【道路の云われ(長野・群馬・栃木)】ロマンあふれる日本ロマンチック街道
「日本ロマンチック街道」と呼ばれる道路をご存知だろうか?長野県上田市から栃木県日光市まで、3県にまたがる約320kmにおよぶ道路である。
この道路は、途中で避暑地、温泉、宿場町などを通過し、上信越高原国立公園と尾瀬国立公園、日光国立公園を結ぶ。日本ロマンチック街道は、自然、歴史、文化を楽しめる道となっている。
中世を体感できる本家ドイツのロマンチック街道
日本ロマンチック街道はドイツにあるロマンチック街道に因んで名付けられた。
- ドイツのロマンチック街道の標識には日本語も併記されている。
ドイツのロマンチック街道はドイツのヴュルツブルクからフュッセンまでの約366kmの道。田園地帯や広大な牧場、アルプスの美しい山々など、変化に飛んだ風光明媚な景色が続くほか、ノイシュバンシュタイン城や、世界遺産のヴィース教会、中世の街並みが残るローテンブルク、城塞都市ネルトリンゲンといった人気の観光スポットも多い。ドイツの自然、歴史、文化が楽しめるとして、とりわけ日本人旅行者からの人気が高い観光ルートである。
- ノイシュバンシュタイン城はディズニーランドの眠れる森の美女の城のモデルになったと言われている。
- ロマンチック街道終点の街フュッセン付近を流れるレヒ川。
1945年5月8日にドイツが降伏してから5年。ナチズムや敗戦のイメージを払拭するために、「ロマンチック・ジャーマニー」というスローガンを掲げて外国人誘致の観光キャンペーンをおこなった。同年にヴュルツブルク、ローテンブルクなど、沿線の街の観光関係者が「ロマンチック街道協働団体」を結成したことから、この街道が成立したという。
「ロマンチック」ってどういう意味?
「ロマンチック」という言葉。日本でもよく使われる言葉だが、その意味を正確に理解している人は少ないのではないだろうか。
「ロマンチック」という言葉の語源は18世紀末から19世紀中頃にかけてヨーロッパでおこった「ロマン主義(ドイツ語でRomantik)」という芸術運動まで遡る。
その名付け親はドイツの文学者、フリードリヒ・シュレーゲル。シュレーゲルは、ラテン語で書かれていた形式的な古典主義文学とは異なる想像力豊かな文学を、大衆が使っていた口語の「ロマン語」から「ロマン主義」と名付けた。
当時のヨーロッパの主流だった産業革命による合理主義、新古典主義、貴族的社会などに反発する形で、過去や自然を賛美し、個性や想像力、感情などを重んじたのがロマン主義である。とりわけ中世への憧憬が顕著に現れることが多い。
- ローテンブルクの街並み。
ローテンブルクやディンケルスビュール、アウクスブルクなど、中世の街並みが残る都市を旅することで、ロマン主義者が憧れた時代のドイツを体験できる、という意味を込めて名付けられたのがドイツのロマンチック街道だといえる。
※インターネット上では、ロマンチック街道とは「ローマへの巡礼の道」という意味だという説が多く見られるが、それは誤りである。
日本ロマンチック街道
日本ロマンチック街道が誕生したのは1987年。「日本において最もドイツ的景観を持つ街道」としてその名を承継した。1988年11月25日にはドイツのロマンチック街道と姉妹街道の締結もしている。
丸沼高原、ロックハート城など、確かにヨーロッパを思わせる風景が続くが、日光の社寺や草津温泉、沼田公園など、古き良き日本の原風景が残る場所も多い。
- 紅葉時の丸沼高原(群馬県片品村)
- ヨーロッパを思わせる田園風景(群馬県嬬恋村)
- 古き良き日本の温泉街、草津温泉の湯畑。
日本ロマンチック街道は、ドイツ的景観を楽しめるだけでなく、ドイツのロマンチック街道が、古き良きドイツを体験できるのと同様、古き良き日本を再発見することができるのではないだろうか。
最後に、そんな日本ロマンチック街道沿いの、ドイツ的景観と日本的景観のどちらも楽しめる観光スポットをご紹介。
日本ロマンチック街道沿いのおすすめ観光スポット【長野エリア】
浅間山の麓に広がる溶岩が生み出した絶景
軽井沢の峰の茶屋から群馬県嬬恋村鎌原までの上信越高原国立公園を県またぎ結ぶ。中でも峰の茶屋から鬼押出しにかけては、浅間山を横目に真横に走行するのは爽快感満点。絶景道路と称されていることもある。さらに途中、浅間六里ケ原休憩所からの浅間の眺望は最高。冬期の雪景色は、白と黒が絶妙なコントラストが目を楽しませる。
鬼押出し園 (おにおしだしえん)
