくりをしていたが、ほぼ同じ時代から始め、今も継続している。今まで福井トヨタ、東京トヨペットから派遣し、現在は福岡トヨタから毎年2名が参加している。今回は2年目となる小田裕介さんと初参加となる山田健太さん。そして2013年よりトヨタからトヨタ車体に出向し、このチームに参加するスタッフもいる。横田猛さん、内裕二さんと2年ずつ参加し、今回から西村勇樹さんにバトンタッチした。横田さん、内さんはすでにトヨタに戻り、ダカールラリーの現場での体験をもとに「もっといいクルマ作り」に挑んでいる。チームメカニックにはダカールラリーとランドクルーザーを知り尽くすベテランのフランス人メカニックたちがいて、彼らと力を合わせて選手とマシンをサポートしている。砂や泥に悩まされながら整備作業をし、テントで寝泊まりをし、アシスタントカーに乗ってビバークを移動する過酷な毎日だが、選手たちに思いっきり走ってもらい、ランドクルーザーを確実にゴールさせるために集中しているので、辛いどころか、とても楽しんでいる。日本ではできない体験を日々重ねながら強くなっている。
- アシスタントカミオンがあればそこがサービスエリアになる
- 2年目となる福岡トヨタの小田裕介さんは、フランス人のベテランメカニックにも信頼されていて、自分でどんどん作業をこなしていく
- 初参加となる山田健太さんは、ふだん環境の整ったディーラーとは違うアウトドアでの作業にも、冷静に対処しながら作業に集中する
- トヨタからトヨタ車体に出向してTLCに参加する西村勇樹さん。この体験がのちにトヨタに戻ってから、「もっといいクルマ作り」に活かされる
- 今年のダカールラリーは雨が多く、ビバークがこのように田んぼのようになることも。それでもメカニックは作業をする
- 左端のチーフメカニック フィリップ・シャロワさんを中心にフランス人メカニックと日本人メカニックが力を合わせ、ランドクルーザーを部門優勝へ導く
バイオディーゼル燃料で走る
TLCは2007年から段階的にバイオディーゼル燃料でラリーマシンを走らせている。バイオディーゼル燃料とは、家庭や飲食店で不用になった廃食用油など植物性油を原料に作られた軽油の代替燃料。ダカールラリーでは、環境に配慮した代替エネルギーを使用したクルマの部門(NRJ部門)があり、TLCは2011年から7年連続で優勝している。総走行距離を軽油で走行する場合に比べ、CO2排出量を約60%軽減することが可能とのことで、ディーゼルターボエンジンで挑戦するTLCにとって、バイオディーゼル燃料で参戦することは、循環型社会、持続可能なモータースポーツへのひとつの方法として注目されている。そして原料となる廃食用油は、TLCの活動に賛同している近隣の小中学校やスポンサー企業から提供してもらっている。近隣の学校には、トークショーや校庭でラリーマシンのデモ走行をしたりして交流を深めている。廃食用油を持ち込むことで、一緒にランドクルーザーを走らせている気持ちになれて、応援する人々にとっても嬉しい。もちろんトヨタ車体の社員も持ち込んでくれ、全社一丸となって応援する。また、デンソーが取り組む微細藻類にCO2を吸収させて生産した藻油(藻の培養池は森林の10倍のCO2を吸収する能力がある)も加え、出来上がったバイオディーゼル燃料でダカールラリーに挑んでいる。
このバイオディーゼル燃料での参戦のきっかけを作ったのは、2007年にドライバーとして参戦した山田周生さん。山田さんは、その後バイオディーゼル燃料の製造設備をランドクルーザー100のラゲッジスペースに搭載し、訪問先で廃食用油を精製しながら、地球を一周した。ディーゼルエンジンとバイオディーゼル燃料の可能性を世界に表現した。
- バイオディーゼル燃料作りに廃食用油を提供してくださった学校名や企業名がドラム缶に貼られている
- 通常は街中のガソリンスタンドで給油するチームがほとんどだが、TLCはビバークでドラム缶からバイオディーゼル燃料を給油する
こうしてTLCは、ランドクルーザーの信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを証明しながら市販車部門の頂点を目指し、ランドクルーザーファンを増やし、もっといいクルマづくりのための人材育成にも挑戦している。
- チームが一丸となって市販車部門4連覇をワンツーフィニッシュで飾った
(写真:トヨタ車体、寺田昌弘)
(テキスト:寺田昌弘)
[ガズー編集部]
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