【国道の云われ(国道36号・336号/北海道)】対照的な2つの道路。マッハで造られた!?「弾丸道路」と金を敷き詰めた!?「黄金道路」

普段何気なく通っている道。会話の中で「〇〇通り」「〇〇道路」とその名を呼ぶ事はあっても、その由来や意味を深く考えたことはあるだろうか? その意味を知ったとき、おそらくあなたは、その道を、その街を、より好きになるだろう。

北海道の国道には「弾丸道路」、そして「黄金道路」と呼ばれている道路がある。「弾丸」と「黄金」。まったく性質の異なるものだが、どちらとも道路建設にその由来があるようだ。

弾丸のようなスピードで造られた?国道36号の「弾丸道路」

「弾丸道路」と呼ばれている理由

国道36号の札幌~千歳間は「弾丸道路」と呼ばれている。その由来については「弾丸のような速さで完成した道路だから」、「米軍が駐留していたころ、弾薬を積んで運んでいたから」、「弾丸のようにスピードが出せる道路だから」などの複数の説がある。

国道36号 弾丸道路

説その1 「弾丸のような速さで完成した道路だから」

もっとも有力な説は「弾丸のような速さで完成した道路だから」というものだ。
実際、34.5kmもの距離の道路を、昭和27年(1952)10月から昭和28年(1953)11月までの、わずか1年ほどで完成させた。
この弾丸道路は、戦後初めて北海道に建設された本格的な道路であった。終戦間もない昭和20年代、日本国内の道路舗装率は20%にも満たなかったという。とくに、冬は雪に覆われる北海道。春には雪解けで道がぬかるみ、夏になると砂埃が舞う悪路だった。
この寒冷地特有の問題を抱えた大規模な工事を短期間で終わらせるため、当時日本で一般的だったコンクリート舗装ではなく、最新技術だったアスファルト舗装が採用されるなど、画期的な方法が採用された。
当時の北海道は2車線の道路も珍しかったそうだ。工事中、道路ではなく滑走路を作っていると勘違いした人もいたという。

説その2 「米軍が弾薬を運んでいたから」

「米軍が弾薬を運んでいたから」というこの説もあながち間違ってはいない。 折しも朝鮮戦争が勃発していた時代。キャンプ千歳(現在の航空自衛隊千歳基地)とキャンプ・クロフォード(現在の陸上自衛隊真駒内駐屯地)を結ぶ道を整備してほしいという、米軍からの強い要請から計画された工事だった。その証拠に、この道は日米行政協定に基づく安全保障費(防衛費)が建設費に充てられている。

説その3 「弾丸のようにスピードが出せる道路だから」

「弾丸のようにスピードが出せる道路だから」というこの説はどうだろうか。こちらも当たっている部分がある。
地形や環境などの条件が良ければ、場所によっては75km/hで走行することを想定されて設計されている。逆に言えば、速度を出せるくらい走りやすい道であるということだ。しかし、あくまで「想定されて設計」されただけなので、道交法とルールを守って、安全運転を忘れずに。

莫大な建設費が投入された国道336号の「黄金道路」

北海道には弾丸道路とは反対に、整備に7年もかかった国道もある。森進一の曲でおなじみの襟裳岬の近くを通る国道336号のえりも町~広尾町の区間である。この区間は現在「黄金道路」と呼ばれている。

国道336号 黄金道路

えりも町~広尾町の区間は古来より難所として知られていた

現在のえりも町庶野(しょや)から広尾町広尾橋までの約33.5kmの区間は、日高山脈が海岸まで迫り、切り立った岸壁沿いに道路が続く。岸壁が風化し、落石や雪崩が頻発するうえ、海からは太平洋の荒波が迫ってくる厳しい環境のため、古来より難所として知られ、この道ができるまでは迂回を余儀なくされていた。

昭和2年(1927)に工事が始まり、完成したのが7年後の昭和9年(1934)。建設費は当時の金額で94万5503円。当時の大卒の初任給が70円ほどだったというので、現在の価値に直すと何十億円もの金額になる。「金を敷き詰めたように資金が費やされた道路」という意味で「黄金道路」と呼ばれている。

戦後も整備が繰り返され、現在は北海道で最長のトンネルである「えりも黄金トンネル」など、いくつかのバイパストンネルが開通し、断崖に沿った危険箇所も大幅に減った。しかし、高潮や大雨の時には通行止めになることもあるため、天気予報をチェックしてでかけたい。

国道336号にまつわるスポット

北海道えりも町郷土資料館「ほろいずみ」・水産の館は、えりも町の歴史や文化を紹介している資料館。

「水産の館」では、特産のコンブをはじめ、昭和30年代の漁師家屋の再現やサケの定置網模型など、えりも町の水産業にフォーカスした資料を展示。

「郷土資料館」では北海道のなりたちやアイヌ文化、郷土芸能などを紹介している。黄金道路の歴史についてのコーナーも。

北海道えりも町郷土資料館「ほろいずみ」・水産の館
住所:北海道幌泉郡えりも町字新浜207
TEL: 01466-2-2410
営業時間:9~17時(入館は~16時30分)
定休日:火曜、祝日の翌日、年末年始
入館料:無料
アクセス:帯広広尾自動車道忠類大樹ICから車で約90分
駐車場:あり
URL:http://www.town.erimo.lg.jp/horoizumi/

※記事内のデータは2019年3月現在のものです。掲載後に料金、営業時間、定休日、メニュー等の内容が変更になることや、臨時休業等で利用できない場合があります。また、各種データを含めた掲載内容の正確性には万全を期しておりますが、おでかけの際には電話等で事前に確認・予約されることをお勧めいたします。

[ガズー編集部]

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