TGRラリーチャレンジでついに初クラス優勝!雨の渋川参戦記
今シーズン初参戦となる<TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ(TGRRC)>。
「ネッツ東京レーシング」から、トヨタ86でC-3クラスに初参戦した塚本奈々美/寺田昌弘 組は、昨シーズン、シリーズ5位。
2年目を迎え、今春から東京のトヨタ直営販売店が一つとなり、トヨタモビリティ東京の「GR Tokyo Racing」として参戦します。ラリーは4月にすでに<TRD Rally CUP by JBL>に参戦し、10kmを超える長めのSSを経験しクラス2位入賞しました。
今回は最長でも約5kmなので気が楽な分、ひとつのミスを挽回することが難しいラリー。2年目となるTGRRCに、奈々美さんと私がどこまで成長しているか、第5戦渋川に挑みます。
梅雨時のラリーは“波乱”がたくさん
第5戦渋川のエントリーは84台。私たちはシートを交換し、ロールバー、6点式シートベルトを装着し、サスペンションをTRDに換装した、ほぼノーマルのトヨタ86で競われるC-3クラスにエントリー。
梅雨に入り、群馬県渋川周辺も連日雨で、だいぶ山々も雨水を溜めている感じです。6:00からレキ受付をし、さっそくレキを開始すると、今回SSはすべてターマック(舗装路)ですがウェットで、一部、水溜まりがあったりと滑りやすい路面です。
- 6:00からレキを受け付け、まだ暗いなかSSに向け、リエゾンを走る
- 今回は84台の参加
SS1は、2.962kmで約50の比較的タイトなターンと、登り降りを数度繰り返すテクニカルなコース。長い直線がないので、リズムよく駆け抜けていくことが重要です。序盤はタイヤと路面の接地感を、確認しながら走ります。
一つめの下りはペースを落としていくと、三角表示板が見え、その前にコースいっぱいの水溜まりと、停止している赤いマシンが出現しました。レキのときは気にするほどではなかった水たまりですが、本番では山から一気に滲み出ていました。
選手が“OK”ページを提示していたので、速度を落として停止しているマシンを追い越し、再びアタック。すると今度はリヤバンパーがコースの半分をふさいでいました。「あのトリコロールカラーはADVICSチームのだね」なんて言いながら避けて、ゴールを目指します。
序盤から波乱の幕開けとなりましたが、0.8秒の僅差でクラストップでゴール!
- 雨の中、たくさんの観客の声援のなかスタート!
- 序盤は雨。奈々美さんは滑りやすい路面を丁寧にドライビング
- レキ時にはなかった水たまり。気づくのが遅れ、飛び込んで曲がり切れずここでリタイヤしたマシンも
SS2は、4.982kmで約70の車速を上げられる緩やかなターンと、ブレーキのタイミングが重要な鋭角なターンなどバラエティに富んだコース。序盤の登りは、コーナーで車速が落ち過ぎないように、奈々美さんが丁寧にドライブしていきます。
途中左右にリズミカルにターンするエリアでは、タイミングよく次のターンをコールして、楽しくなるほど息ぴったりで越えていきます。後半は、緩やかで車速が上がるエリアで、コーナーの角度はもちろん、出口から次のコーナーまでの距離を的確に伝え、車速を落とさないように進みます。
ここでは、11.3秒の差をつけてクラストップ、しかも総合でも4位でゴールしました!
- 雨はやみ、視界はよくなるが、路面はウェット~ハーフウェットとバラエティに富んでいてドライバーのセンスが問われる
ギャラリーステージで華麗なドリフトを披露
SS3は、渋川市総合公園内で504mと短く、たくさんのギャラリーのなか8の字ターンをうまく決めれば、速くゴールできるレイアウト。スタートから全開で坂を駆け上がり、鋭角な右ターンが待ち構えているのですが、そこで奈々美さんは、サイドブレーキできっかけを作りマシンの向きを変え、滑りながらコーナーに進入していきます。
これにはギャラリーはもちろん、オフィシャルカメラマンも、私たちのマシンだけあり得ない角度でコーナーに飛び込んできて、ギャラリーも盛り上がっていました!と聞きました。
奈々美さんは今シーズン、GR SUPRAの参戦で、さらに盛り上がっている「D1GP」のプロモーションディレクターに就任し、前日も筑波で、D1の走りを目の当たりにしてきたので、きっと気分がたかぶっていたんだと思います。私はその走りを助手席で堪能できたので、かなり贅沢なSSでした。
魅せる走りをしながら0.2秒差で、ここもクラストップを獲れました!
- ギャラリーステージにドリフトしながら飛び込んでいく
- 水たまりもお構いなし。水しぶきを上げて疾走する
2シーズン目で初のクラス優勝を達成!
サービスに戻り、「GR Garage東京三鷹」のメカニックとともに「PIT ORC」の若手メカニックもサービスに加わり、各部をチェックしてもらって後半に挑みます。全日本ラリーのトップカテゴリーに参戦する新井敏弘選手や奴田原文雄選手の講習を受講し、ペースノートの作り方もよくなってきたので、レキが1回しかないTGRRCでもある程度の精度で仕上げることができました。
後半は、前半走ったSSを再度走り、すでに全体で6台がリタイアするスリリングな展開ですが、SS4、SS5も前半よりタイムを詰め、クラストップでゴールしました!最後のギャラリーステージも、お客様に喜んでいただこうと、ドリフトしながらターンを決める奈々美さん。
しかし、前半より路面が乾いていて、グリップが戻って、360度ターンで少しタイムロスして、ここだけクラス2位に。そんな愛嬌もありながら無事完走し、C-3クラスで2位に33.8秒差をつけ初優勝しました!しかも総合で84台中8位、仮に改造範囲の広いエキスパートクラスで換算しても、クラス3位と上出来でした。
昨シーズンから、一緒に走ってきた参加者の皆さんにたくさん祝福をしていただき、やはりラリーは最高のモータースポーツだと、クラス優勝して、あたらめて感じました。次戦は7月28日、北海道・石狩に挑みます。これからも応援よろしくお願いします!
- 2シーズン目にしてやっと念願のクラス優勝を獲得!
- 以前、一緒にアジアクロスカントリーラリーに参戦した哀川翔さんと。翔さんは今回Vitz1,500ccのC-2クラスに参戦
(テキスト:寺田昌弘/写真:栗山尚広・真壁 強・越智瑞穂・藤田充宏)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
あわせて読みたい「ラリー」の記事
こちらもオススメ「86」の記事
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-