【国道トリビア】もっとも長い国道ともっとも短い国道はどの路線？

2019.03.31 14:00

: 青森県平内町に設置された標識。

国内に全部で459路線ある国道。今回は国道の中からその長さにスポットをあて、豆知識を記していきたい。

もっとも長い国道

国道全459路線中、もっとも長い国道はどの路線かご存知だろうか。
その前に道路の長さの測り方について整理したい。

総延長と実延長

道路の長さを測る際、「総延長」と「実延長」という2つの長さがある。

総延長：道路法の規定に基づき指定又は認定された路線の全延長
実延長：「総延長」から「重用延長」「未供用延長」「渡船延長」を除いた延長

わかりやすく言うと、「総延長」は指定された起点と終点を繋いだ路線全体の長さ。
そこから、上位の国道と重複している区間（重用延長）、建設前などで使えない区間（未供用延長）、海や川を公営の渡船（フェリーなど）を使って渡る区間（渡船延長）を除いた長さが「実延長」だ。

総延長がもっとも長いのは国道58号

以前も少し紹介したが、「総延長」がもっとも長い国道は鹿児島から種子島、奄美大島を経由して沖縄を結ぶ国道58号。『道路統計年報2018』によると、その距離は875.7km。
しかし、海上区間が609.5kmあるため、実延長は266.2kmしかない。全体の約7割が海上区間である。

国道58号

実延長がもっとも長いのは国道4号

「実延長」がもっとも長い国道は、東京と青森を繋ぐ国道4号だ。総延長、実延長ともに836.4km（『道路統計年報2018』より）。

国道4号

起点は東京都中央区日本橋。日本橋の道路の真ん中に「日本国道路元標」があり、ここから国道4号が始まっていることを示している。

: 日本橋は江戸時代に定められた五街道の起点だ。したがって日光街道と奥州街道のルートを継承する国道4号のほか、東海道の国道1号、中山道の国道17号、甲州街道の国道20号の起点も日本橋だ。そのほか国道6号、14号、15号の計7路線がここから始まっている。

: 以前紹介した記事「元号の名前がつく道路」にて「昭和通り」も国道4号を通っている。

【道路の云われ（東京）】改元記念！今だからこそ知りたい東京の元号のつく道路
https://gazoo.com/drive/kendo/190317.html

もっとも短い国道

最短国道は神戸にある国道174号だ。その長さは国道2号と神戸港を繋ぐ187.1m。なぜこんな短い区間を国道としなければいけないのか？その理由は道路法にあった。

主要国道と港・空港を繋ぐ通称「港国道」

国道とはなんたるかを定めている「道路法」では、主な港湾、飛行場と高速道路または国道とを連絡する道路を国道とするとしている。
マニアの間で「港国道」と呼ばれているそれらの道は、羽田空港と国道15号を繋ぐ国道130号、名古屋港と国道1号を繋ぐ国道154号、関西国際空港と国道26号を繋ぐ国道481号など、全国に15路線。国道の短さランキングの上位15路線はすべて港国道だ。

昔はもっと長かった？

国道174号は以前はもっと距離があったという。当初国道2号は現在のJR三ノ宮駅のすぐ南を通っており、その時の国道174号の長さは約940m。昭和37年（1962）に海側のコースに切り替えられ、現在の長さになった。

国道174号

国道174号から外されてしまった区間は、現在は兵庫県道30号線となった。沿道に日本で初めての花時計があることから、昭和52年（1977）にフラワーロードという愛称が付けられ、現在も市民に親しまれている。

もっとも長い直線区間を持つ国道

もっとも長い直線道路を持つ国道は国道12号。美唄市から滝川市を結ぶ29.2kmの直線は、国道のみならず、日本中、すべての道の中でみても、もっとも長い直線道路である。

多くの犠牲を伴いながら完成した囚人道路

国道12号の前身は明治時代に開通した「上川道路」と呼ばれる道路。当時、現在の月形町にあった樺戸集治監（かばとしゅうじかん、集治監とは監獄のこと）に収監されていた囚人が開削した「囚人道路」としても知られている。

明治19年（1886）、当時の北海道庁長官だった岩村通俊は、市来知（いちきしり、現在の三笠市）と忠別太（ちゅうべつぶと、現在の旭川市）のあいだ約88kmを結ぶ道路の開削を命じた。
指揮をとったのは北海道開拓の第一人者、高畑利宜（たかばたけとしよし）。高畑が記した工事復命書には「重要な道路なので、なるべく直線道路にする」という旨が書かれており、意図的に直線道路を造ったことがうかがえる。

高畑は樺戸集治監に収容されていた囚人を使い、上川道路を開削。たった4カ月で仮道路を完成させた。しかし、満足な食料も与えられず、劣悪な環境で、ヒグマも潜む未開の密林を手作業で切り開くという強制労働を強いられたため、数多くの犠牲者が出たという。
現在の北海道は、多くの犠牲の上でできあがったという事を忘れてはならない。空知市には犠牲になった囚人の慰霊として、上川道路開鑿記念碑が立っている。