MIRAIのオーナーズミーティングに40台が集結、水素談義に花が咲きました・・・寺田昌弘連載コラム

ミライに乗り始めてすぐ、SNSでオーナー同士の情報交流の場がないかと探していたら、Facebookに「TOYOTA MIRAI CLUB」をみつけました。

水素ステーション情報を画像つきで紹介していたり、初代ミライで1回の水素充填でカタログ値の650kmを大きく超える723km走行したメンバーがその走り方を教えてくれたりと、ミライオーナーにとってうれしいコミュニティです。

メンバーは500名程度ですが、アメリカやドイツにいるメンバーからも情報が寄せられ、さらにミライのことだけでなく、燃料電池や水素製造のことなど、水素利活用全般の情報交流をしています。「ミライが好き」というのはもちろん、環境意識の高いオーナーばかりでとても勉強になります。

昨年から、そろそろオーナーズミーティングをやってみたい、という声が多くなり、今年の1月3日にSNS内で「第1回 TOYOTA MIRAI オーナーズミーティング2023」のグループが立ち上がりました。ついに、5月21日、トヨタ博物館P2駐車場で開催が決定し、私も愛車のミライとともに参加してきました。

40台のミライがトヨタ博物館に集合!

  • 40台のミライが集まった

私は前日に、東京から約350km走って愛知入りしたのですが、水素ステーションに寄ったら、「明日のミーティングに参加されるんですか?」とスタッフさんに聞かれてびっくり。

「先ほど、久々に充填でお待ちいただくミライが何台も並ぶほど、他府県ナンバーのミライにお越しいただきまして。伺ったらミーティングがあると教えていただき…」とうれしそうにお話しされていました。

ミーティング当日、トヨタ博物館に行くと今まで見たことがないほどたくさんのミライが。東は栃木、西は兵庫から愛車のミライでやってきたオーナーたち。なかにはミライで来るのが日程的に難しいので、飛行機で鹿児島から駆けつけたオーナーもいます。

集まったミライは実に40台。ディーラーはもちろん、ひょっとしたら元町工場のヤードにもこれだけのミライはないのでは?なんて思うほどです。このミーティングを知り、トヨタから、ミライの開発責任者の清水竜太郎さんはじめ製品企画のスタッフや生産する元町工場のスタッフも応援に来てくれました。

カラーバリエーション豊富で個性的なミライも

  • ミライの花道を通りながら見比べる

ミライの開発責任者、清水さんによると、カラーバリエーションの販売比率としては、「プレシャスホワイトパール」が多いとのことですが、集まった現行型の2代目ミライは「プレシャスメタル」や「ダークブルーマイカ」など、さまざまなボディカラーが集まりました。

初代ミライに至っては、メーカーオプションが3カラー(ホワイトパールクリスタルシャイン、プレシャスシルバー、プレシャスブラックパール)に、標準カラーの3カラー(ダークレッドマイカメタリック、ダークブルーマイカ、ピュアブルーメタリック)の6カラーすべてが揃い、実車でのカラーチャートのようです。

みなさん、純正のまま乗られていますが、独創的なミライが2台ありました。1台目は助手席が回転し、乗降性を上げた福祉車両仕様で、トランクに車いすを乗せるクレーンを装着したミライです。

  • 助手席が回転し乗降性を上げた仕様

オーナーは、歩くのが困難になった奥様のために、これからも一緒にクルマに乗って旅したいと、どこか福祉車両にしてくれる会社がないかを探して実現しました。

もう1台は、ホイール&タイヤがツライチでエアサスを装備し、ベタベタのローダウンになる仕様。これは圧巻です。

  • オーナー同士のミライ談義。中央はソーラーカーで有名な東海大学学長補佐の木村博士

独創的なスタイリングの初代、高級車の2代目

  • 楽しい第1回オーナーズミーティングでした

水素と酸素から電気を生み、モーターで走るモビリティが2014年に誕生したことにも驚きましたが、その独創的なスタイリングに圧倒された初代ミライ。以前から親交があり、ミーティングには愛車の初代ミライでお越しいただいたデザイン担当者の伊熊裕和さんにあらためて伺ってみました。

まず、従来の燃料タンクより容積の大きな水素タンクがあるため、居住性のよさを確保すると、初代ミライの全高は、1,535mmと、現行カローラの1,435mmよりも100mm高くなってしまいます。

このままだと軽快感がでないため、ピラーやルーフをブラックにし、高さを目立たなくしています。ヘッドランプからサイドに続くブラックのストライプも同様ですが、これにより全長が長く見えることで、全高の比率が下がります。

フロントは、左右に大きな逆三角形のグリルが特徴的です。これはFCEVが空気を取り込んでFCスタックで酸素と水素を反応させて電気を生みだすことと同時に、FCスタックの冷却を表現しています。

FCスタックで電気を生んだ後、水が出るためボディサイドは水滴をイメージしたデザインとし、リヤはヨットのようなデザインになっています。あらためて自分の初代ミライを見てみると、FCEVをデザインで体現していることに納得し、より愛着が湧きました。

2代目ミライは、インテリア、エクステリアともに格段に高級感が増し、威風堂々たるスタイリングで、これだけ台数が集まると圧巻です。

FCシステムの向上とともに、FRとなったことで走りがより楽しくなりました。2021年、2代目ミライで、1回の水素充填で1,040.5kmを走破し、世界記録を樹立(当時)した思い出深い1台です。その時にご一緒した、ミライの開発メンバーである野正 斉さんともお会いできました。

水素1kgあたり200km走行できれば、トータルで1,000km以上走れる計算のなか、第2区間を走った私は、渋滞に苦しみながらも203km/kg、第3区間を走った野正さんは、降雨やアップダウンの多いルートを200km/kgと、なんとか目標を達成した同志です。

そして野正さんは、初代ミライ、2代目ミライ共に、開発スタッフとして関わり、ミライの開発の歴史を知る開発者です。

世界初の量産FCEVを生み出すことの根幹を乗り越え、育てながら、2代目でよりFCEVのプレゼンスを上げ、世界中で水素社会へ向けた旗印として活躍する姿をとても喜んでいました。

個人的な感想ですが、オーナーさんも初代は好奇心旺盛な方が多く、2代目はゆとりある紳士的な方が多いように感じ、オーナーの個性がミライに表れていたのが印象的でした。

ミーティングの途中、久しぶりにトヨタ博物館を見て回ったのですが、初代プリウスと初代ミライが並んで展示されている場所がありました。

1999年にこの初代プリウスとともに北米大陸を横断してから、エコ・コンシャスなモビリティに目覚めました。その後、クルーガーハイブリッド、ハリアーハイブリッドに乗り、今、こうして初代ミライに乗ってモビリティの電動化を楽しめています。

プリウスが時代を先駆け、切り拓いてきたようにミライがこれからの時代を切り拓いていくことを期待しています。

  • 初代ミライの向こうに見える初代プリウス

(写真/宇根元 裕・大谷 和央・寺田昌弘 文/寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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