【道にまつわる珍百景】7本の道路が交差する七辻交差点
複数の道路が交わる部分を交差点と呼ぶ。3本の道路が交わる三差路、4本が交わる四差路が一般的だが、なかには5本以上の道路が交わる交差点もあり、これらは多差路(多叉路)と呼ばれる。六差路あたりまではまだそれほど珍しくはないが、7本以上が集まる交差点はかなりレアと言っていい。東京都大田区にある七辻交差点は、日本でも珍しい七差路として知られている。
7本の道路がきれいに交わる「七辻交差点」
まずは上の地図を見ていただきたい。七辻交差点は、南六郷一丁目、東六郷一丁目、南蒲田二丁目、萩中一丁目の4つの地区が隣接する場所だ。メインストリートと思われる南西方向の道路から順に時計回りに番号をつけてみたが、①⑥⑦が両方向OKの対面通行、②と④が退出のみの一方通行、③と⑤が進入のみの一方通行になっている。
周囲は民家や商店が密集する住宅街で、どの道路も道幅はそれほど広くない。訪問したのは平日の午後だが、自動車はもちろん自転車や歩行者など、かなりの交通量が見られた。交差点を7本の道路から眺めてみると、それぞれこんな感じに見える。
- メインストリートと思われる①から見た七辻交差点。横断歩道手前に停止線があるが、一時停止の標識はない。
- ②から見た交差点。退出のみの一方通行なので車の運転中はこの角度から交差点を見ることはない。
- ③から見た交差点。進入のみの一方通行で、一時停止の標識がある。
- ④から見た交差点。退出のみの一方通行。
- ➄から見た交差点。進入のみの一方通行だが一時停止の標識はない。
- ⑥から見た交差点。センターラインのある対面通行道路で、交差点手前には一時停止の標識がある。
- ⑦から見た交差点。センターラインのない対面通行で、写真には写っていないが交差点のかなり手前に一時停止の標識が立っている。写真左下部に見えているのは停止線。
ぐるっと見るとおわかりのように、この交差点には信号がない。初めてこの交差点を訪れたときには①の道路から進入したが、感想は「なんだこれ!?」だった。複雑すぎて優先順位もわかりづらいため交通事故が多いに違いないと勝手に想像していたが、じつは何年もの間、事故らしい事故はほとんど起きていないという。
それを示すのがこちら。
⑥と⑦の角に「日本一ゆずり合いモデル交差点」の看板が立っている。三角柱の別の面には交差点の由来が、もう一面には「平成三年三月 大田区」と書かれてある。取材に協力いただいた南六郷一丁目町会会長、秋山さんによると、かなり昔から同じような看板が立っていたが、老朽化のため平成3年(1991)に現在の看板に交換されたという。もともとの看板がいつごろ立てられたものかは残念ながら判明しなかった。
交差点をしばらく眺めていると、確かに車はかなりゆっくりと走っており、うまくゆずり合いながらスムーズに流れているように見える。ただ、自転車は慣れているのか減速しないで通過する人も多く、少しヒヤッとするシーンにも遭遇した。
交差点を上から撮影したものをご覧いただこう。
空から見た七辻交差点
- 【道にまつわる珍百景】7本の道路が交差する七辻交差点
前述の秋山さんによると、車はかなり慎重に走っているので、かえって事故が起きないのだそう。
①と②の角に立つ八百屋のご主人によると、15年ほど前に一度だけ大きな事故があったが、それ以外では大きな事故の記憶はほとんどないそうだ。ただし、車と自転車の小さな接触事故は時々起きているという。
また、これまでに何度か信号設置の話が持ち上がったこともあるが、道路が複雑すぎることや、交通量、事故の件数などから信号は必要ないとの判断に至り、これまで信号が付けられたこともないそうだ。
余談だが、平野順治著『六郷今昔小誌』(平成13年、六郷地区自治会連合会発行)によると「大正6年(1917)の地形図では四辻だったものが、大正12年(1923)の地形図では七辻に変化している。このことから七辻は耕地整理によって誕生したものと考えることができる」とある。つまり、七辻交差点はおよそ100年間もの間、事故が少ない交差点としてここに存在しているということになる。
「日本一」というのは大げさかもしれないが、交差点を行き交う車を見ていると、お互いがゆずり合うことで事故を防いでいることがよくわかる。
この「ゆずり合いモデル交差点」を見習って、心にゆとりのある運転を心がけたいものだ。
※記事内のデータは2019年4月現在のものです。交通ルールを守り楽しいドライブを!
[ガズー編集部]
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