頭文字Dの聖地で「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ in 渋川」に参戦!

今シーズンのTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ(以下、TGRラリーチャレンジ)の東シリーズに、ネッツ東京レーシングから塚本奈々美選手とコンビを組んでTOYOTA 86で参戦しています。初戦はクラス7位だったので、2戦目となる渋川では、完走はもちろん少しでも順位を上げて行こうと、練習走行をして準備をしてきました。参加台数は受付枠いっぱいの90台!私たちの出るC-3(TOYOTA 86のみ)クラスは15台ととても人気のあるクラスです。SS(競技区間)は約3km、約5kmそしてギャラリーステージの500mをそれぞれ2本走るラリーで、細いターマック(舗装路)と一部下りを含むスリリングなレイアウト。初戦でもターマックは上位に近いタイムで走れていたので、期待しながら渋川へ向かいました。

モータースポーツで町を盛り上げる

参加台数90台と大盛況のTGRラリーチャレンジ
参加台数90台と大盛況のTGRラリーチャレンジ

ラリー前日に懇親会が開催され、そのなかで、群馬から世界のラリーを駆け抜け、現在も全日本ラリー選手権でトップ争いをしている新井敏弘選手と、奈々美さんが「日本のまんなか・しぶかわ観光大使」に就任しました。塚本選手は、渋川市が舞台となった映画「頭文字D」のアンバサダーを務めていたり、頭文字Dに登場する真子が、実在したら奈々美さんだろうと「リアル真子」としてファンの間で人気があります。こうしてモータースポーツに挑むドライバーが、地域の活性化やプロモーションの一翼を担うのが、とてもうれしいです。

髙木勉・渋川市長から観光大使の委嘱状をいただいた新井選手と奈々美さん
髙木勉・渋川市長から観光大使の委嘱状をいただいた新井選手と奈々美さん

奈々美さんはさらに、頭文字Dのコミックに出てくる「おぎのや横川店」に佇む真子のシーンを、釜めしの「真子バージョン」としてプロデュースしました。群馬といえば峠の釜めし、おぎのやが有名ですが、駅弁から始まった釜めしも、クルマでドライブすることが流行ってきた1962年に「峠の釜めし・ドライブイン」が誕生して、モータリゼーションの発展とともにさらに普及したクルマと縁あるお弁当です。このドライブインが現在の横川店であることがなんともすごい縁です。峠の釜めし60周年の今年、商品の顔とも言うべき、包装紙を奈々美さんがプロデュースして、頭文字Dの真子バージョンが登場しました。ただ釜めしが食べたい方にもクルマが描かれた包装紙を見ていただいて、クルマへの親しみが上がったらいいですね。

  • これが真子バージョンの釜めし。中身は同じですが、包装紙にクルマがあるのがうれしい
    これが真子バージョンの釜めし。中身は同じですが、包装紙にクルマがあるのがうれしい
  • 真子バージョンの釜めしを奈々美さんからモリゾウ選手へプレゼントさせていただきました
    真子バージョンの釜めしを奈々美さんからモリゾウ選手へプレゼントさせていただきました

前日にはもうひとつ、JAF(日本自動車連盟)が「ラリー競技における救急活動訓練」を実施してくれました。万一に備え、心肺蘇生法の指導や心臓マッサージの実技練習をしました。確かにラリーが開催されるエリアではAEDなど先端機器はないので、人力で命をつなぐ方法は知っておきたいです。さらに競技車から負傷した選手を車外に出す方法も教えていただきました。首を固定し、腕の通し方ひとつで乗員を車外に楽に出せることがわかりました。

  • ダミーを使って心臓マッサージの実践講習
    ダミーを使って心臓マッサージの実践講習
  • 動けないドライバーを救出する練習もしました
    動けないドライバーを救出する練習もしました

SS1から波乱が。それでも丁寧に走り初入賞へ

ラリーの朝は早い。6時からレッキの受付をしてSSをゆっくり走りながらペースノートを作ります。コーナーの角度や長さ、ブラインドで見えないコーナーの先にどれくらい直線が続くのか、登りなのか下りなのか、路面の状態(砂や苔、落ち葉や突起など)をノートに書きこみ、SS走行時にコ・ドライバーの私が読み上げながら奈々美さんのドライビングをサポートしていきます。ただレッキは1回だけなので、どれだけ正確に書き残せたかは、正直1本目を走ってみないとわかりません。ここは経験がものを言います。そこでレッキでもインカーカメラで撮影し、サービスに戻ってから短い時間のなか、ペースノートと照らし合わせてみます。

