【ミュージアム探訪】ホンダコレクションホール(前編)

入り口で来場者を迎えるガラスのオブジェ。ここに描かれている「夢」の文字は、本田宗一郎氏が自ら記したものだとか。
建物は3階建てで、中央に位置する吹き抜けのエントランスホールが南北の2つの棟をつなぐ構造となっている。写真は北棟の1階に位置する、ASIMOと環境技術の展示コーナー。
二足歩行技術の進化の過程をしのばせる、ASIMOの「ご先祖」たち。その奥に見えるのは燃料電池車の「FCXクラリティ」だ。
新型ASIMOスーパーライブの様子。開催スケジュールはホンダコレクションホールの公式ウェブサイトで確認できる。
電動カートの組み立てを通して、自動車の構造や各部の機能を知ることができる「ピット工房」の様子。難易度に応じて、全部で5段階のプログラムが用意されている。

創業者である本田宗一郎氏が発した「みんなのつくったものを皆さんにお見せすればいい。こんな正直なHondaはどこにもないぞ(一部抜粋)」という言葉がその原点にあるという「ホンダコレクションホール」。ホンダが鈴鹿に続くサーキットとして、栃木県芳賀郡茂木町に開設した「ツインリンクもてぎ」の敷地内に位置し、二輪、四輪、そして汎用(はんよう)製品やASIMOなど、ホンダの過去から未来までを知ることができる博物館である。

ツインリンクもてぎへのアクセス方法はいろいろあるが、クルマで行くのであれば、国道51号線沿いの南ゲートからの入場が近いのでお勧めだ。ゲートから南コース脇を抜けて行けば、左手に建物が見えてくる。周辺の駐車場も充実しているので困ることはないだろう。

3階建ての建物は、中央のエントランスホールを軸に北棟と南棟を連結させた左右対称の構造。まず入り口を入って1階右手(北棟)にあるのが人間型二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」と環境技術のエリアである。世界的にも大人気のASIMOだが、ここでは最新のASIMOの世界を堪能することができる。そのひとつが「新型ASIMOスーパーライブ」。ASIMOのデモンストレーション自体は、東京・南青山にあるHonda本社ビルの1階「Hondaウエルカムプラザ青山」でも見ることができるが、ここではさらに片足ジャンプや手話などのさまざまな機能や、1986年から始まったホンダのロボット開発の歴史、さらASIMOのテクノロジーや誕生に至る開発物語なども知ることができる。
実際にASIMOの動きを見ると、バイク、クルマ、汎用製品を世に送り続ける同社の、「技術は人のために」という創業時からの精神がロボティクス領域でもいかんなく発揮されているのが分かり、また未来に向けての期待感、わかりやすく言えば「ワクワク感」がこのライブから伝わってくる。ホンダの二足歩行ロボットが一同に展示されているのはここだけなので、ロボット&メカ好きにはたまらない展示ともいえるだろう。ちなみにスーパーライブはほぼ毎日開催されているが、ASIMOといえども休日は必要(メンテナンスも含め)なので、事前にホームページなどでスケジュールの確認をしていくことをお勧めする。

さらにこのコーナーの近くでは、同社が取り組んできたクリーンエネルギーや未来に向けたモビリティーの展示なども行われており、地球温暖化に対する、コージェネレーションユニットや燃料電池などの活用によるCO2削減への取り組みなどを知ることができる。

このほかにも、北棟の外側裏手に位置する「ピット工房」は親子でぜひ立ち寄ってほしいコーナーだ。元はレストア工房だったが、現在では電動カートを組み立てて実際に走らせることができる体験エリアとなっている。その内容は本格的なもので、組み立てたクルマで走行後、パーツ交換を行い、再度走ることでその違いが体感できる。まさに「もの作り体験」ができる貴重な場所と言えるだろう。さらにレベルが上がれば、より高度なステップアッププログラムにトライすることもできる。

3階建てと見た目は小規模(失礼)に見えたこのホールだが見どころは満載。後編は2階と3階、そして1階南棟の「ミュージアムショップ」なども紹介したい。

(文=高山正寛)

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[ガズ―編集部]