カローラFX(1984) トヨタが未来に挑戦したクルマたち

トヨタの車両開発史上、「お客様の期待を超えたクルマづくり」に挑み、誕生した個性的なデザインや機能を持ったクルマたち。1970年代から1990年までの中から、そんなクルマを紹介します。

本格的FFスポーツ

1980年代初頭に起きた小型ハッチバックのブームに、トヨタはスターレットと、カローラII/コルサ/ターセル3兄弟で対応していたが、なおも急成長を続ける市場に向けて、1984年に投入された上級モデルがカローラFX。前年にFF(前輪駆動)化された5代目カローラの派生車種だが、FFハッチバックが小型車の主流となっていた欧州市場向けカローラの、新たな主力となる役割も担っていた。

リアエンドを斜めにスパッと切り落とした個性的なフォルムのボディには、3ドアと5ドアがあり、「2ボックス上級生」というキャッチコピーを掲げた発売当初の広告で主役を務めていたのは3ドア。そのトップグレードの1600GTは、若者に大人気だったAE86ことカローラ・レビン/スプリンター・トレノのホットモデルと基本的に同じツインカムエンジンを、FFハッチバックAE82として初めて搭載。当時のトヨタのスローガンである“Fun To Drive”を体現した本格的なFFスポーツで、レースでも活躍した。

FXの名は3代目で終わったが、上級FF 2ボックスというコンセプトはカローラ・ランクス/アレックス、そしてオーリスへと引き継がれていった。

カローラFXが誕生した年 1984年

・トヨタ、米国NUMMIで自動車生産を開始
・トヨタ自動車 士別試験場が完成

カローラ3ドア 1600FX-GTの価格 136.5万円(東京)
当時の大卒の初任給 約13.6万円

[ガズー編集部]