レーシングドライバーがレクチャーしてくれるGR Garageのスキルアップ講習会・・・寺田昌弘連載コラム
マツダ・ロードスターやGRスープラ、GRヤリスそしてGR86、さらに日産フェアレディZが発表され、純粋に走りを楽しめるスポーツカーが増えてきていますね。クルマというかマシン、対話を楽しみながら走る悦びが、回転数とともに昂るエモーショナルなモビリティがファンを増やしています。
このようなマシンを愛車にしたら、やはりその性能を試したくなるもの。そのため、サーキットでの走行会も各地で開催されています。もっと運転をうまくなった人達は、「TOYOTA GAZOO Racing Driving experience」や「POTENZA CIRCUIT MEEETING!」など、レーシングドライバーから走らせ方を教えてもらいながらサーキット走行を堪能できるイベントに参加しています。また世界で活躍する澤圭太選手が主宰するワンスマのように、現役レーシングドライバーたちがレッスンをしてくれるイベントもあります。
この盛り上がりのなか、宮城トヨタのGR Garage MTG日の出町では、ドライビングの基本をサーキットで学べる「ドライビング スキルアップ講習会」を初開催。SUPER GTやスーパー耐久に参戦するレーシングドライバーが講師となり、そのひとりとして私も参加させていただけることとなり、スポーツランドSUGO西コースに行ってきました。
講師は、SUPER GTやスーパー耐久で活躍するドライバー
会場となるスポーツランドSUGO西コースは、全日本カート選手権も開催されるサーキットで、アイルトン・セナが少年時代にカートで走ったことでも知られています。その後カート出身で現在SUPER GTに参戦し、スーパーフォーミュラやスーパー耐久でROOKIE Racingの監督を務める片岡龍也さんが監修し、よりストレートが長くカートだけでなくショートサーキットとしても活用しやすいレイアウトになりました。
今回のプログラムは、ドライビングポジションから目線、クリッピングポイントの取り方などドライビング理論を座学で学び、実技は1つのコーナーとS字コーナーをそれぞれ反復練習します。
座学のインストラクターは、フォーミュラトヨタのチャンピオンでトヨタドライビングスクールや小林可夢偉選手、中嶋一貴選手を輩出した、FTRS(フォーミュラトヨタレーシングスクール)の講師を務めていた藤田孝博さん。
実技のインストラクターは、SUPER GTや86/BRZ Raceに参戦する松井孝充選手、スーパー耐久や86/BRZ Raceに参戦する松井宏太選手の兄弟コンビが担当。
もうひとつの実技のコーナー担当は坂本祐也選手と私。坂本選手は、アイルトン・セナやジェンソン・バトン、ジャック・ヴィルヌーヴなどF1シリーズチャンピオンを獲得したドライバーを輩出したジム・ラッセル・レーシングスクールでスカラシップを獲得し、フォーミュラトヨタやSUPER GTに参戦。
現在、スーパー耐久やブランパンGTワールドチャレンジ・アジアに参戦するレーシングドライバー。フェラーリやポルシェ、アウディ、VWと海外メーカーのマシンにも精通し、インストラクターを務めています。
アクセル、ブレーキ、ステアリングのリズムを体得する
参加者はまずゆっくり完熟走行したあと、坂本選手の「いいドライビング」と「悪いドライビング」のデモンストレーションを観ます。ポイントは、コーナー進入時にしっかりブレーキングでフロント荷重にして、クリッピングポイントを奥に取ったら、アクセルを丁寧に踏んでコースを広く使って立ち上がることです。
参加者が1台ずつトライしていきます。コーナー進入時にスピードを落としきれずアンダーステアが出て立ち上がって行けなかったり、クリッピングポイントが手前になり、ステアリングをこじってしまってなかなか加速態勢が取れなかったりとひとつのコーナーだけで自分のドライビングのクセが出てきます。
坂本選手がひとりひとりに対してトランシーバーで解説していきます。3回ほどトライして徐々に上達してきたところで、今度は坂本選手がドライブするクルマに同乗してプロの走りを体感します。その速度域の違いに参加者はみな驚くとともにスムーズな走りで乗り心地がよいことに感心していました。
その後、参加者がトライしたら、ドライビングにメリハリがつき、一気に上達していました。
松井選手が担当するS字コーナーでは、前後だけでなく左右への荷重移動をスムーズにしながら2つのコーナーをトータルで速く駆け抜けるレッスンが行われました。1つ目のコーナーに集中し過ぎて2つ目のコーナーがうまく曲がれず加速できなかった参加者もみるみる上達して、愛車を操る感覚を徐々に掴んでいきました。
愛車でのドライビングスキルが上達したところで、GRスープラ、GRヤリス、GR86の試乗会を楽しみます。今回の参加車はトヨタ86が多く、GR86を試乗したかたは、こんなに剛性が上がっていてそれでいて軽快に走るのに驚いていました。また、3リッターのGRスープラを楽しみながら、GRの目指すドライビングプレジャーを体感して大満足の様子です。
さらにレーシングドライバーが先導で、愛車で西コースをすべて走ります。途中で入れ替えながら先導車のすぐ後ろを追走し、ライン取りを勉強しながら速度を上げて走ります。これは参加者にも特に好評で、午前中に教えてもらったことをすぐ活かせて実感が湧いて笑顔で愛車から降りてきます。
カスタマイズの相談、最後はカート対決
うまく走れるようになってくると、気になってくるのはタイヤの性能。今回は、YOKOHAMA、ミシュラン、GOODYEARが出展し、説明員が愛車に合わせたタイヤの相談に乗ってくれました。またTRUSTはターボキットなどスープアップやGReddy製品を、阿部商会はBILSTEINなど海外パーツの紹介をしてくれていました。
最後は、参加者とレーシングドライバー、宮城トヨタグループ社員も加わり、レンタルカート対決を実施しました。参加者は6分間のタイムアタックしながらカートに慣れてもらい、タイム順にバランスを取った編成とし、それぞれのチームにレーシングドライバーがひとりずつ加わりました。
ちなみに私と松井宏太選手の体重差は約25kg。これだけサクセスウエイトを積んでいる私が加わってしまったチームには申し訳なく。それでも指名してくださる参加者に感謝です。2日目は参加者が走ったところで雨が降り始め残念ながら途中で中止になりましたが、それでもカートで走れて大満足の様子でした。
1日中、走って学んでそして走ってと、存分に走った「ドライビング スキルアップ講習会」。参加者のみなさんは自分のドライビングスキルがアップした喜びはもちろん、愛車と対話しながら走り、少しずつうまく走れるようになると、愛車の走行性能の高さに驚いていました。講習会が終了し、参加者が愛車を笑顔で見つめながら乗り込む光景をみて、本当に有意義な講習会だったと確信しました。
文・写真:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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