TGRラリーチャレンジで北海道へ遠征。石狩は熱かった
昨年まで本州で開催されていたTGRラリーチャレンジは東シリーズ、西シリーズと分かれ、それに北海道シリーズ、九州シリーズのカップ戦とありましたが、今シーズンは本州が統一され、その人気も相まって特に甲信越、中部、北陸地方開催に集中し、参加もままならないほど人気です。
そこで私たちGR TOKYO Racingは、地方モータースポーツを少しでも盛り上げる力になれればと、北海道で開催される第7戦石狩に参戦しました。前回の渋川でクラス優勝し、その勢いのまま北海道へ乗り込みました。
グラベルとターマックのミックスSSがキモ
JAF北海道ラリー選手権第4戦/JMRC北海道ラリーシリーズ第4戦「EZO SUMMER RALLY 2019」内へTGRラリーチャレンジ カップin石狩(以降TGRRC)を編入型式で開催されたラリーは41台のエントリー。SSは6本あり、路面はターマックだけでなく一部グラベルもあり、事前のメンテナンスはもちろん、今回は特にタイヤ選択も重要になってきます。
TGRRCの場合、DUNLOP、YOKOHAMAの公道走行可能なラリータイヤに制限され、だいたいターマック中心(硬質ダートまでカバー)とグラベル用と2タイプに絞られます。そこで北海道のラリー仲間や過去TGRRCで上位入賞した選手、全日本ラリー参戦者など経験豊富な方々に情報をいただきながら、新品のターマック中心のタイヤで行くことを想定し、万一雨でグラベルの状況が悪いことも考え、約五分山のグラベル用タイヤも準備して当日決めることにしました。
- 早朝のレキでペースノートを作りながらタイヤの感覚をチェックする
- フラットダートで92-Rで十分カバーする路面だと判断
- ペースノートの確認をしながら今回の戦略を立てる
北海道とは思えないほど暑く、天気もよく、ただ2日目に降った雨でグラベルでも一部滑りやすいところもありましたが、適度に締まっていてグリップもするので、予定通りターマック中心のタイヤで行くことを決めました。
ただ地区戦に参戦するチームからは、「気合入っていますね」「グラベルタイヤで行かないんですね?」と声をかけられ、少し不安は残りながらもセレモニアルスタートを切りました。
- 道内はもちろん、本州からも多くのチームが参戦
- 多くの観客に見送られながらスタート
ターマックのSSはすべてクラストップを獲ったけど
SS1は3.77kmでスタートから1.36kmはターマック。ここは順調に走り、右に90°ターンしてグラベルへ。比較的硬質ダートで走りやすいのですが、ここは序盤なのでペースは落として奈々美さんには道と対話してもらいながら、2.41kmを徐々にペースを上げていきました。
私たちはクラス2番手スタートだったので、一番手スタートとは3秒遅れぐらいでこれならターマックのSSで十分巻き返せる自信がありました。
今回の石狩ではネットで暫定速報が確認できないため自分たちが何位で走っているかわかりません。そしてSS2はSS1とほぼ同じ3.63kmですべて得意のターマック。奈々美さんとも息が合い、ノーミスで一番手スタートより27.5秒速くゴールしました。
この状態であれば作戦通り上位で行けると思っていました。サービス近くの自動車教習所内で行われたSS3は、教習コースを500m走るギャラリーステージ。
会場内ではTOYOTA GAZOO Racing PARKイベントも併催していたので、たくさんの観客が坂道発進の丘の上からラリーカーの走りを観て楽しんでいました。
ここはペースノートもいらない、覚えられる距離なので、コーナリング中に次のコーナーの方角を手で示して走ります。鋭角ターンもサイドブレーキを使ってうまくターンし、エキスパートクラスと遜色ないタイムで走り切りました。
- SS1ターマックからグラベルへ進入
焦りは禁物。グラベルで落とし穴ふたつ
作戦通りに前半3つのSSを走り切りサービスに戻って順位を確認すると、クラス3位でした。
それぞれのタイムをチェックするとターマックの2つのSSはトップなのですが、グラベルのあるSSで想定以上にタイム差があり、クラストップとは13.9秒、2位とは3秒。これを後半で巻き返すにはグラベルのあるSSでアタックしなければなりません。
しかしクラストップのマシンのタイヤを見るとグラベルタイヤでした。それでいてターマックで大差がつかない。それでもラリーは最後まで何が起こるかわからないので、あきらめず再びグラベルもあるSSへ。
スタートからターマックは前回よりいいペースで走り、グラベルに切り替わるところを勢いよく入っていったら、奈々美さんが思っていたよりリヤを滑らせてしまいスピン。コースアウトしないようにうまく停めてくれ、気を取り直してグラベルをアタックしていきます。
- リエゾンは、のどかな雰囲気の石狩を走る
- ターマックからグラベルに切り替わるところで、思っていたより路面が乾いて滑りやすく、勢いよすぎてスピン
するとこのとき焦ってしまい、今度は私がペースノートをロストしてしまいました。後半立て直しましたが、奈々美さんに負担をかけてしまいました。しかしタイムを見ると、前回より0.6秒しか遅れていませんでした。
ふたりのミスをふたりで取り返そうと必死にやってきたのがこうしてタイムでわかるので、悔しいけど少しほっとしました。次のSSは前回よりさらに4秒短縮し、最終ギャラリーステージもともにクラストップでゴール。
ラリーはふたりで挑むからおもしろい
精一杯挑み、6つのSSのうち4つはクラストップ、SS5ではエキスパートクラスより速いタイムを出しましたが、やはりグラベルで大きく差がついてしまい、取り返すまでに至りませんでした。
今回はクラス3位。振り返ればタイヤ選択も重要だと聞いていたので、考え抜いたのですが、残念ながら私たちにはグラベルタイヤのほうがよかったのかもしれません。
しかし精一杯考え、攻めてうまくいかなくても、きっとこれが次回、もっと速く走るために必要な経験だと思います。もっといい走らせ方はないか、車内で意見を交わし、協力しあいゴールを目指す。それをメカニック、チームが支えてくれる。その思いを胸に、さらに上位を目指す。
今回は悔しかったですが、新たな気づきがいくつもあり、まだ私たちが成長できる伸びしろがあることにも気づき、ますますラリーが楽しくなってきました。
次回は秋田で開催されるTRD RALLY CUP by JBL 2019に参戦予定です。
- 今回はクラス3位。次回はもっと上位を目指す
(写真:小隅 博範・栗山尚広・真壁強・出羽猛利/ テキスト:寺田昌弘)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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