トヨタ・コロナ3代目(1964年) ― トヨタ名車History

クラウンと同じ1955年に発売され、タクシー用のクルマとして大ヒットしたのがダットサン110だった。大型のクラウンに対して、小型タクシーの市場を席巻したのである。これに対し、トヨタは1957年にコロナを発表する。ただ、このモデルはタクシー業界の要請に応えて急造したという色彩が濃かった。マスターのボディーを流用し、古くて非力なS型エンジンを使って仕上げたクルマで、商品力は高いとはいえなかった。

1960年にフルモデルチェンジされたモデルは、意欲的な設計だった。ピラーがすべて後傾するというデザインは斬新で、フロントはトーションバー、リアはカンチレバー式というサスペンションも先進的だった。しかし、圧倒的な人気を誇っていたダットサン・ブルーバードの牙城はなかなか崩せなかった。

1961年、マイナーチェンジでコロナは1.5リッターエンジンを採用する。ブルーバードの1.2リッターに、排気量で差をつけようとしたのだ。ブルーバードとコロナの販売競争は激しさを増し、頭文字を取って「BC戦争」と呼ばれるようになった。

1964年、コロナは3代目となった。このモデルで、トヨタは初めてBC戦争に勝利する。翌年1月の販売台数はブルーバードを上回り、国内販売台数1位となったのだ。国外でも好評を博し、日本の単一車種輸出台数の記録を更新する。

日産は1967年にブルーバードをフルモデルチェンジし、510型を登場させる。再び1位の座を取り戻そうとしたのだ。しかし、コロナの優位は盤石だった。ここにBC戦争は完全に決着し、コロナはカローラとクラウンをつなぐ中堅車種として安定した地位を保っていく。

1968年には上級車種としてコロナ・マークIIが発売され、トヨタのセダンはさらに細かいグレードに分けられた。社会は豊かになり、人々の高級志向は強まっていった。1996年に発表された11代目は、サブネームの付いたコロナプレミオとなった。2001年には車名がプレミオとなって後継車となり、コロナというブランドは44年にわたる歴史を閉じた。