トヨタ・ソアラ (1981年~) トヨタ名車列伝7話

1977年当時、トヨタは量産車メーカーに成長していたが、高速性能では欧州メーカーに及ばなかった。「欧州車に対抗できるクラウンクラスの高級GTカーをつくりたい」とチーフエンジニアの岡田稔弘氏(現(株)槌屋顧問)を含めた3人で開発がスタートした。構想を練り始めて間のない時、ブラリと訪れたエンジン部で、6気筒の見慣れないエンジンが目に飛び込んだ。エンジン部で自主開発されていたトヨタ2000GT以来の、6気筒のツインカムエンジンだった。岡田氏は、「主力エンジンはこれしかない」とソアラに搭載することを決めた。馬力のあるエンジンにはそれに見合う足回りが必要となる。気が付けば、サスペンションをはじめとするほとんどの部品がソアラ専用の開発となった。200キロで巡行できるクルマにするため空力にもこだわった。高速走行のための空力処理は初めてのことだった。また、最先端の電子技術を採用し、日本初・世界初を織り込んだ。全社を挙げた技術力で、“卓越した動力性能と優れた操縦安定性、さらには高級サルーンの快適性を併せ持つ、スーパー・グラン・ツーリスモ、GTの中のGT”が誕生した。「世界を代表する自動車会社にスポーツカーはなくてはならない。」と岡田氏は語る。

「“No Substitute(かけがえのないクルマ)”を目指せ」。これはソアラのオーナーであった白洲次郎氏の言葉。白洲氏は初代から適切なアドバイスを岡田氏にしており、このアドバイスが歴代ソアラに刻み込まれていくことになる。