GAZOO.com 座談会 その2 「クルマの未来と愛車」
- 上段左から:株式会社三栄 オートモーティブ事業部 インタラクティブカーメディア局 局長 渡辺文緒さん、webCG編集 堀田剛資さん、フリーアナウンサー 安東弘樹さん
下段左から:株式会社インプレス 執行役員/Car Watch編集統括部/統括部長 谷川潔さん、フリーランスライター 大谷幸子さん、パリダカ出場ドライバー/ライター 寺田昌弘さん、株式会社webCG 代表取締役/webCGディレクター 近藤俊さん
全4回にわたってお届けしているGAZOO.com座談会。その2は出席者のみなさんに「クルマの未来と愛車」を語っていただきます。トップバッターは半年で2万kmを走るというフリーアナウンサーの安東さん。そんな生活とは真逆をいく令和の若者たちのクルマ離れについての質問からスタートです。
――安東さん、若者のクルマ離れについてはどんな印象をお持ちですか?
安東:お金が圧倒的に少ないですよね、若い人たちは。僕のマネージャーは24歳なんですが、クルマは夢のまた夢って言ってました。どんな中古だろうが、都内に住んでいると、まず駐車場に置けない。税金も含めて、リアルだなと思いました。
谷川:都内はクルマに乗らない方がいいですよね、ぶっちゃけて言うと。そういう社会システムになっている。逆に地方に行くとクルマがないと生活できない、このギャップがすごく大きい。都市化と地方の過疎化のギャップは広がってきていて、それをどう解決していくかというのが電動の部分とかテクノロジーの部分だと思うんですよね。
安東:道具としてのクルマと趣味性のあるクルマは完全に分かれていきますよね。
近藤:東京モーターショーのトヨタブースで、eレーサーとeパレットがありましたよね。現場では、なんだこれと思ったのですが、あとでよくよく考えてみると趣味の姿はあれだと。一方で趣味の世界は縮小していくんでしょうね。だからクルマを今ほど選べなくなる。eレーサーとロードスターしかないとか。
谷川:章男社長や友山副社長は言ってるんですけど、“馬車”から“クルマ”の時代になり、普通の“馬”はいなくなったんだけど、“サラブレッド”はちゃんと残っているんじゃないかと。トヨタさんはそこに投資していて、富士スピードウェイの向かいにモータースポーツビレッジをつくって、でっかいホテルを呼んで、そこでモータースポーツを楽しめる環境をつくろうとしているのがすごいなと。
安東:コーンズさんの内覧会の司会をやってきたのですが、千葉県内にサーキットをつくっていて、温泉付き、お子さんと奥さんが楽しめるような施設があり、会員登録すれば誰でも走りに行くことができる。走る前の整備、冷暖房付きの車庫の中でやってくれて、終わった後の整備もやってくれる。部屋の温泉からお父さんが楽しんでいるのが見られるのですが、年会費が1900万円!
近藤:ポルシェも同じような施設をつくるんですよね。
谷川:生活する運転と楽しむ運転がちゃんと分岐していく。今までは峠に行って楽しむこともできたけど、もうそれはできない時代になったんで。
安東:どちらにしても、マナーは大切ですよね。免許をとってシティターボⅡから始まり、みなさんにターボⅡを愛してほしかったから、絶対乱暴な運転はしないし、道はゆずるし、どうぞとやるとそのクルマを好きになってもらえるじゃないですか。そこはもう徹底的に免許をとった時から崩していないです。
――安東さんの愛車は40台ぐらいと聞いていますが。
安東:43台目です。全部ローンで、30年以上クルマのローンを払い続けています。日本のメーカーで言うとマニアックなクルマばかり乗っていて、ホンダのCR-Xデルソルとか、トヨタで唯一買ったのが初代ハリアー、基本的に2台、3台は並行しているし、1台か2台はマニュアルというのがずっと続いていて、シフトフィールがすべてです。
――今まで所有した中で一番好きなクルマをあげるとしたら?
安東:ルポのGTI。いまだに手放したことを後悔しています。いいクルマだったんですよ。ストロークは長いんですけど、節度のあるマニュアルで。永遠に乗っていたかったですね。それとBMWアルピナのB3Sというカブリオレ。今のアルピナにはMTがなくなってしまったのですが、それはMT。ゲトラグのフィーリングがちょっとしぶくて‥‥。
――堀田さんはダッジバイパーに乗るクルマ好きですよね。アメ車が好きなのですか?
堀田:いや、特にそういうわけではないですね。仮にあんなクルマがダイハツから出ても買うと思うし。メーカーとか国とかブランドに全然こだわりがないんですよね。単純にかっこいいなとか、このクルマこんなにダメなのにこんなものがついているとなり、あぁ、好きと。
――バイパーの前は何に乗っていたのですか?
堀田:ローバーミニに乗っていました。機械を動かしている濃さがすごく好きなんですよね。だからランクル70も好きなんです。
寺田:なんかもうガンダムを操縦している感じですよね。パリダカに出た時のランクル70は今も持っていて、東京で走れるようにDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)を付けて200万円ぐらいかけました。オールペンもし直して、思い入れがある1台です。
谷川:SUVが主流になったのは本当にすごいと思いますよね。平成の最初の頃って、セダンとかスポーツカーだったんですけど、今はみんなSUVじゃないですか。COTYもマツダのCX-5が獲った以降は結構SUVが獲っていて今年もRAV4、その前はボルボが2年連続。一方でエコと言いながらエコっぽくないじゃないですか。
――渡辺さんの印象に残る愛車はなんですか?
渡辺:私はランエボⅧのMRを持っていました。暴力的に速くて、見た目もガンダムで、速かったですね。なぜ手放したかというと、2人目の子供が生まれてカミさんにこれじゃ子育てできませんと言われ、泣く泣く手放した。スバルとの戦いとかストーリーがあって、そういうバックグランドがおもしろくて、いい時代だったなと。
―― 大谷さんは今、どんなクルマが欲しいですか?
大谷:ぶっちゃけて言うと、今欲しいクルマはないです。息子は私が乗っているBMW320のこと、すごくいい工業製品を運転している感じと言っている。ただの3シリーズですよ。主婦のクセに9万km乗っている。楽しくてすごくいっぱい乗ったんですけど、じゃあ買い換えるかってなった時に、何を選べばいいかわからない。
かわいいクルマに興味がないし、何がいいのかわからない。でも、自分だけのクルマってこんなに幸せなんだと。私はたばこを吸わないけど、ダンナはたばこを吸うので。初めて自分のクルマを持ったのは10年ぐらい前、結構大人になってからなのですが、自分のクルマがあるのが楽しくてしょうがない。
安東:そういう気持ちをたくさんの人に味わってほしいですね。
一同:そうですねえ。
今、クルマを取り巻く環境は急速に変化しています。それと同時に、私たちとクルマの付き合い方にも、いろいろな選択肢が用意されるようになりました。しかし、馬車からクルマの時代になってもサラブレッドが残っているように、ピュアなものは必ず残ります。自分だけのクルマを所有する喜び、愛着をもってクルマに接する愛車という文化はこれからも続いていく。そう感じずにはいられませんでした。
これで座談会はお開きとなりましたが、2次会でも引き続き熱いトークが続いたのでした。
それではみなさん良いお年を!
[ガズー編集部]
GAZOO.com 座談会 2019
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