GAZOO.com座談会 その1 「2019年の振り返りと平成の名車」

上段左から:株式会社webCG 代表取締役/webCGディレクター 近藤俊さん、webCG編集 堀田剛資さん、フリーランスライター 大谷幸子さん、フリーアナウンサー 安東弘樹さん下段左から:株式会社インプレス 執行役員/Car Watch編集統括部/統括部長 谷川潔さん、パリダカ出場ドライバー/ライター 寺田昌弘さん、株式会社三栄 オートモーティブ事業部 インタラクティブカーメディア局 局長 渡辺文緒さん
上段左から:株式会社三栄 オートモーティブ事業部 インタラクティブカーメディア局 局長 渡辺文緒さん、webCG編集 堀田剛資さん、フリーアナウンサー 安東弘樹さん
下段左から:株式会社インプレス 執行役員/Car Watch編集統括部/統括部長 谷川潔さん、フリーランスライター 大谷幸子さん、パリダカ出場ドライバー/ライター 寺田昌弘さん、株式会社webCG 代表取締役/webCGディレクター 近藤俊さん

日頃からGAZOO.comに多大なご協力をいただいている、自動車メディア関係者による座談会を開催しました。参加したのは自動車メディア各社の担当者やコラム執筆陣など全7名。
「2019年の振り返りと平成の名車」(その1)と「クルマの未来と愛車」(その2)、長きにわたり自動車メディアに携わってこられたCar Watch編集部 谷川さん(その3)と、株式会社三栄 渡辺さん(その4)による「平成5大クルマニュース」を全4回にわたってご紹介します。
それでは本音のトークセッション、スタートです。

――本日はお集りいただきありがとうございます。その1のテーマは「2019年の振り返りと平成の名車」でお願いします。その1のトップバッターは新車インプレッションでおなじみのwebCG近藤さん。2019年はどんな年でしたか?

近藤:もっと電動化が目に見えて進むのかなと思っていましたけど、意外とそうでもないなと。たぶんこのままいきそうな気もします。CASEと言う言葉が独り歩きしている割には実体が伴わないのが1年続いています。広い意味での電動化は進むと思うけど、純電気自動車みたいなものは乗る側のニーズがあまりない感じですね。

――次はGAZOO.comでモータースポーツの記事を執筆されているレポーター(お)ねえさんこと、大谷さん。2019年のモータースポーツはどうでした?

大谷:今年のモータースポーツは心配だなと思うシーズンでした。WEC富士は観客が減っていて大丈夫かなと。SUPER GTは安定して人気があります。来年GRスープラが出てくるので、たぶんまた、観客動員数は増えると思います。クルマが変わるから注目度はやっぱり高い。フォーミュラは日本にモータースポーツ文化が根付いていないから難しいのでしょうか。

安東:日本人はチーム戦が好きで、誰が速いか決めるというのはそんなに‥。もともとF1やWRCでは日本人のチャンピオンが生まれていないので、それもあるかもしれない。中嶋一貴くんとたまにご飯に行ったりするのですが、悲しいのは自分の方が周りに気づかれるんですよ、どれほど日本はモータースポーツに興味ないのかと。ル・マン24時間のチャンピオンですよ!
そうなったのは日本のクルマがCVTになったからだと思うんですよ。あの、のれんに腕押し感で、クルマを操る楽しさを感じにくくなってから、コンペティションにますます興味がなくなった。その関係性には、絶対的な自信があるんです。ただ、マツダさん、トヨタさんもそうですし、マニュアル回帰が進んだのはうれしいと思います。

――Car Watch 編集部(インプレス) 谷川さんはいかがですか?