  • レッキで撮ったインカーカメラを見ながら走りをイメージする奈々美さん
    レッキで撮ったインカーカメラを見ながら走りをイメージする奈々美さん
  • 走るだけでなく、自ら様々なメディアへラリーの楽しさを伝えるべく、いくつもの撮影に対応しています
    走るだけでなく、自ら様々なメディアへラリーの楽しさを伝えるべく、いくつもの撮影に対応しています

渋川のスタートもたくさんの観客が集まってくれました。手を振りながらスタートし、SS1へ向かいます。最初は2.962km。さて集中して行こうとスタートして300mも行かないうちに前走車が3台停まっていました。先頭車のコ・ドライバーは「OK」サインを持っていたので問題ないのですが、クルマのエンジンがかけられず、クルマ1台分の車幅しかない箇所だったので抜くこともできません。このままだと時間だけが過ぎ、私たちのクラスだけでなく、後続のクラス約60台のSSがキャンセルになってしまいます。こうなったら押すしかないと、ちょうど30m先はクルマ2台分の道幅があるので、そこまで押して動かしました。私たちは後から来たオフィシャルの指示に従い、そのままSS1のゴールまでゆっくり走りました。

序盤からびっくりしましたが、これもラリーならでは。気を取り直して今度は4.982kmのSS2へ。ここはクラス7番手でしたが、続く0.468kmのギャラリーステージではクラス3番手と上位に入ってきました。後半は同じSSをもう一度走るのですが、SS4(SS1だったコース)はSS1がアタックできていないので、慎重に走り、続くSS5でクラス3位、しかもSS2で走った時より7秒タイム短縮に成功しました。どうしたらドライバーがより安心して速く走れるか、コ・ドライバーとして少しずつですが、わかってきました。今回はクラス5位となんとか入賞しました。奈々美さんが着実に速くなってきているのが助手席に乗っていてわかります。スポーツである以上、順位は大切ですが、こうしてうまくなっているのを体感できるのがとても楽しいです。次戦は青森。グラベルのSSなので、奈々美さんはオフロードでのTOYOTA 86の走らせ方を学ぶべく、全日本ラリー選手権で活躍する奴田原文雄選手が主催するNUTAHARAラリースクールで腕を磨いてきます。次戦はもっと気持ちよく、もっと上位に行けるよう頑張りますので応援よろしくお願いします。

  • ある意味群馬を代表するカラーリングのマシンだから、沿道のかたからの声援も大きい
    ある意味群馬を代表するカラーリングのマシンだから、沿道のかたからの声援も大きい
  • 右は側溝、左は壁と狭いSSを慎重に走る
    右は側溝、左は壁と狭いSSを慎重に走る
  • 公園内のギャラリーステージ。約500mの一発勝負
    公園内のギャラリーステージ。約500mの一発勝負
  • 5位入賞できました。次回は数十cm高いところに上がりたいです
    5位入賞できました。次回は数十cm高いところに上がりたいです

TGRラリーチャレンジは見どころいっぱい

前回の長野県・八ヶ岳茅野の時もそうですが、ここ群馬県・渋川でもサービスが設定された公園内では、車両展示や地元料理の屋台、イベントなどがあり、公園内を走るSSを観戦する以外でも楽しめます。お近くでTGRラリーチャレンジが開催される時は、ぜひ気軽に遊びに来てください。

  • 映画「OVER DRIVE」に登場したYARIS
    映画「OVER DRIVE」に登場したYARIS
  • WRCに参戦するYARIS
    WRCに参戦するYARIS
  • 釜めしの画にもなっていたシルエイティ
    釜めしの画にもなっていたシルエイティ
  • 群馬から世界に向け主に4WD用アフターパーツを展開するブランド「JAOS」は今夏アジアを走るクロスカントリーラリーに参戦するトヨタ・ハイラックスを展示
    群馬から世界に向け主に4WD用アフターパーツを展開するブランド「JAOS」は今夏アジアを走るクロスカントリーラリーに参戦するトヨタ・ハイラックスを展示

(写真:越智瑞穂・真壁強・栗山尚広・寺田昌弘・ネッツ東京レーシング / テキスト:寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


元ラリードライバー寺田昌弘コラム

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