グラベルとギャップに翻弄された、秋田のTRD Rally Cup by JBL

東北もラリーが熱い!10月19・20日に秋田県大館市で<第39回どんぐりハチ公ラリー>に併催されるスタイルで<TRD Rally Cup by JBL 2019 Rd5>が開催されました。全国各地でラリーを運営してくれる各地域のJAF登録クラブ地域協議会(JMRC)が一堂に会し、総エントリー台数52台がグラベル中心のラリーに挑みました。

私の所属するトヨタモビリティ東京<GR Tokyo Racing>から塚本奈々美さんとコンビでこのラリーに参戦。ターマックは2シーズン目でいい位置につけられるようになってきましたが、グラベルはまだまだ経験が浅い。しかし、挑まなければ上達もないと実戦で道に鍛えてもらいます。

セレモニアルスタートは雨。波乱の幕開け

19日は雨。10月は各地で被害を受けられた方々の一日も早い回復を祈りながら、この日も雨量が少ないことを祈りました。今回のSSは、山の登りで1本、下りで1本あり、それを2回走ったら、今度は逆走でもう2回、計8本あります。

レキでSSに入ってみると、晴れていれば硬めのグラベル中心で楽しそうなのですが、雨でぬかるみ、2周目のレキではすでに深い轍ができ始めていたので、本番では、さらに深く掘れたレールができ、このレールの使い方が大きくタイムを左右する感じでした。夕方、さらに雨が強い中、セレモニアルスタートをし、早く雨がやまないかなと空を見上げ、明日を待ちます。

レキは雨。秋田の雰囲気を楽しみながら走る
レキは雨。秋田の雰囲気を楽しみながら走る
セレモニアルスタートも雨。波乱の幕開け
セレモニアルスタートも雨。波乱の幕開け

本番は晴れ。しかし道は険しい

爽やかな秋風吹く中、ラリーはスタート。最初のSS1はオールグラベルの新沢上り(2.149km)。距離は短く、コーナーも約30と少なめですが、きついターンが多く、いかに失速せず、スムーズに立ち上がっていくかが大事なSSです。まずは安全に行ってみると、クラス平均より40秒近く遅れてしまいました。

続くSS2中山下り(6.906km)は、ターマックでスタートし、途中からグラベルになり、小さなターンを繰り返しながら、さらにターマック、グラベルと目まぐるしく路面が切り替わり、さすがに純正ショックアブソーバーでは、すぐフルバンプしてしまい、うまく車速をのせていくことができません。

ここで、クラストップに100秒も遅れてしまい万事休す。<TRD Rally Cup by JBL>は、<TGRラリーチャレンジ>からステップアップしたい選手や、地方ラリーの活性化に貢献すべく開催されていますが、地区戦と同じ難易度の高いSSを走るだけにエントラントのレベルもかなり高いです。今回もみなさんかなりレベルが高い選手ばかりです。

当日は晴れて気分も高まる
当日は晴れて気分も高まる
サービスのあるニプロハチ公ドームからスタート
サービスのあるニプロハチ公ドームからスタート
序盤はグラベルも走りやすい
序盤はグラベルも走りやすい
前日降った雨で水溜まりがいくつもある
前日降った雨で水溜まりがいくつもある
フラットで走りやすいが、所々滑りやすい路面がある
フラットで走りやすいが、所々滑りやすい路面がある
マッドと化したグラベルを攻める
マッドと化したグラベルを攻める

ラリーは目の前にライバルがいない分、いかに自分と向き合うかが問われるモータースポーツでもあります。今回のラリーでは上位入賞が見込めないため、完走することはもちろん、同じSSを2度走るときに毎回タイムアップをすることを目標にしました。

SS2を終えたときに、すでに7台中2台がリタイヤするほど、気が抜けないSSが続くので、慎重にアタックしていきます。走れば走るほど、グラベルの轍は深くなり、グラベルからターマックに変わるところでは泥が増え、より滑りやすくなり、コンディションは悪くなるいっぽう。

そのなかSS1→SS3では13秒、SS2→SS4は12秒、SS5→SS7は21秒、SS6→SS8は3秒と、後半、他チームがタイムを落とすなか、すべてタイムを短縮することに成功しました。これには満足しましたが、同時に1本目からもう少しペースアップしてSSを走らなければ上位を狙えないということもわかりました。

日向は乾いてきたが、日陰は滑りやすい
日向は乾いてきたが、日陰は滑りやすい
午後になると轍が深くなってきた
午後になると轍が深くなってきた
ここを『86』で行くのかと思うほど狭い箇所も
ここを『86』で行くのかと思うほど狭い箇所も
まだ木々は青々とし、自分たちは高揚していますが、秋田の紅葉はこれから
まだ木々は青々とし、自分たちは高揚していますが、秋田の紅葉はこれから
轍が深くなり、ボディアンダーは擦りっぱなし
轍が深くなり、ボディアンダーは擦りっぱなし
後半はだいぶ乗れてきましたが、やはりグラベルは奥が深い
後半はだいぶ乗れてきましたが、やはりグラベルは奥が深い

奈々美さんとのコンビで、今シーズンは、TRD Rally Cup by JBL Rd.1でクラス2位、TGRラリーチャレンジ渋川では、C-3クラス優勝と、昨年より着実に速くなってきました。モータースポーツは挑むごとに、こうして順位が上がってくるのが楽しいです。

また、今シーズンは石狩や秋田などに遠征したら、奈々美さんが来ることを楽しみに待っていてくれる選手や観客、今回はリフューエル場所になっていたガソリンスタンドの店員さんまでいて、モータースポーツが、いろんな人をつなげてくれる素晴らしいものだと体感したシーズンでした。

外は爽やかな秋風で、車内は秋風立つことなく(笑)仲よく奈々美さんとの今シーズンはこれで終了しました。応援ありがとうございました!

今シーズンも応援ありがとうございました!
今シーズンも応援ありがとうございました!

(写真:栗山尚広・真壁強/ テキスト:寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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