住所:群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原1053
TEL:0279-86-4141
アクセス:上信越道碓氷軽井沢ICから車で45分
駐車場:あり(750台)
営業時間:8~17時(最終入園は~16時30分)
定休日:無休(12~3月は入園のみ可、冬季はレストランクローズ)
牧歌的な風景が広がる高原で散策や美術鑑賞でのんびり
長野県の中央部に位置する標高約2000mの緑豊かな美ケ原高原。高原のトレッキングコースからは北・中央・南アルプスや富士山、八ヶ岳などが一望できる絶景や高山植物が楽しめるほか、13万平方mの敷地に350点あまりの彫刻作品が並ぶ高原美術館での美術鑑賞、展望露天風呂や星空観察ができるホテルなど、雲上の世界を満喫できる
美ヶ原高原 (うつくしがはらこうげん)
住所:長野県松本市入山辺
TEL:0263-31-2807(長野県美ケ原自然保護センター)
アクセス:長野自動車道松本ICから車で75分
駐車場:あり
営業時間:散策自由
定休日:無休
日本ロマンチック街道沿いのおすすめ観光スポット【群馬エリア】
花壇が美しく、ソメイヨシノが咲く桜の名所
市街地の北西にある沼田城の本丸と二の丸跡を整備したもの。園内には城の石垣などが残っており、沼田の歴史を今に伝えている。200本以上のソメイヨシノが咲く桜の名所として、また花壇が美しい花の公園として市民に親しまれている。
沼田公園 (ぬまたこうえん)
住所:群馬県沼田市西倉内町594
TEL:0278-25-8555(沼田市観光案内所)
アクセス:関越道沼田ICから車で10分
駐車場:あり
営業時間:散策自由
定休日:無休
小さなヨーロッパでメルヘン気分を味わえる
石とヨーロッパの文化をコンセプトにした施設。スコットランドの本物の古城を移築し、中世ヨーロッパの町並みを再現。世界のサンタミュージアムもある。
ロックハート城 (ろっくはーとじょう)
住所:群馬県吾妻郡高山村5583-1
TEL:0279-63-2101
アクセス:関越道沼田ICから車で20分
駐車場:あり(500台)
営業時間:9~17時(入場は~16時30分)
定休日:無休
日本ロマンチック街道沿いのおすすめ観光スポット【栃木エリア】
轟音とともに流れ落ちる日本三代名瀑の一つ
中禅寺湖から流れる水が、高さ97mの絶壁から落下する大滝で、袋田の滝・那智の滝と並ぶ日本三名瀑の一つとされる。滝上にも観瀑台はあるが、エレベーターで下りて正面から滝壷付近を眺めたい。水しぶきを上げながら、轟音とともに流れ落ちる滝の姿は豪快そのもの。新緑、紅葉、冬場と、四季ごとに変わる景観がみごとだ。
華厳ノ滝 (けごんのたき)
住所:栃木県日光市中宮祠2479-2
TEL:0288-55-0030(華厳滝エレベーター営業所)
アクセス:日光宇都宮道路清滝ICから車で20分
駐車場:あり(230台)
営業時間:見学自由/エレベーターは8~17時(季節により変動あり)
定休日:無休
樹齢100年を越える杉並木が壮観!世界一長い並木道
徳川家康の33回忌にあたる慶安元年(1648)、家康に仕えた松平正綱によって日光東照宮に寄進されたもの。今市から神橋に至る37kmの街道沿いに、約1万2000本の杉が立ち並ぶ。戊辰戦争の際の砲弾跡が残る「砲弾打ち込み杉」や、杉並木の中で最も美しいとされる、高さ38m・直径2.5mの「並木太郎」、割れ目にヤマザクラの種が芽吹いて合体してしまった「桜杉」など見どころも多い。特に日光駅と今市を結ぶ国道119号は、両側を樹齢100年を越える杉並木が覆い壮観。世界一長い並木道として、ギネスブックにも掲載されている。
日光の杉並木 (にっこうのすぎなみき)
住所:栃木県日光市
TEL:0288-22-1525(日光市観光協会)
アクセス:日光宇都宮道路今市ICから車で5分
駐車場:なし
営業時間:散策自由
定休日:無休
※記事内のデータは2019年2月現在のものです。掲載後に料金、営業時間、定休日、メニュー等の内容が変更になることや、臨時休業等で利用できない場合があります。また、各種データを含めた掲載内容の正確性には万全を期しておりますが、おでかけの際には電話等で事前に確認・予約されることをお勧めいたします。
[ガズー編集部]
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