水素のチカラ、トヨタ・ミライからの給電で馬術、WRC、ロックフェスをサポート・・・寺田昌弘連載コラム
愛車のミライで給電活動していくうちに一緒にやってくれるミライオーナー仲間も増え、10月から11月にかけて東京、愛知、千葉と3つのイベントでミライからの給電活動をしてきました。
馬が好きな人、モータースポーツファン、ロックファンに向け、バックヤードから愛車とともにサポートしていたことを綴ります。
JRA馬事公苑で「人馬一体」を静かにサポート
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馬が駆ける光景は優美
20代の頃、友人に「ビール飲みながら馬を観よう」と誘ってもらい、大井競馬場のトゥインクルレースを観に行ったことがあります。初めて目の前を駆け抜ける馬を観てかっこいいと思ったし、地面を蹴る力が足元から伝わってきて、感動したのを今でも覚えています。
ここ数年では、パリ五輪の総合馬術団体で日本が初となる銅メダルを獲得したり、人馬一体となったスポーツにはいろんな種目があるんだなと思いながらも、なかなか競技を観る機会がなく、いつか観てみたいなと思っていました。
そんなとき乗馬をしている後輩が、海外では文化となっている馬術競技会を音楽や映像、アートなどのエンターテイメントと融合させた魅せるショースタイルにして日本で実施していて、キッチンカーなどに使う電力をミライから給電できないかということになり、2台のミライと給電器を会場であるJRA馬事公苑に持ち込みました。
「TOKYO EQUESTRIAN FESTIVAL」レイアウトを見ると、エクイテーション(障害馬術競技)を行うメインアリーナの目の前にキッチンカーやブースが出店されていて、エンジン発電機ではその音に馬も驚いてしまうかもしれないから、音の出ないミライから給電器を介して配電していくのは、馬にも観客にもやさしい。メインアリーナでは障害馬術競技が行われ、トップライダーが競い合うのはとても優雅で迫力がありました。
さらに興味を惹かれたのは、次の時代を担う25歳以下、18歳以下によるエクイテーションが行われていることです。
モータースポーツの世界でも若手育成プログラムを組むチームも出てきましたが、馬術競技も同様に練習するだけでも場所、時間、費用など若い選手たちには大きな負担がかかってしまいます。このイベントで彼らに馬術競技をする機会を作っていることがすばらしいと思います。
また最近のTVドラマ「日曜劇場 ザ・ロイヤルファミリー」を観ていると、競走馬はいろんな人の熱意で支えられているんだなと思い、引退競走馬(OTTB/off track thoroughbred)は血統を残したりしますが、セカンドキャリアのひとつとして馬術の舞台で再び脚光を浴びることをエキシビジョンとして行っていたのが印象的です。
観客の中にはライダー推しのかたも多いですが、往年の名馬推しのファンも多く駆けつけていて、馬と人がともに勇気をもらい、感動する未来が目の前にありました。その雰囲気をミライでサポートできたのはとても有意義でした。
今年もラリージャパンのSSで給電活動
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マーシャルとして参加
昨年に続き、今年もラリージャパンにおいて、3か所のSS(競技区間)スタートエリアでの給電サポートをしました。
ラリージャパンは、2023年からFIA環境認証プラグラムで三ツ星を獲得し、環境負荷を抑え持続可能な大会運営を目指し続けています。トヨタ自動車は、TGR-WRTのサービステントに燃料電池による発電で電力を供給し、2022年は全体の20%、2023年は50%、2024年は70%を賄っていて今年は90%にまで上げてきています。2026年は100%を目指すとのこと。私たちミライオーナーもその一環としてSSスタートエリアでミライからCO2を出さない発電で給電しています。
今回で2回目となるので認知度も上がり、SSマーシャルともコミュニケーションがとりやすく、現場でより円滑なサポートができるようになりました。前回は一部観戦エリアの出店ブースへの給電もさせていただいたのですが、岡崎SSSの観戦エリアでは定置型ディーゼル発電機になっていて今回はできなかったのが心残りです。
競技車が来ない時間帯に観客がミライについて質問しに来てくれ、ミライオーナー自ら実体験で説明するので理解度も高く、より関心を持っていただけたので、次回またミライから給電してCO2を出さないのはもちろん、静粛性の高い給電で、ラリーカーのエキゾーストノートやMC実況がより聴こえやすい環境づくりに貢献できたらと思います。
LUNA SEA、そして18組のロックバンドの楽器、PAに給電
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観客を圧倒するロックフェス。撮影/岡田裕介
LUNA SEA主催のロックフェス「LUNATIC FEST. 2025」(通称ルナフェス)が11月8日、9日の2日間、幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて開催されました。今回で3回目となり初開催から10周年を迎えます。
LUNA SEAは、昨年から今年にかけ35周年記念ツアーで全国を巡り、東京ドームでグランドフィナーレを迎えました。このときもミライで給電しましたが、愛車のミライが球場内グラウンドの上まで入ったのは思い出深かったです。
ルナフェスはLUNA SEA以外に18組のロックバンドが集結し、その全バンドがミライ、クラウンFCEVで発電した電気を楽器、PA(Public Address System)に関わる電源に使用します。
ツインステージで2日間あるので、今回はSUGIZOさんと私のミライのほかにミライオーナー仲間4台、THE CROWN千葉中央とトヨタ自動車からクラウンFCEV各1台と合計8台のトヨタFCEVでサポートしました。
SUGIZOさんがエンターテインメントもカーボンニュートラルへ向けた行動が必要だと2017年から始めたFCEVによる給電。(詳細はトヨタイムズ参照 『LUNA SEAが水素依存症に?仲間と追い求める水素×音楽の可能性』)今回はUVERworld、T.M.Revolution、黒夢、THE YELLOW MONKEY、BRAHMANなど名だたるロックバンドすべてが利用してくれ、2日間約5万人の観客とともに水素で発電した電力で奏でる音楽に魅了されました。
私はラリージャパンがあったので、ミライの搬入を知人に頼み、最終日のラリージャパンの給電確認をしてから幕張へ移動。ルナフェス最終日の途中から現場に入ったときに、バックヤードに並んだ8台のFCEVが見え感動しました。給電活動に参加してくれたミライオーナーの仲間も、自分の愛車がこんなすごいライブをサポートできたと喜んでくれたのもうれしかったです。
今後も水素利活用のひとつとして、イベントのある地域のミライオーナー仲間とともに挑んでいけたらと思います。参加してみたいミライ、クラウンFCEVオーナーがおられたらぜひ一緒にやりましょう。
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クリアで大迫力のロックのなかで盛り上がる。撮影/田辺佳子
文:寺田昌弘/写真:板倉淳一・寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。







