豊作祈願！害虫を追い払う虫送り踊りや、初夏のカキツバタの里へドライブ　広島県北広島町

2019.05.10 14:00

北広島町では、田植えが終わって稲が成長する初夏に、古くから伝わる民俗行事「上川戸(かみかわど)の虫送り踊り」が行われる。稲につく害虫の霊魂を移した藁人形を川に流して五穀豊穣を願うという、呪術的な側面を持った祭りだ。

江戸時代以前は害虫による稲作の被害は甚大なもので、「享保の大飢饉」も害虫が原因であったともいわれる。このような害虫を追い払うために行われるようになった。踊りといっても、列を組んで歩きながら小太鼓や笛、鉦（かね）の音に合わせて藁人形を振りかざす、素朴なもの。毎年6月の第1日曜に行われる。

虫送り踊りが行われる頃に見頃を迎えるカキツバタは、アヤメやショウブと並ぶこの時期人気の花。「八幡高原カキツバタの里」では20万本ものカキツバタの花が咲き、一面紫色の景観が広がる。近くにある八幡湿原のひとつ「霧ヶ谷湿原」は木道が整備され、気軽に散策を楽しめるおすすめのスポットだ。

「八幡高原カキツバタの里」から車で約50分のところにあるのが「おおあさ鳴滝露天温泉」。名勝・鳴滝の近くにある森の中の露天風呂は秘湯ムードが漂う。この地に湧く「鳴滝の天恵水」は平成元年（1989）に発削された名水で、硬度が低くラドンを含み、料理やコーヒーに使うと味がまろやかになると評判だ。
ドライブ途中に立ち寄って、ひと休みしていこう。

上川戸の虫送り踊り

田植えを終えた大事な田んぼを害虫から守り、豊作を祈願する民俗行事。害虫の霊を藁人形に移して川へ投じるという呪術的なもの。

: 先頭の人が持っているのは「サネモリさん」といわれる藁人形で、嘉永2年(1183)源平合戦で討ち死にした平家の武将、斉藤別当実盛（さねもり）を指す。その最期に「我は害虫になって、水田にたたる」と言い残したとされ、実盛の怨念が害虫となり田畑を荒らすと考えられた。

: 呪術効果を高めるために行われた虫送り踊りは、北広島町の中でも川戸地区で行われていたという。

八幡高原カキツバタの里

約1.7ヘクタールの休耕田にカキツバタが咲く。見頃は5月下旬～6月上旬。

: 園内は自由に散策できる。6月2日(日)には生花や苗を販売するイベントが開催される予定。

: 紫色のカキツバタの中に、ぽつぽつと黄色い花菖蒲も咲く。

: 「八幡高原カキツバタの里」から車で約5分の「霧ヶ谷湿原」は木道が整備され、散策するのにぴったり。霧ヶ谷湿原の名は、地元住民の公募で決まったという。

おおあさ鳴滝露天風呂

山間の静かな地に湧く温泉旅館。木立の中の露天温泉が人気で、日帰りでの利用もできる（要事前問い合わせ）。

: 写真提供：広島県; 山奥にあり、木々の緑を眺めながら入浴できる露天風呂はリラックス効果抜群。

: 鳴滝の天恵水は「おおあさ鳴滝露天温泉」駐車場前の花崗岩層から湧き出したもので、取水も可能。

■上川戸の虫送り
開催日：2019年6月2日（日）10時～（毎年6月第1日曜に開催）
開催場所：広島県山県郡北広島町川戸上川戸集会所付近
TEL：050-5812-1864（北広島町教育委員会）、050-5812-6908・0826-72-6908（北広島町観光協会）
アクセス：中国自動車道千代田ICから車で約20分
駐車場：なし

■八幡高原カキツバタの里
住所：広島県山県郡北広島町東八幡原
TEL：0826-35-0888（北広島町観光協会芸北支部）
アクセス：中国自動車道戸河内ICから車で約20分
駐車場：なし

■おおあさ鳴滝露天風呂
住所：広島県山県郡北広島町大朝15111
TEL：0826-82-3773
日帰り入浴営業時間：11～19時（最終受付18時）要事前連絡
日帰り入浴料金：中学生以上700円、小学生以下400円、3歳以下無料
定休日：水曜
アクセス：浜田自動車道大朝ICから車で約7分
駐車場：あり

※記事内のデータは2019年4月現在のものです。掲載後に料金、営業時間、定休日、メニュー等の内容が変更になることや、臨時休業等で利用できない場合があります。また、各種データを含めた掲載内容の正確性には万全を期しておりますが、おでかけの際には電話等で事前に確認・予約されることをお勧めいたします。

[ガズー編集部]