ありがとう!プラド。こんにちは!新たなランドクルーザー250・・・寺田昌弘連載コラム
このコラムが公開される頃には、すでに新型ランドクルーザーが発表されているかもしれませんが、その前に思い出深いプラドについて書いておこうと思います。
70系から派生した70プラドは、コイルスプリングになって乗り心地がよくなったものの、三菱パジェロの誕生、RVブーム到来のなか、ユーザーが求めるスタイルからするといささか武骨なもの。そんなパジェロのライバルとして90プラドが誕生しました。
フロントサスペンションは独立懸架となり、よりオンロードでも操安性、快適性がアップし、パジェロと人気を二分するよきライバルとなりました。しかし昔からのランクルファンからは、ランクルはランクル、プラドはプラドと分ける人もいました。
私が90年代後半にパリダカールラリーにランクル70で参戦していた時、フランスから参戦するプライベーターの多くは、70プラドのミドルホイールベースに乗り、一緒にサハラ砂漠を乗り越えてきたし、トヨタフランスが総合優勝を目指して参戦した90プラドはびっくりするほど速かったです。
サハラ砂漠を越える相棒として、プラドは多くの挑戦者たちに選ばれるランドクルーザーシリーズの一員なのです。
日本ではプラドですが、フランスではランドクルーザーといえば150プラドのことで、ランクル300はラインナップされていません。
90プラドの年代は、パジェロのほかに日産サファリ(パトロール)、いすゞビッグホーンがあり、よりスポーティーなカテゴリーに日産テラノ、トヨタハイラックスサーフ、三菱チャレンジャーなどありましたが、その多くが生産終了となるなか、プラドは120系、150系と進化を続けてきました。
またアフリカや中東では、ガソリンエンジンのランドクルーザーは富裕層に人気で、ディーゼルエンジンの150プラドは、ワークホースとして利用されていることもあり、日本の150プラドとはステータスが異なります。
ランドクルーザーシリーズのなかで、ヘビーデューティーがランクル70、ステーションワゴンのDNA継承のランクル300、ライトデューティーが150プラドですが、150プラドの信頼性、耐久性、悪路走破性の高さは、今までもランドクルーザーの名に相応しい性能です。
ただモデルチェンジをするたびに、オフロードを走ることを躊躇してしまうほど装備やスタイルなどに高級感が増しました。私は70と150プラドを所有していますが、オフロードは70で遊びに行き、150プラドはロングドライブや河原などちょっとした未舗装路に行く程度です。
振り返ればプラドは70から派生したワゴンなので、本来泥だらけになっているのが似合うクルマです。だからここで「原点回帰」をしてほしいところです。
ティザー画像Toyota USA
新型ランドクルーザーの発表に近づくにつれ、ティザー画像が出始め、遠くで40と並んだシルエットが出たかと思えば、60とともにフロントマスクが写った画像が出て、これは新しいプラドなのか、はたまた70なのかとネット上で盛り上がっています。これはプラドのフルモデルチェンジだと思いますが、150プラドオーナーのひとりとして望むことがいくつかあります。
まず、90プラドから続くリヤドアの開閉を、横開きではなく“上下開き”になって欲しいです。横開きはドアの重みを感じるし、雨が降ったときにラゲッジスペースに雨が入ってしまいます。またオーナー自身は分かっているから良いのですが、友人が開けようとするとまずどうやって開けるか、悩むこともしばしば。
上下開きになればより軽く開けられるし、オーニング代わりにして雨をしのげたりするので上下開きを望んでいます。もし横開きにこだわるなら、いっそのこと観音開きにしていただきたいです。
次にエンジン。クリーンディーゼルエンジンの1GDエンジンはとても気に入っているので、引き続きディーゼルエンジンはこのままラインナップしてほしいのと、多くの車種でハイブリッドがラインナップされているので、そろそろランドクルーザーにも搭載してほしいです。
確かにランドクルーザーは、「生きて帰って来られるクルマ」として世界に知られていますが、プリウスでパリ・ダカール間やモンゴルの大自然の中を走った私としては、ハイブリッドシステムの信頼性、耐久性の高さは身をもって体験済みです。
あとはカスタマイズのしやすさ。私の70は、サスペンションを換装し、大径タイヤを履き、純正に比べ、よりマッシブなスタイルになっています。150プラドは、ほぼ同じサイズのタイヤとJAOSのホイール、TRDのマフラーに換装したぐらいで、仮に同じカラーの150プラドと駐車場で並んでいたら、自分の150プラドがどちらかすぐわかりません。
やはり用途に合わせ、自分らしさを愛車で表現できるように、カスタマイズしやすいベースカー的なものになって欲しいです。
そんなことを期待しながら、ワールドプレミアでどんなランドクルーザーが発表されるのか、今から楽しみです。
文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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