谷川:2019年はクルマづくりが変わってくる気配が明確になった年かなというところがあって。トヨタはサプライヤー統合が始まり、モーターショー中に発表のあったホンダ系のサプライヤーの統合。クルマづくりを変えていこうという意志がはっきり出た1年だったという印象です。
それと同時に、2020年は自動運転という盛り上がりみたいなのがあったのですが、そこにただちには行けないことがわかった1年ですよね。やろうと思っても、社会の反対、社会の合意形成が進まない部分があって、自動運転レベルの安全機能をクルマに組み込んでいこうと。その背景として交通事故がクローズアップされた1年でした。

――今年、社名を変更された三栄 渡辺さんはどうですか?

渡辺:メディアとしてのあり方を考えさせられた1年でした。4月に三栄書房から三栄に社名変更し、弊社は雑誌だけの会社ではありません。いろいろなことに対応していきますよ、というアピール。事実、紙媒体で育った会社ですが、その売り上げが落ちた一方、「ゲンロク」というスーパーカーの雑誌は売れています。お客さんがいるスイートスポットを血眼になって探しているところです。

――平成という時代が過ぎ去っていきましたけど、名だたる名車が多かったと思います。みなさんの思い出に残る名車、これは好きだな、というクルマは?

谷川:平成元年がレクサスLS400、初代セルシオで、R32GT-R、ロードスターという当たり年なんですよね。NSXはその翌年なんですけど、本当にそれでガンと盛り上がって、2年後にバブルが弾けてしゅんとなっちゃうんですけど、そういう時代なのかと思っていて。

――ホンダは特にそうですけど、ミニバンがたくさん作られ、ぼくらが若いころ好きだったクルマが段々減っていきましたが。

谷川:クルマでトピックと言えばやっぱりプリウス。THSⅡのシステムは衝撃で、今でもあれの改良型を使っているじゃないですか。しかも、あのシステムを使ってレーシングカーを作っちゃったところがすごい。

――寺田さんはやっぱり70ですか?

寺田:70と言ってもぼくは70のランクルね(笑)。96年~98年、サハラ砂漠の奥地に行っていた頃、街から離れるとランクル70とラクダしかいなくなる。人の移動手段や物流はランクルかラクダなんです。それを20代の時に見ると、やっぱり憧れますよね。パリダカの初年度は4日でリタイヤして、脱出しないといけなかったのですが、ランクル70はそういう時に命を預けられる相棒でした。

堀田:70は平成でしたっけ?

寺田:70は平成なんですよ。日本人が平成で誇れるクルマのことを言うと、ハイブリッド技術とランクルとかハイラックスとか、ここも勝っているので、トヨタがというよりも、ジャパンブランドが世界で活躍しているのを見るのはうれしいんですよね。

安東:純粋に誇らしいし、エポックメイキングですよね。そこは間違いないです。

堀田:名車で言ったら6代目レガシィの2015年以降のモデル。なぜかというとアイサイトがついたんですよね。予防安全装備が爆発的に認知されるきっかけになったと思うんですよ。たぶんこのクルマが出てこなかったら、予防安全、止まるクルマ、渋滞追従のACCとかを、みんなあと5年、6年知らなかったんじゃないかと思います。

近藤:R32のスカイライン、NSX、ロードスター、全部乗ったんです。それで感じるのはクルマを運転している楽しさが89年ぐらいから進化していないなと。断然安全になっているし、燃費は良くなっていて、機械としては進化しているんだけど、その分、余計なおせっかいがいっぱい。NSXもロードスターもパワステすらついていなかったですからね。

安東:NAロードスターは所有したことがないのですが、初めて運転した時に感動してしまって。こんな楽しいものがあったのかと思って。しまった、買っておくべきだったと虜になってしまった。なんでみんなこれを買ったのかすごく理解できて。もちろん安全デバイスはついていないですけど、あのクルマを運転していると楽しいし、常に運転に集中しているので、違う意味で安全だなと思ったんです。

やはり平成の名車ではみんな饒舌になりますね。お口の暖機運転(?)はバッチリのようなので、その2ではクルマの未来と参加者の愛車について語り合っていきたいと思います。

[ガズー編集部]

GAZOO.com 座談会 2019

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